センター試験「生物基礎」を解いてみよう——暗記で解ける時代は終わりました
週末は大学入学共通テストが開催されました。生物系のサイエンスライターだし、せっかくなので生物科目の問題を解いてみることにしました。果たしてサイエンスライターと名乗るにふさわしい点数を獲得することができるのか!?(なんと10年連続使っている文章のコピペ!ただし去年までセンター試験だったのを大学入学共通テストに改変)
文系志望が解く生物基礎
この記事では、まず「生物基礎」にチャレンジします。この科目を選択するのは、文系学部志望の受験生です。
つまり、生物基礎という科目は、文系のほとんどが解く問題と考えてください。問題と解答はいろんな予備校のウェブサイトにあります。
さて、僕の結果は……
50点中50点で満点!生涯現役!
父のうる覚え、ウン十年前のプリント、パズル……
去年までの傾向は「基本的には知識を問うもの、たまにたまに実験結果から考察するもの」というパターンでした。ところが、今年はグラフやイラストから読み解く問題がかなり多く、「基礎知識を身につけた前提で、その場で考える問題」が目立ちました。
そのためか、問題数は去年が23問だったのに対して今年は16問と約3分の2に減りました。そのぶん、1問あたりにかける時間が長くなっています。時間配分を見誤ると時間が足りない、ということになりそう。
たとえば、最初からこんな問題。
謎のエピソードから入るのでうっかり国語の長文読解のように読み込みがちですが、この問題は大したことないです。教科書に書いている基本的なことで、答えは1。
「プリントを見たところ、そこには……。」
「間違っている箇所の数を答える」という、これまでにない形式。しかも引っかかりそうなトラップがあっていやらしい問題。たとえば「分裂して増える=DNA!」と覚えているとまずいです。トップにある「生物のからだの基本単位」なので、正解は「細胞」。
「外部との仕切り=細胞壁!」と思いがちですが、真核生物にもあることを考えると「細胞膜」が正解。あとcがミトコンドリアですね。
というわけで正解は3箇所なので4になります。4つも正誤を判断しないといけないので、少し時間がかかりそう。
これも見たことのないパズル問題。ちょっとトリッキーすぎませんかね……。
ヒントとなるのは光エネルギー。たぶん光合成でしょうということで、IはATP合成となるb、CO2を吸収して酸素を出すからIIはc、グルコース合成を考えればIIIはfとなります。なので正解は6。これだけがんばって50点満点で配点は3点。なかなか厳しい戦いですね。
暗記だけでは勝負にならない
センター試験の生物基礎はなんだかんだで暗記要素が強く、ぶっちゃけ「教科書に書いてあることを暗記して考察問題は捨てる」作戦でも、そこそこの点数はとれました。
ところが共通テストでは、「教科書に書いてあることを知っている前提で、初見の問題に対して考えながら解く」ことになるので、暗記だけだと勝負にならなくなります。本質を理解していないとかなり苦戦します。「こういう流れで生命現象や生物同士のつながりが起きている」という全体的な視点を身につける必要があります。
今年からの共通テストでは思考力が重視されているようですが、生物基礎でもこの目的がしっかり反映されているといえます。
ということで、今までのセンター試験対策のままだと痛い目に遭います。現在高校2年生はこのことをしっかり肝に銘じておきましょう。考察問題に苦手意識をもつのではなく、「どう考えればいいか」ということに慣れておくのがいいと思います。
受験生とは別に、大人たちへ。今の高校生はmRNAとかタンパク質翻訳とか最低限の知識として習っています。こんなふうにね。
紫外線を照射すると緑色の光を発するタンパク質G……GFPかな?
4〜6は大人のみなさんへの宿題です。がんばってください。6は初見の実験で、アとウの絞り込みに頭を使う必要があります。
おすすめ図書
↑生物基礎を受けるならこれを読んでおけば間違いなし。僕が現役のときからいまだに第一線で活躍している先生。
↑僕が編集協力した本。生物は暗記科目ではないですよ、体の中で起きていることを流れで理解すればいいですよ、という内容。今回の共通テストの考えにかなり近いです。
↑血液や免疫が苦手な人はこちらで勉強してみては?今期アニメ化されたBLACKもおすすめ。
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