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映画『トガニ 幼き瞳の告発』

あらすじ

韓国のある聴覚障害者学校で実際に起こった性的虐待事件を映画化し、韓国社会に波紋を起こしたサスペンスドラマ。郊外の学校に赴任した美術教師のイノは、寮の指導教員が女子生徒に体罰を加えている現場を目撃する。やがて、その女子生徒が校長を含む複数の教員から性的虐待を受けていることを知ったイノは、その事実を告発し、子どもたちとともに法廷に立つ決意を固めるが……。韓国では本作の公開で事件が広く知れわたり、当該の学校が閉鎖されるなど社会現象を巻き起こした。【映画.comより】

2011年製作/125分/R18+/韓国映画で、DVDあるいはNTEFLIXで観ることができます。


法まで制定させる韓国映画のパワー

2011年に公開されると大反響となり(観客動員数は460万人以上)、韓国政府は、障がい者への虐待の罰則の厳格化のほか、障がい者や13歳未満への虐待に対する公訴時効の撤廃を決定を定めた『トガニ法』(映画の名前そのままに)制定することになりました。しっかりヒットし、法まで制定させる!映画が国民に与える影響力をまざまざと感じます。そしてこんなにも深刻なストーリーでありながら映画自体はストーリーにぐっと引き込まれる魅力にあふれた作品。ちなみにファン・ドンヒョクの次作品は『怪しい彼女』というコミカルなものです。すごい才能。

韓国俳優の心意気

主演はコン・ユ!日本でも放送されていたドラマ「コーヒープリンス1号店」で人気を博したコン・ユが兵役中に指揮官からプレゼントされた原作小説『トガニ』(ちなみにこちらは拉致被害者の蓮池薫さんが翻訳されています。原作もすごかった)をプレゼントされ、「絶対に映画化したい」と作者にアプローチして実現されたという。

↑改めて調べたら絶版状態でしたが、図書館にあるかも。私も持っていますので近しい方にはお貸しできます。

こうしたこともあまり日本の映画界では考えられないのかな…なんて思います。ちなみにコン・ユさんはどれぐらい人気があるかというと、最近では『男と女』『新感染』『密偵』3本の映画も大ヒット(全部面白いです!特に新感染の父っぷりはすごかった!)。『トッケビ』というドラマもヒット。新大久保でもBTS、TWICEなどなどと並んでグッズが売られていて、若者にも人気のよう(私の大好きなファン・ジョンミンのグッズは全くないw)。ちなみに『アジョシ』のウォンビンも兵役除隊後最初に出演した作品が『母なる証明』の知的障害のある役柄というのもすごいです。その後に『アジョシ』というギャップ。

役者がすごい

悪役校長&室長双子にはチャン・グァン!マジ怖い。安定の悪役っぷりが、(CGで)2人そろうとさらに憎々しい!そして本当に不気味でした。

子役たちも本当にすごい!韓国の子役者層の厚さ!映画「わたしたち」のパンフレットで読んだのだけれど、こうしたしんどい役柄を演じるときにはカウンセラーもついているようです。(少しホッとします)

どこまで変えられるのか、映画の力

ラストシーン。実は映画自体はすっきりハッピーエンドではありません。見ていて辛くなることも多々あります。なので一人より、ぜひカップルや友達同士で観て、語り合ってほしい。問題に気づいてより一層辛くなるかもしれない。けれど、知らない、無関心、よりは一歩でも前進できるのかと。


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