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バルナックライカの魅力

ライカを使いはじめて3年が経ちました。デジタルのM10モノクロームからはじまり、フィルムのM6、M3と時代を遡り、そしてついにバルナックライカに辿り着きました。バルナックライカは、一般的に普及したフィルムカメラの元祖と言っていいでしょう。

バルナックライカは、1925年(大正14年)発売のライカI型から、1957年発売のIIIgまで製造されており、設計者のオスカー・バルナックの名前からバルナック型と呼ばれています。購入するためには、中古から選ぶことになります。

バルナックライカは基本的に、Ⅰ型Ⅱ型Ⅲ型があり、その中でもいろいろな機種や仕様が存在します。
距離計あり or なし
視度調整あり or なし
板金ブラックペイント or ダイキャストシルバー
スローダイヤルあり or なし
最高シャッタースピード1/500 or 1/1000
吊り環あり or なし
距離計倍率 等倍 or 1.5倍
フラッシュ機構あり or なし
などなど

更に改造によってⅠ型がⅢ型になったり、ボディの貼り革が変色したり、ペイントが剥がれて真鍮が剥き出しになったり、シャッター音の違いがあったり、個体によって様々な個性を持っています。


私が感じるバルナックライカの魅力は、「格好いい」その一言に尽きます。格好いいと感じることは人それぞれで、きっと自分が使っているカメラが一番だと思います。ただ、これまで私はカメラを格好いいと思ったことはありませんでした。カメラは撮影するための道具であって、格好なんてどうでもよかったです。そんな私が、ライカを手にして格好良さに気づきはじめ、ぱっと見、見分けがつかない同じようなカメラを何台も手にすることになりました。

ここからは、バルナックライカDⅡ、DⅢ、Ⅲaをしばらく使ってみて、良い点、気になる点が見えてきましたのでご紹介します。


まずは、気になる点です。

1、表示が見えない
シャッタースピード表示、フィルムカウンター表示、これが少し暗くなると見えにくいです。

2、フィルムの装填
少しコツがいります。はじめはフィルムの一部を切って装填していましたが、下手な切り方をしたため、中で千切れてしまいました。それが何回か続いたため、薄いカードを差し込む方法で装填するようにしました。さらに慣れれば、カードを使わず、ボディの背面側に沿ってフィルムを入れれば、スポッと差し込むことができます。いずれにしても、首からストラップをかけた状態か、机に置いてフィルム装填する方が無難です。慣れないうちはカメラを落とす可能性があります。

3、ピントを合わせる窓と構図を決める窓が別
ピント合わせは、距離計窓で行います。二重に見える被写体を一致させることでピントが合います。合わせたあとに隣の構図窓(50mm固定)に目を移して構図を決めてシャッターを切ります。少々面倒ですが、慣れれば問題ありません。

4、外付けファインダー
ボディについているファインダーは50mm固定のため、50mm以外の焦点距離のレンズをつける場合は、基本的に外付けファインダーが必要になります。(単焦点レンズのみでズームレンズはありません。)これによって、せっかく小さいボディがひとまわり大きくなります。ただし、だいたいで撮影する場合は無くても撮影はできます。

5、修理に時間がかかる
大手カメラ店で購入して、すぐに不具合が見つかり修理を依頼すると、そこから修理業者に渡り、原因の特定や見積りに一ヶ月ぐらいかかります。さらに修理やオーバーホールとなると一ヶ月から数ヶ月かかります。もしくは、いきなり返品という形になる場合もあります。A品とか良品と表示されていても、実際に使うと不具合がある場合もあります。メインカメラとして1台しか持っていない状態だと困ります。対策として、2台持つか、熟練のクラシックカメラ専門の職人さんが運営するお店で購入することです。その場合、何か不具合があったとしてもすぐに対応してくれます。電気を使わない機械式カメラは買って終わりではなく、メンテナンスをしながら使っていくことになるので、信頼のおける職人さんを探しておくと心強いです。


上記のような使いにくい点がありますが、気に入っている点が上回っているので使っています。

良い点
歴史
私が使っているDⅡは、1932年、昭和7年生まれの現在92歳です。100年を経過するとアンティークと言われるそうです。こんな古いものが果たして家の中にあるでしょうか。あったとしても、インテリアだと思います。それがバリバリ現役で使えて、しかも私の日常使うメインカメラになっています。それだけでロマンを感じます。歴史を感じながら良いものを長く使いたい人には、心をくすぐられると思います。

コンパクト
現代のカメラの中でも小さいと言われるM型ライカ、それをさらに一回り
小さくした感じです。M型ライカとローライ35の中間といったところです。バルナック型ライカに装着するL39マウントレンズも超コンパクトです。M型ライカを2台持ち出すのは覚悟がいりますが、バルナック型ライカなら2台は余裕です。レンズを含めて考えると、感覚的にM型の半分から2/3の大きさです。

デザイン
必要最小限、究極に無駄を省いたシンプルなデザインです。そして私はブラックペイントが好きです。板金ライカと呼ばれ、ペイントの光沢により黒の艶があり、銀象嵌と言われる手の込んだ刻印が美しく、さらに使い込むことによって真鍮が現れるところなど、日本の侘び寂び文化を感じます。

低価格
最新デジタルM型ライカだと100万円を超えますが、バルナック型ライカなら5万円から10万円で購入できます。ライカの中では特別低価格です。もしものために複数台持つことも可能で、探せば10万円以下でレンズまで揃います。

うまく撮れない
なかなか自分の思い通りに撮れません。露出、ピント合わせ、構図、タイミング、自分の意思とは違う写真が出来上がってきます。そこが面白いところで、攻略するのが楽しいです。キレイで見栄えのいい写真を撮りたいなら、デジカメのほうが間違いなく簡単に撮れます。詩的な写真を目指すならお勧めです。

M型ライカは全て手放しましたが、バルナックライカはこれから長い付き合いになりそうです。


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