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友人たちがこぞって英会話をはじめた理由
友人と一緒に、海外旅行に来ていた。
ここは、いつもよりも遠くて、高級なホテル。皆で、奮発した旅行だった。
「せっかく素敵なホテルだし、高いかもしれないけど、ホテルのレストランで食事をしようよ」いつもは、外食したり、自分たちの持ってきたカップラーメンを食べたり、節約していた。
皆でドレスアップ、きちんとした身なりでレストランへ向かう。友人達はすぐに、ササッと椅子取りゲームのように席を選んでしまい、私は、残された席に座った。大きな花瓶に、優雅に豪華にいけられた花の前にある、なんだか特別な感じのする席だった。
外国人のイケメン店員さんに、飲み物の案内をされる。試飲をすすめられているようだった。
私は、英語が話せない。
たぶん、「このシャンパンでいいですか?お味はいかがでしょう?お口に合いますか?」そんな事を言っていたのだと思う。かんがえて、考えて出てきた言葉は、
「yes」のみだった。
そして、いかにも高級そうなシャンパンがボトルで出てきてしまったのである。気泡のキメが細かく、飲みやすい、が、私達小娘が頼むには、高級すぎるシャンパンだった。
「おいしい!うわぁ〜、これ、高い奴だ。いくらするんだろ」そんな不安は、頭の片隅に追いやって、シャンパンを堪能した。
友人たちは、私と店員さんとの一部始終を、見て見ぬ振りをして、こそこそ笑っていた。
「なんて言えばよかったのかな。全く思い浮かばなかったよ」「なんで、私に聞いたんだろうね?」
友人達は、ニヤニヤしながら言った。「あの席、上座でしょ?あんな豪華な花のまえ、お誕生日席だよ。嫌な予感がしたから、あそこの席には座らなかったよ」口々に言った。
「え!気がつかなかった」謀られたのか。私が、ぼーっとしている間に。寝顔を隠し撮りされたり、イタズラされたり、私は、いつもどこか抜けている。
「yesでもいいと思うけど、イエスって」他に言い様があるでしょ?と言わんばかりに失笑された。助けてくれなかったのにな。しかし、笑いのネタにされるのも、最もだ、とも思っていた。確かに、イエスは無いな。
あの時、あたふたして、「yes」としか言えない私を見て、友人たちは「恥ずかしい、英語できないのヤバイな」と思ったらしい。
その後すぐに英会話教室に通い出した。
友人たちの学びのきっかけになったのなら、良い事だ。そして、私は、ボーッと生きているので、今だに英語は話せない。
ここまで、貴重なお時間を!ありがとうございます。あなたが、読んで下さる事が、奇跡のように思います。くだらない話ばかりですが、笑って楽しんでくれると嬉しいです。また、来て下さいね!