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英語で世界史の闇:マサムーン・デイトは誰だ

ヒント:日本の有名な武将です。

ちょっと前の日経新聞のコラムで高見沢さんがルートヴィヒ2世について書いていたんです。あ、今 “はぁ?アルフィーの高見沢が日経新聞?” と思ったでしょう?
毎週金曜日の夕刊にコラムがあるので読んでみてね。

で、その中でルートヴィヒ2世はオペラや演劇に傾倒してたくさんお城を作ったという話がでました。あのヨーロッパで一番美しいとされるノイシュバンシュタイン城(トップの写真)を作った人です。

読みながら自分は ルートヴィヒ・・・誰や? と思ってました。一応歴史の先生なんですよ、なのにパッと頭に思い浮かばなくてしばし???でした。
もともと神聖ローマ帝国崩壊後のドイツあたりが苦手なのも理由ですが、自分が んんん?と思ったのは名前自体でした。

私は高校で1学期か2学期か世界史を履修しましたが外国人の名前と外国の土地名を覚えるのが本当に苦手で、受験は日本史を選択しました。
そんな私がアメリカで歴史を教えているのは前世の償いなのかもしれないほど数奇な運命です。日本ではきちんと世界史を学ばなかったので、現在教えている内容はほとんどがアメリカ留学時代に英語で学んだものです。なので人物はほとんど英語読みで覚えています。
これが混乱の元です。

人物や土地の英語読みは日本の読み方とは違うことが多く、さらにはどちらかが現地語読みからは遠く離れているものもあります。日本語の方が現地語の発音に近いものが多いような気がしますがどうでしょうか。
先のルートヴィヒはLutwig で英語ではルートウィグ・・・。

宗教改革で有名なドイツのルターは Lutherで英語だとルーサー。そもそもドイツは英語ではGermany ジャーマニーですので日本読みの方が現地語のDeutshland ドゥィチランドに近いですね。
イタリア北部のミラノMilano は英語ではMilan でミラン、同様にナポリもNapoliなのに英語ではNaples ネイプルス。
星の王子様のサン=テグジュペリはSaint-Exuperyでフランス語読みをあえてカタカナで書くならば サン・エグジュペリヒー(最後の音はなんともカタカナにしづらい)でアメリカ人が普通に読めば セイント・エグジュペリー。
エジプトのツタンカーメンは Tutankhamun トゥータンカァーメンですが、普通は King Tut キングタットと呼ばれます。

現地語・日本語・英語で発音がくるくると変わるので難しいのです!

我が校には日本からの留学生がいるのですが、彼が授業中に怪訝な顔をして手を挙げてこう聞いたことがあります

Ms. Shima….Is Aristotle the same guy as アリストテレス?

彼は日本で古代ギリシャの哲学者アリストテレスを習っていたけれど、それが私が話しているAristotle (アリストートゥ)と同一人物だと気づくのに2日かかりました。
偉いな、と思ったのは若干15歳で点と点を繋いだことです笑。
それ以来彼は人物名の確認にしばしば日本語で質問に来るようになりました。
ははぁ、Vermeer ヴァーミーアは フェルメールなのか?と想像がつくようになったんですね。

でもかわいそうなことに、これに中国史がからむともっと難しくなるんです。日本では漢字は日本語読みになり、例えば 唐は とう と読むけれど英語では現地語読み(に近いもの)になり Tang タン となります。宋代はSong ソン、最初の王朝、秦はQin チンで、最後の王朝、清はQing チンです!ややこし!

現在はなるべく現地語での発音を推奨しているけれどそれもまだまだ難しいのが現実なので、日本の偉人もしばらくは
豊臣秀吉Toyotomi Hideyoshi ハイドヨーシ・トイオトーミと
伊達政宗 Date Masamune マサムーン・デイト と 別の誰かになったままですよ。

シマフィー

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