見出し画像

”冒険者たち”に見るアメリカ開拓と国立公園

モンタナ・ジョーンズというNHKのアニメの主題歌だったこの曲は放映されていた時代に子供だった人には馴染みのあるメロディーではないでしょうか。
残念ながら1994年には私はもう大人であり、日本にもいなかったので、この曲を聴いたのはごく最近です。
25年前のシングルながら、今聴いてもキャッチーでタイトルにぴったりの心踊る曲です。まさに冒険の始まりを思わせるイントロがかっこいいです。

歌詞から私が連想したのは開拓時代のアメリカ西部
特にルイス&クラークなどの西部開拓と探検の頃のアメリカでした。
そこここに出てくるキーワードがその時代を思わせるので、高見沢さんも狙っての作詞だったのでしょうか?

♪ため息をつく瞬間に世界地図は変わってく
♪国境が消えたその時 新しい時代見えてきた
♪Gold Rush! 百万ドルでも夢は買えない だからつかみたい
♪死ぬか生きるか ゼロから始まる Gold Rush!

まさに1800年代のアメリカ!未知の地への冒険の時代です。

歌詞はこちらから:クリック

アメリカ史にみる開拓時代は未知の世界への希望を持っての大移動、たどり着く場所には安住と安定、一攫千金をねらうまさにアメリカン・ドリームといいことの方がとりあげられるとは思います。しかしながら開拓民の移動中の事故・原住民の迫害や虐殺・野生動物の淘汰などの暗く悲しい事実を伴う時代です。

でもアルフィーの素敵な曲に悲しい印象を持たせたくないので、今回は楽しげなことに絞って書きます。せっかくなのでモンタナ・ジョーンズに合わせてモンタナ州に注目してみます。

Corps of Discovery 発見隊

本格的に東海岸から西へ向けての移動が始まったのはアメリカ独立戦争が終わった1800年代の初めです。1803年に中西部一帯(当時のフランス領ルイジアナ)をフランスから買い取ったことで領土をひろげたアメリカは、さらに西への開拓を進めます。1804年にルイス&クラークの二人がジェファーソン大統領の“アメリカ大陸の最短横断ルート”を見つける任命を受け始まります。実は大統領は経済発展のためのルートだけでなく、道々で発見した珍しい動植物を持ち帰るようお願いしていました。
この二人(と隊員たち30名余り)がモンタナ州を横断した最初の白人でした。

その当時のアメリカ合衆国としての西端、ミズーリから出発して帰るまでの距離は8000マイル(約13000キロ)の長旅で、2年間に渡り以下のルートで旅をします。
赤丸で囲んだ部分が現在のモンタナ州です。

画像1

全米初のナショナルパーク:イエローストーン

モンタナ州を訪れる理由は一つ!ナショナルパーク!
1872年に全米初のナショナルパークとしてイエローストーンの保護が始まりました。
それに続き、数年の間にナショナルパークが増えていきます。
セコイア(カリフォルニア)1890年
ヨセミテ(カリフォルニア)1890年
レニエア山(ワシントン)1899年
クレーターレイク(オレゴン)1902年
ウインドケイブ(サウスダコタ)1903年
メサベルデ(コロラド)1906年
グレイシアー(モンタナ)1910年
ロッキーマウンテン(コロラド)1915年
ハレアカラ(ハワイ)1916年

ハワイ以外はどれも西部開拓のために色々な探検隊が訪れたところです。現在アメリカには62のナショナルパーク(国立自然公園)があります。

モンタナのイエローストーンやグレイシャーナショナルパークは、アメリカに旅行する機会があるならば是非訪れて欲しい素晴らしい場所です。公園内ではその景色や自然だけでなく、多様な植物、動物、鉱物についても楽しく学べるところです。パークレンジャーの方の案内付きの散策やアートや科学のアクティビティなども楽しめます。
ルイス&クラーク探検隊も100種以上の植物、120種以上の動物、60以上の鉱物などの標本を持ち帰っています(現在は葉っぱ一枚・石ころ一つ持って帰ってはいけません。法律で禁じられています)。

そんなモンタナのナショナルパークで運が良ければ見れるかもしれない、ルイス&クラークの日記に残されている動物を3種あげてみます。

Big Horn Sheep
名前の通りツノがかっこいい羊属のビッグホーンはロッキー山脈一帯で見られますのでコロラドやニューメキシコでも遭遇できる動物です。ただですね、高地に住むので山の上の方が見られる確率が高いです。

画像2

Thirteen-lined Ground Squirrel
またまたその名の通り13本の茶白のストライプが目印です。中西部の広範囲で見られます。尻尾も合わせて17−30cmくらいなのでシマリスと同じくらいですね。親近感湧きまくりです。

画像3

Gray wolf

画像4

ハイイロオオカミは家畜を殺すとの理由で、西部開拓以降はその数が減る一方で、20世紀にはアメリカ国内ではほぼ絶滅の状態でした。しかしながら90年代に入ると保護活動とイエローストーンへの再導入によってオオカミも環境も生まれ変わります。
オオカミによって自然にバランスの良い生態系が生まれ、それが川の流れをも変えてしまったという報告がありました。
こちらの記事で日本語の説明とビデオが見れます。

残念ながら西欧からの移民・西部開拓が進んだ結果絶滅してしまった、また絶滅の危機に面している動植物が数多く存在しますが、人間の働き一つで、自然のとの共存は可能であることを示す素晴らしい例となりました。

かつての冒険者たちを魅了したアメリカの自然は、現代の私たちをも冒険者の気分にさせてくれる素晴らしい場所です。開拓から200年余り・・・これから進む Gold Rush!は一攫千金の金銀を掘り当てるのではなく、自然そのままの価値を見出しに行く旅になることを大いに期待しています。もう過ぎてしまった暗い過去はどうしようもないですがそれを教訓に、国全体がかつてのアメリカ原住民が愛した自然のスピリチュアルなつながりを大切にしてくれるといいなと願っています。

♪Gold Rush! 百万ドルでも 時は止まらない だから行くのさ〜

シマリスも高見沢さんからの果てしなき浪漫に誘われて行ってきます〜

シマフィー

冒険者たち:大人になってもワクワク曲です

参考文献

History, WRITTEN of, et al. “Lewis and Clark Expedition | Summary, History, Members, Facts, & Map.” Encyclopedia Britannica, 22 Oct. 2020, britannica.com/event/Lewis-and-Clark-Expedition.

Hodson, Mark. “Twelve Oldest National Parks in the US.” HuffPost, 21 Apr. 2017, huffpost.com/entry/twelve-oldest-national-parks-in-the-us_b_58f9e163e4b0f02c3870e8c8.

Johnsgard, Paul A. Lewis and Clark on the Great Plains A Natural History | Journals of the Lewis and Clark Expedition. lewisandclarkjournals.unl.edu/item/lc.sup.johnsgard.01.04.

Montana’s Official State Website - BRIEF HISTORY OF MONTANA. mt.gov/discover/brief_history.aspx.

“Ohio.” The Library of Congress, loc.gov/resource/g3701em.gct00002/?sp=49&r=-0.009,0.465,0.62,0.308,0.

Portman, Jed. “The Great American Bison - Need to Know | PBS.” Need to Know | PBS, 5 May 2011, pbs.org/wnet/need-to-know/five-things/the-great-american-bison/8950/.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?