優しいなぁ、ありがとう
もうすぐ3学期が始まろうとしているがちょっとあたふたとしている。
理由はいろいろなのだが、一番は校長先生に ”シマ先生、選択科目ひとつやってくれない?” と頼まれたからだ。大抵選択科目は一年の初めにどれをやるかを提出し、それを協議して他の授業や自分の時間割や生徒の興味なんかを加味しながら早いうちに決まる。でないと準備も追いつかないし生徒たちへのアナウンスも間に合わない。(*アメリカの私立校で教師をしています)
なのに先週になって校長先生がむちゃぶりしたのだ。シマ先生、ひとつお願い、って。
断ることも出来たけれど彼が私に頼んできた理由も知っているので(教師が一人クビになった)、自分の授業数はいっぱいいっぱいだけれども引き受けてしまった。
今日の全校集会で来学期の選択科目の発表があり、次々に授業名と内容、そして担当教師の名前が読み上げられる中、私の授業の部分は
”えーーー、シマ先生の選択科目は未定です!サプライズでーす!多分自然科学か英文学かそんなんになりまーす!えへへ”
そう笑いながら発表され驚いた。いやいやいや、直前に頼んできたのあなたですやん(笑)そんな私がまるで準備してないみたいに言わんでも!
恥ずかしさのあまり自分も笑ってしまったが周りの同僚も大笑いしていた。生徒たちも笑っていた。未だかつてこんな適当な選択科目の発表があっただろうか。内容もタイトルもわからないのだから生徒たちも選択のしようがない。
集会が終わりぞろぞろと教室に帰るまでのあいだに何人かの生徒に声をかけられた。
”先生の選択授業、取るよ!”
まだ何やるか決まってないからいいよ、ちゃんとわかってから登録しなね。明日か明後日には何をやるか決めるよ!
そう言う私を追い越しながら生徒たちはくちぐちに叫ぶ
”いいんだよ、サプライズで!内容はなんでもいいんだ!僕らは先生の授業ならなんでもいいんだよ!”
隣を歩いていた同僚がにっこりして言った ”校長先生がシマ先生にお願いした理由がわかりました・・・いいなぁ、こんな風に言ってもらえて”
優しいなぁ、ありがとう。単純だけどこんな優しい言葉で大変な仕事も楽しくやれちゃうんだなぁ。
シマフィー
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