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燃えて上がるは 寧静の願
花は霧島 煙草は国分 燃えて上がるは オハラハー 桜島
活気満ちるおはら節に涙が出る歳になった。
自分が住んだのは短い間だったのに、両親の住む鹿児島の風景が短い一節に乗って郷愁にも似た気持ちを大きくする。こんな事態になるのだったら頻繁に帰るべきだった。簡単に帰れる時に帰ればよかった。
壮大で優雅で力強い鹿児島。
知らない言葉を話す日本人がいる、異国の匂いの路地がある、不便な土地に自由が光る。マザーアースの底力を思い知らされる自然の脅威を前に、人間の哀れを綴る歴史の隣で、訪問者の誰もがそこで人間として自身を思う時間を過ごすのではないだろうか。
遠くにいる私が自身を振り返り口ずさむのは愛するバンドでも、毎日聴くショパンでも、思い出のメロディーでもない。
燃えて上がるは オハラハー 桜島
今日も父と母はベランダから桜島を眺めているだろうか。
寧静を強く願う娘の顔がその絶えず燃ゆ山の向こうに見えているだろうか。
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