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ミケが?ミケは?助詞の違いに寄り添う音の効果:"My Life Goes On"

The ALFEEの新アルバム”天地創造”の中の4曲目、"My Life Goes On" はアルフィーにはめずらしい3拍子の軽やかなリズムに乗った高見沢さん曰く”半径3mの世界”を描いた楽曲です。優しい坂崎さんの歌声とアコースティックギター、そして断捨離や生と死を等身大に書いた歌詞が印象的です。

これを初めて聴いた時におや?と思ったのはサビ前のミケの部分です。

1番の歌詞は”ミケが天国へ”↓

長い道のりの途中で 掴んだモノなくしたモノ 沢山の想い出詰まっているのが 今の僕だよ でも僕のスペースは広くないし そろそろ荷物を捨てる時かな? そう思い始めたある朝に 突然 ミケが 天国へ 

この後に続く ”ただ悲しくて、悲しくて”からの高見沢さんのギターフレーズはまるでネコちゃんが鳴いているように聞こえます。*にゃーの部分は私が付け足しました。

ただ悲しくて(にゃー)悲しくて(にゃー)涙ポロポロ 一緒にいてくれて(にゃー)幸せだったよ(にゃー) ホントにありがとう 

死んでしまったミケも坂崎さんと同じように悲しい気持ちや幸せだったという感情を抱いていて、それを坂崎さんに伝えているような・坂崎さんの言葉に優しく呼応するような ”にゃー” なギターです。

3番の同じメロディの部分は”ミケは天国へ”↓

いつも僕のそばにいたね その寝顔に何度も癒されたよ もう少し一緒にと思ってたのに 突然 ミケは 天国へ

この部分からはバイオリンのストリングスが入り、”ただ悲しくて、悲しくて”からのパートにはギターの”にゃー”はありません。

その代わりにストリングスの音色がまるで死者を送る曲のような、ゆっくりと明るい日差しのさす天国にミケが昇って行っているような映像を思わせる作りになっています。柔らかい弦の音に、突然の死ながらミケが天寿を全うし幸せな眠りについたことが想像できます。

そして坂崎さんが ”ただ悲しくて、悲しくて、涙ポロポロ”と歌うバックにはストリングスに重ねて、1番にはなかったギターの寂しげなポロポロンという音色が大粒の涙がこぼれ落ちる様を表現するように鳴っています。

そのバックのサウンドの変化を考慮して、なぜ1番は ミケが天国へ と歌い、3番は ミケは天国へ になっているのかを考察しますね!

ミケが天国に:主体に焦点をあてる”が”

私はシマフィー です と 私がシマフィー です、どちらも英語だと I am Shimafee なのですが、英語だとどの単語を強調するかでどの部分に焦点を当てているのかがはっきりします。

私はシマフィー です = I am Shimafee.

私がシマフィー です  = I AM Shimafee.

こうやって見ると”が”と”は”が強調している部分が違うのがわかりますね。

一番では ミケが天国へ(行ってしまった)と、これまで聞き手が知らなかったことが明かされますが、この”が”を聞くだけで天国へ行ってしまったのが数ある大切な存在の中のひとり(1匹)ミケなのがわかります。

なので歌を聴いている私たちは ”ミケ〜〜(涙)”とこのショッキングな新情報にうるうる来るわけです。

そしてもう1つの”が”の効果はミケ以外にもネコちゃんがいるのだな、と思わせてくれることです。坂崎さんがネコちゃんを何匹か飼っている事をファンは知っていますが、知らない人も ”ミケが死んじゃったのか、でも他のネコ(タマやシロやチビ)は生きてるんだな" との印象を受けます。

そう考えると”ただ悲しくて(にゃー)”のにゃーは残されたネコたちが坂崎さんの悲しさに共感しているにゃーなのかもしれません。

ミケは天国へ:対比を見せる”は”

ではなぜ3番ではミケは、になっているのか・・・それはその歌詞の直前にヒントがあります。

いつも僕のそばにいたね その寝顔に何度も癒されたよ もう少し一緒にと思ってたのに 突然 ミケは 天国へ

聞き手にはミケが死んでしまったのはもうわかっている、それだけで”は”を使うのが正解ですが多分この部分で一番大切なのは坂崎さんとミケの立ち位置の違いです。

坂崎さん”は” もう少し一緒にいたい、だけどミケ”は”天国へ行ってしまった

両者が全く違うところにいることがわかります。”高見沢さんiPhoneだけど、桜井さんガラケー” のように対比に使う”は”です。

ミケは天国へゆっくりと昇っていく、地上で坂崎さんは涙をポロポロ流している、そんな距離の対比がバックに流れる音から伝わってきますね。

おまけ:主題を強調する”は”

先の例文の ”私はシマフィー です” のように主語の後に来る部分を強調し話の主題・内容に焦点を当てる”は”もあります。サビの部分に出てきます。

Life goes on 僕は歩く 信じたこの道をひとり Life goes on  僕は歌う 希望という 愛の詩を All over the world 平和を祈ろう

悲しいこともあるけれど、それでも人生は続く(life goes on) なので僕は歩き続ける、僕は歌い続ける そんな力強い決心と動きに焦点が当たっています。

これが 僕が歩く、と主体に焦点が当たると、 "桜井さんと高見沢さんは歩かんのかい!!" となってしまいますね。

高見沢さんの音作り、歌詞のこだわり、表現力、メッセージの力強さ、そして歌い手・聴き手によりそう優しさが際立つ楽曲です。

やっぱり高見沢さんは天才やった・・・・そんな My Life Goes On です!

シマフィー 

前回の考察もネコちゃんでした!Funky Cat!

*プロ日本語教師のお友達の皆さん、何か間違いや抜けている説明があったらこっそり指摘してください!日本語難し!ちょっと不安!笑

↓参考したページです


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