”君死にたもうことなかれ”
日本から来ている生徒がいる。私のクラスにはいないのだが、時々放課後にやってきて日本語でおしゃべりしたりする。(*アメリカの高校で歴史を教えています)
11年生のFちゃんが手に握りしめて私の教室に持ってきた一枚の紙には、詩が書かれていた。
与謝野晶子の ”君死にたもうことなかれ” (日本ペンクラブ電子文藝館より)
今日の歴史(私の担当ではない)はロシアの歴史とウクライナ情勢のニュースだったらしく、カリキュラムにはない特別授業で、映像やニュース記事などと共に今、何が起こっているのか、それがどう過去と未来に繋がっているのかをディスカッションしたらしい。
彼女は去年まで東京の進学校にいた。その時に習ったこの与謝野晶子の詩を、ウクライナの映像を見ながら思っていたらしい。そしてすぐに調べて、印刷して、私の元にやってきた。
”先生、この詩を英語に訳して、歴史の先生とクラスに持っていきたい。一緒に訳してもらえませんか?”
そうお願いされ、二人でゆっくりと読みながら訳していった。
100年以上前に、ウクライナからもアメリカからも遠く離れた場所で読まれたこの詩を読みながらFちゃんはうるうると瞳を潤ませていた。
この光景を見て、与謝野晶子もうるうるしているだろう・・・そう思いながら私もうるうるしていた。
シマフィー
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