見出し画像

日・米・中3カ国またにかけたA-ha!

アメリカでの博士課程の途中で、どうにもパンクしそうだった私は、あんまり何も考えずに中国で英語教師の職を見つけてアメリカを出た。
1年のつもりで来たけれども、結局は5年以上も中国に住んだ。

その暮らしの中で、些細なことだけれど頭の上にピーンと電球が光るような

💡はーーーーそうかーーーーー💡

と、点と点がつながる一瞬が何度かあった。
一昔前に流行った A-ha体験のようなものだ。

最初は中国語をまだ本格的に学ぶ前(そこらへんの自分の話はこちらへ)。
街をぶらぶらしている時に、いい匂いのする店の前を通った時。

半屋台・半食堂のような、奥にはテーブル席があるが店の前面にはドアもない吹きっさらしの店頭でおっさんが大きい鉄板で何かを焼いていた。
大きい鉄板は、多分一般人が想像出来るこの世に存在する鉄板よりもはるかに巨大で、大体直径1mほどの、まるで開いた傘ほども大きいものだ。それが2台ある。
蓋がしてあるせいで中身は何なのかわからないので、ちょっと上を見上げて看板を読んでみた。

鍋貼

何やろ?鍋に貼る・・・クレープとか?でも匂い的には肉まんのような肉汁の焼けたものに近い。

ワクワクしながらおじさんが巨大な蓋を開けるのを凝視していると、そこに湯気とともに登場したのは餃子だった。
日本の餃子よりもひと回り大きい。おじさんが手早く焼き目を上にして6個づつ皿に盛っているのを見ても、これは紛れもない餃子だ。

看板には 鍋貼 とあるので、中国では餃子とは呼ばないのかなぁ、と思っているときに来た。

A―haの瞬間である。

私はアメリカで、常々 “なぜアメリカの中華料理店では、餃子をdumplingsと言わないのだろう?” と不思議に思っていた。
水餃子やスープの中のものはChinese dumplings と呼ばれるけれど、同じものを焼いた日本人の “餃子” は fried dumplings なんじゃないのかなと思うも、friedは焼いてあったり揚げ餃子だったりでわからなかった。
大抵は焼き餃子は pot stickers と呼ばれていた。
冷凍食品のコーナーにあるものも pot stickers と書いてあった。

中国の田舎の町で、その理由がやっとわかってなんだか愉快になってきた。

Pot=鍋 Stick=貼る そのまんまの直訳だった。

それが理由かわからないけど、それ以来鍋貼にハマり、週に一度はそのおっさんの店へ通った。

中国人の同僚に聞くと、本当に美味しい餃子は水餃子で、鍋貼は餃子ではない、あれは貧乏人の食べるスナックだ!とまで言われた。
彼らに“ほんまもんの餃子”を食べに連れて行かれたが、私はやっぱり鍋貼が好きだった。

出会う中国人には“中国料理は何が好き?”と聞かれるたびに

鍋貼(グゥオティエ)、と答え必ず怪訝な顔をされた。

最近ではアメリカの中華料理店でも焼き餃子のことをGyozaと言う。
アペタイザーとして餃子が浸透し、アメリカ人も焼いてある dumplings は Gyoza なのだと認識している。果たしてそれが日本語だと知っているかどうかはわからない。
中華料理にもあるから、中国語と思ってても不思議はない。

そんな人は初めて日本に来た時に、私のように a-haの体験をするのだろうか。

そうだといいな〜

シマフィー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?