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教師シマリス

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学校の授業、教育系のアレコレ、楽しく学ぶ工夫、そんなことを書いた記事をまとめました。 現在アメリカの私立高校で歴史と科学などを教えていますが、それ以前は日米を含め6カ国で英語・コ…
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#高校生

君が留学決める前に言っておきたい:関白宣言

君が留学 決める前に 言っておきたいことがある かなりきびしい話もするが シマリスの本音を聴いておけ 英語ばかりを 学んではいけない 英語だけ出来ても 何にもならない 読書の時間作れ 歴史・数学・美術史 どれも全部やれ 日本語でいいから 忘れてくれるな 国語の読解も出来ない生徒は 英語で読解、分析、論文、何にも出来ないってことを 発音よくても、教養不足で 落第ってこともあるから 英語以外も今のうちから 黙ってたくさん勉強してこい 今時の若い人、さだまさしさんの ”関白宣言”

楽しい楽しいで毎日が終わる

そんな自分はなんと幸せ者だろうか、と毎日ありがたく思っている。 パンデミックはまだ終了とは言えないが(実際居住地の郡は陽性者数も上がっている)教室内でのマスクは既に必須ではなく、学校行事もいつも通りに行われつつある(*アメリカ東の私立高で教師をしています)。 留学生の数も昨年と比べると多くなり、新入生歓迎オリエンテーションには父兄付き添いの留学生も多く、各国とアメリカの行き来が通常に戻りつつあるのだなぁと実感した。 今年はチームに大学院出立てのホヤホヤ新任の先生も加わり、

やっぱり教室内だけでの学習では足りないんだ

昨日の記事でお伝えした通り、今日は遠足(field trip)だった。(*アメリカ東の私立校で教師をしています) 外に出られるだけで嬉しいのだが、今日は最高の天気で水族館はあまり混み合っておらず4−5人の班に分かれてゆっくりと見て回ることが出来た。 学校の外で行動する生徒たちを見るのは本当に久しぶりで、いろんなものに興味を示し、質問をして写真を撮って、また違うものを観察してキャアキャアとはしゃぐ様子を眺めていると、やっぱり教室の外での学びは必要なのだなぁと実感した。 み

宿題手伝い隊:勉強以上に大切な学び

3時に授業が終わり、その後1時間から1時間半ほどのクラブ活動やスポーツの時間があるが、そのどちらもやっていない生徒は家に帰るか残って勉強するか、を選択する(*アメリカの私立校で教師をしています) 私はクラブの顧問はしていないので教室に残り、補習や質問に来る生徒たちを待っていることが多い。 誰も来ない日もたまにあるが、そんな日はザックザックと論文の添削をしている。 今学期は最終学期ということもあり、生徒たちはなんとか成績を上げようと必死だ。遅れてしまった課題やプロジェクト、

手を繋ごう

”先生、カフェテリアまで手を繋いでくれない?” 何年か前のことーーーそう真顔でお願いしてきたのはかつて私のクラスにいた12年生の男子生徒だった。(*アメリカの私立校で教師をしています) 私はちょっとだけ戸惑った、というのも我が校は生徒にハグをしたりすることは禁止されていないけれど(一般的には教師は生徒を触らない、という決まりがあります)、手を繋いで歩くことはまずない。 私の困惑が表情に出ていたのだろう、彼は”今日だけ、お願い”とにっこりする。 普段はそんなこと言わない

Haiku! So cool!

隣の文学の授業で俳句をやっていたのでちょろっと覗いてみた。(*アメリカの私立校で歴史を教えています) 英語での俳句・Haikuは基本的に季語はすっとばし、とにかく5・7・5の形をまず覚えさせる。その先生も懸命に手を叩きながらシラブル(音節)を教えていた。 "Win(パチン)ter(パチン)clothes (パチン)are(パチン)” 音節は1つの音の塊なのでスペルを見ながらだとアメリカ人の生徒にもちょっと難しい時がある。留学生もアメリカ人の生徒も一緒に手をパチンパチンし

優しいなぁ、ありがとう

もうすぐ3学期が始まろうとしているがちょっとあたふたとしている。 理由はいろいろなのだが、一番は校長先生に ”シマ先生、選択科目ひとつやってくれない?” と頼まれたからだ。大抵選択科目は一年の初めにどれをやるかを提出し、それを協議して他の授業や自分の時間割や生徒の興味なんかを加味しながら早いうちに決まる。でないと準備も追いつかないし生徒たちへのアナウンスも間に合わない。(*アメリカの私立校で教師をしています) なのに先週になって校長先生がむちゃぶりしたのだ。シマ先生、ひと

”君死にたもうことなかれ”

日本から来ている生徒がいる。私のクラスにはいないのだが、時々放課後にやってきて日本語でおしゃべりしたりする。(*アメリカの高校で歴史を教えています) 11年生のFちゃんが手に握りしめて私の教室に持ってきた一枚の紙には、詩が書かれていた。 与謝野晶子の ”君死にたもうことなかれ” (日本ペンクラブ電子文藝館より) 今日の歴史(私の担当ではない)はロシアの歴史とウクライナ情勢のニュースだったらしく、カリキュラムにはない特別授業で、映像やニュース記事などと共に今、何が起こって

留学生が落ちた穴、あっちとこっち

私が教える小さな田舎の私立校にも留学生が来ている(*アメリカ東で歴史を教えています)。 6−7年前に留学生の数が一気に増えた時期があった。その大半は中国、ブラジル、ロシアのBRICS(インドからはいなかった)の経済発展が著しい国からだった。この子達の親御さんはどんなご職業なのか知らないけれどとにかくお金持ちで、プライベートジェットやリムジンでやってくる生徒もいた。 彼らのほとんどは高校を卒業してアメリカの大学に進学するというプランのもとにやってくる。彼ら自身がそう決めたの

成績つけたくない病

期末テストを作っている。 1教科、大体2時間が割り当てられるので、読む問題やら書く問題やら、図形や絵を書く問題も大量に作る。これまで教えてきたことや話し合ったこと、学んだ新しい単語やコンセプトなどを盛り込んで、なるべく知識が偏らないように作るようにしている(*アメリカ東で高校教師をしています)。 歴史のテストだと年号やら人の名前やらを入れたくなる衝動をぐっと堪えて、なるべく暗記すればパスするような問題は作らない。地図やグラフや絵画を使い、歴史のなかの出来事や人物や条約や貿

良いこと掲示板

そろそろ2学期も終わりに近づき、生徒たちは出してなかった宿題をなんとか終わらせようと頑張ったり、テストの成績にがっくりしたり、さらには今学期の成績が芳しくないですよとか遅刻が多いですよとか宿題が出されてませんよ、などのメールが校長先生から親に行ったりして、ちょっとアンハッピーな日が多くなる。(*アメリカ東で教師をしています) おまけに外は氷点下だし、先週積もった雪はまだ溶けてないし、マスクは鬱陶しいし、教室の窓も開けなくてはいけないので中にいてもジャケット脱げないし、と全然

運命に正しく動かされてこの仕事をしている

私は飽き性でひとつのことが長続きしたためしがない。 ピアノの練習、ブッククラブ、学生時代の研究、発掘調査、編み物、大好きなカフェ通い、日記やブログ・・・・いろんなことを始めてはほどほどまで行くと次に興味が移って辞めてしまう。Noteに一年以上も毎日記事を書いているのは自分にとっては奇跡であり、一年以上続けてもまだ楽しいnoteの魅力はすごいな、とも思う。ちなみにアルフィーさんにも全力で愛を捧げて2年になる(前回力を入れたのは30年前でした)が、アルフィーさんが48年続けてく

”いつか先生とハグできる日が来るのかな”

日本も感染者が増えているようですね、ニュースを見るたびに数字の意味を考えることが多くなりました。私の住んでいるアメリカ東海岸でも陽性者数が信じられないほど多くなり、うちの学校もこれまでより一層マスク+手洗い+消毒+換気が強化されています。(*私立高校で教師をしています) うちは学校内での感染を徹底的に防ぐため、教室内でのディスタンス、ランチ時の列や座る場所、毎朝の健康チェック(登校前にアプリで報告)、全職員と生徒の定期的なPCR検査を行ってきました。その甲斐あってがパンデミ

偽マルチリンガルの微笑

私が”使える”言語は母語の日本語を含めて3ヶ国語、”わかる”(聞いてわかる・読んでわかる・なんとなくわかるw)のを入れても全部でせいぜい5−6か国語だ。その中でも自信を持って自由に使えるのは日本語と英語の2つだけだ。(*アメリカの私立高校で教師をしています) だけど生徒たちは私が何ヵ国語もペラペラのマルチリンガルだと思っている(笑)。 なぜかというと私は英語ではない外国語にパッと反応するからで、授業中でも休み時間でもランチのテーブルでも、Non英語の言葉をすかさずキャッチ