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「ストレスがない方がいい」は嘘。リモート社会での科学的なストレス対策6選

みなさんは「ストレス」と言われたら、どんな印象を抱くでしょうか?

多分悪いイメージの人がほとんどでしょう。「ないに越したことはない」「ストレスを感じる環境やタスクを避けた方がいい」と思う人が多いのではないでしょうか。ただ科学的にはそうとは言えません。

今回は「そもそもストレスとは何か?」について理解を深めてもらってから、科学的にどうやってストレスと付き合っていくのが有効かについて、6つほど手法を紹介したいと思います。

ちょっと長いので、結論だけ知りたい方は「ストレス対処のテクニック6選」の部分だけ読んでください。原理を知りたい方は、最初からどうぞ!


そもそも「ストレス」とは?

ストレス(stress)とは、そもそも物理学で「物体の歪み」を示す言葉です。

日常的に使われるストレスという言葉は「心理的なストレス」についてです。心理学では「刺激から引き起こされる、生物学的な反応」と定義されます。つまりイライラだけでなく、例えば「人前に出て緊張した…」などもストレスであるということです。

ここで2つ覚えておいて欲しい心理学用語があります。「ストレッサー」「ストレス反応」です。上記の"刺激"のことを「ストレッサー」と呼び、"生物学的な反応"を「ストレス反応」と呼びます。先ほどの言葉を言いかえると「ストレッサー(刺激)から引き起こされる、ストレス反応(生物学的な反応)」の一連を、ストレスと言うんですね。正確に言うと、みなさんが普段使っていたであろう「ストレス」と言う言葉は、ストレス反応のことだと思います。


ストレスの発生する仕組み

ストレスの仕組みは、セリエのストレス理論が有名です。1936年提唱とかなり古い理論ですが、未だ科学的には大きな批判は見たことがないので、結構当てはまってる可能性が高いものです。

大事なポイントとしては「ストレス反応が起こると、元の状態に戻ろうとする」ということです。例えば、サウナに入って暑いと感じたら、サウナから出ようと思いますよね。これはストレス反応が起こり、暑くない元の状態に戻ろうとしていることなのです。


ストレスのかからない状態がいいとは言えない

ストレス反応のかからない状態が必ずしもいいとは思えません。それを3つの観点から話します。

①状態を変化させるのに必要

例えば、何かしらのテーマについて進歩したいとします。それは「脳の状態を変化させる」ということ。つまりストレスは、先ほどのボールの図のように脳の状態を変化させようとしているのです。

これは「今の感情を穏やかにする」という目的ではかからない方がいいストレスかもしれませんが「将来進歩する」という観点では、必要なものである可能性があるということです。逆にストレスがかかってない状態は、既にある脳回路を使って応用可能なことをしているだけで、進歩していない状態である証拠にすらなっている可能性があります。ストレスフリーな生活をしている人は注意した方がいいかもしれません。

②身を守るために必要

これを理解するためには、脳科学的(物質的)な観点でストレスを理解しておく必要があります。このストレス反応を起こしているのは、脳の扁桃体という部位です。この扁桃体が興奮している状態がストレス反応です。

ではなぜ扁桃体が興奮するかというと、主にコルチゾール・ノルアドレナリンという2つのホルモン分泌により、扁桃体が興奮します

「じゃあコルチゾール・ノルアドレナリンが分泌しなくなればいいんじゃん!」と思うかもしれませんが、そうではありません。コルチゾールはストレスホルモンで、例えば「これは毒が入ってて変な味がするから、吐き出そう」という感情が起こるのはコルチゾールの働き。ノルアドレナリンは闘争・逃走ホルモンと呼ばれ、例えば「変な人に襲われたから、戦おう(逃げよう)」という感情が起こるのは、ノルアドレナリンの働き。つまり、この2つのホルモンがなくなってしまっては、自身の身の危険を守れなくなるということなのです。

③ストレス・パラドックスという考え方

現代科学では「ストレスは幸福を生み出すことに必要なのではないか」といわれています。この理論をストレス・パラドックスと言います。

有名な研究で、アメリカのコンサルティング会社「ギャラップ」の世論調査を紹介します。2005年〜2006年にかけて、121カ国、12万5000名の15歳以上に「あなたは昨日、大きなストレスを感じましたか?」ということを聞き、幸福度との比較をしました。

結果としては意外や意外、ストレス度指数の高い国ほど、国民の幸福度や人生に対する満足度も高いことがわかり、平均寿命も高かったという結果が出ました。これが何を指し示しているかというと、ストレスが幸福度を落とすばかりか、幸福度を上げている可能性を示唆したということです。

もちろんストレスの対処が悪ければ、ずっと引きずり幸福度が下がるのは当然のことです。つまりストレスの対処がよければ、幸福度を上げることに繋がるのではないかということです。


ストレス対処のテクニック6選

では前置きが長くなりましたが、ストレス対処としてのテクニックを記載していきます。現在コロナ禍で、リモートワークの人も多いと思うので、それにも対処した方法を伝授します。

①ストレスがない状態を「ヤバい」と認識する

ストレスがない状態は、進歩していない可能性が高いです。前述の通り、元々できることをただしているだけの状態という可能性が高いです。

例えば仕事でストレスがかかった時には「上手く対処できない仕事・人間関係などに直面していて、元の精神状態に戻ろうとしているんだな」ということを認識し、元に戻らない方法を模索するとよいです。ストレス反応に対して元に戻る(その状況を避ける)ことをすると、脳回路が進歩しない選択をしたということ。ここで元の状態に戻っては、同じような事象が今後の人生で発生した時に、同じストレスを感じてしまうということ。例えばあなたが22歳で社会人になり、24歳に初めて出会った類の事象だとしましょう。60歳まで働くとしたら、単純計算で(60-24)÷(24-22)=18回人生で発生する事象です。あなたはこの度にストレスを感じ、その状況・環境を避ける対処をしなければいけないということです。これはあなたにとって得なことでしょうか?多分得なことではなく、他の大切な観点で環境を選べた方がいいはずです。

②コルチゾール・ノルアドレナリンをコントロールする

コルチゾール・ノルアドレナリンが、生きていく上で必要ということは前述しましたが、ストレス発生のためには害になることはあります。つまり「必要な時には分泌し、必要でない時には分泌しない」というコントロールができると良いですよね。

このコントロールをするのが「セロトニン」というホルモンです。うつ病の人はこのセロトニンが足りていない状態です。セロトニンは本来、強い光(1500LUX〜)が目に入ることにより分泌されます。具体的には「日光を15分間、目に入れる」ことで分泌します。セロトニンは12-14時間後にメラトニンという睡眠ホルモンになるので、寝たい時間から逆算した方が良いです。

つまり「朝、日光を15分以上目に入れる」ことをオススメします。

ただしリモートワークで家におり、日当たりがよくない家に住んでいる人もいますよね。その場合には「ガムを15分以上噛む」「朝食を15分以上かけて食べる」ことをオススメします。何が言いたいかというと「15分以上の咀嚼は、セロトニンを分泌させる」という事実があること。代替手段としては、これでもよいです。こういうボトルガムを机に置いておいて、暇つぶしにガムを噛むのもいいかもしれませんね。

また、ガムに関しては以前Twitterでも触れさせてもらいましたが、疲れている時のパフォーマンスUPにもつながります。


③扁桃体の興奮を抑える

だいたいイライラするような事象が起こったときには、扁桃体が興奮して本来のあなたのストレス耐性以上のイライラを感じている場合がほとんどです。扁桃体の興奮を抑えるためには、副交感神経に切り替える必要があります。有名な3つの方法は「入浴」「スタティック・ストレッチ」「深呼吸」です。

入浴は40℃程度のお湯に、15分程度浸かることで副交感神経への切り替えを行うことができます。

スタティック・ストレッチ(static stretch)とは何かというと、グイグイと動かずに静止して伸ばすストレッチのことです。これも副交感神経に切り替える方法としては優れています。僕は毎日15分程度行っています。

そして最後に「深呼吸」。深呼吸って簡単そうに思えるんですが、なかなか日常意識して行うのが難しいものです。ただし勝手に深呼吸できる方法があるのをご存知ですか?そう、運動です。息が上がっていれば、勝手に深呼吸を行ってくれます。

また「深呼吸 × スタティック・ストレッチ」という観点で考えると、ヨガが優秀なことがわかりますよね。なかなか習慣づけるのが苦手な人は、家にヨガマットを敷きっぱなしにしてみましょう。ふとした瞬間に、少しだけでもヨガを行ってみれば良いのです。

④扁桃体を小さくする

イライラしないためには、そもそも扁桃体を小さくしてしまえ!という発想もあります。よく知られているのが「マインドフルネス瞑想」です。

2011年のハーバード大学の研究によると、8週間程度の瞑想を行うことで、扁桃体の細胞量が減少していることがわかりました。これがマインドフルネス瞑想の効果です。根本的に自分のストレス耐性を変化させたい人には、オススメの手法です。

⑤オキシトシンを分泌させる

ここでオキシトシンという新しいホルモンについて紹介したいと思います。オキシトシンは別名「愛情ホルモン」と呼ばれるもので、主にスキンシップをした際に分泌されます。オキシトシンはストレス抑制に大きく働きます。

「スキンシップ」「ペットを飼う」などで補うことができます。また独り身でリモートワークの方には「マッサージに行く(スキンシップ)」「土いじり」「テレビ会議で顔出しする」などをオススメします。スキンシップ以外でも、上記のようにオキシトシンを分泌させる方法はあります。

⑥首をマッサージする

最後に首をマッサージするという手法です。これは驚きの結果なのですが、うつ病患者の9割が首こりを発症しているという事実があります。

物理的な仕組みはわかっていないのですが、首こりを解消することでストレス軽減には大きく作用します。首をほぐしましょう。そのためには「ゲーミングチェアに座る」「首のマッサージ機を使う」などがいいでしょう。僕は以下のマッサージ機を使っています。お手軽でいいですよ。

最後に

いかがでしたでしょうか。計6種類のストレスと付き合う方法を伝えましたが、全てをする必要はありません。日々実践できることが重要なので、あなたが習慣に取り入れやすい手法から、まずはやってみてはいかがでしょうか。

オススメなのは「自分の見える場所に物を置く」ことです。習慣にしなきゃ!と意気込まなくても、目に入れば思い出すことができるからです。では。

今後の活動のために、サポートいただけると嬉しいです!