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【長編小説】人ヲ殺して、もらいマス。#10

 5月13日 火曜日 PM20:00 / 伊原舜介

 ようやく夜になった。八時ちょうど。運命の時まで、あと四時間――。
 周囲が暗くなってきた六時半ぐらいから岩淵の部屋をずっと監視していたが、あれ以来一度も外へでてこなかった。それは計算外だった。夕食の外出をする時が一番の狙い目だと思っていただけに、伊原は焦りだしていた。このまま外にでてこなかったらどうしよう、と不安にもなってきた。しかし、いつまでもこんな風に見張っているだけではどうしようもない。座して死を待つのと変わらないじゃないか! と伊原は自分を叱りつけた。
 そこで彼は、ふたたび岩渕の部屋へ行ってみることにした。またさっきみたいに出てきたら、今度こそ間違いなくすきをみて襲いかかってやろうと心に決めていた。さっきと同じように黒ニット帽を目深に被り、今度は黒ブチ眼鏡もして、顔の三分の二を被うマスクもつけた。そして軍手をはめて、刃をだして固定したカッターナイフを右手に持つ。
 用意は万全だ。それでも彼はまた確認するように、黒ニット帽をさわり、黒ブチ眼鏡を見やすい角度に調節し、マスクの位置も直した。そして軍手をはめた手で改めてカッターナイフを強く握りしめてみる。
 ――OKだ。格好だけは完璧だ。
 心臓の鼓動に押しつぶされそうだったのでゆっくりと深呼吸をした。それを三回くり返すと、ちょっと落ち着いたような気がした。
 岩渕の部屋の台所の電気は消えている。台所の窓から中を覗いてみると――そこのガラスは細かい模様がついていて内部はよく見えなかったが、奥の部屋の電気は点いているみたいだった。
 ドアに耳をあててみると、テレビを見ているようだ。そのまま少し待ってみたが、岩渕に動く気配は感じられなかった。こんなときに二階の誰かが帰ってきたりしたら、怪しさ全開だろう。怪しまれて警察にでも連絡されたらすべてが終わりだ。到底、深夜十二時までの犯行なんて不可能になってしまう。ぐずぐずしている時間はない!
 もうこの際ドアをノックして、岩渕がでてきたところを話しかけて、隙ができた時に攻撃しようか、と考えていた。素早くやれば、少なくとも最初の一撃だけは頚動脈を狙えるんじゃないかと思った。
 またドアに耳をあててみる。変化はない。安心しきってテレビをダラダラと観ているようだ。
 このままあいつは何事もなくダラダラと深夜十二時を迎え、オレがこの玄関先で人知れずアンドーのように悶絶死するなんて、なんか理不尽なような気がした。
 やれるだけやってみよう! と伊原はカッターナイフを何度か強く握って自分を奮い立たせた。そうでもしないといつまで経ってもなにもできないような気がしたからだ。
 岩渕の部屋のドアをそっとノックしてみた。だが、軍手をはめたままだったので、音がうまくでなかった。軍手を外してノックをし直し、素早く軍手をはめて刃を出したカッターを握り絞める。
 ――そのままじっと待つ。
 しかし、岩渕がでてくる気配がない。もう一度軍手を外してノックしてみた。今度はさっきより強く、はっきりとしたノックだった。
 しかし、岩渕はでてこない。でてくる気配も感じられない。そこで今度は左手の軍手を外してもう一度ノックしようとした時、コンッとドアになにかが当たった。
「うっせーんだよ! クソ野郎っ! とっとと失せやがれ!」と怒鳴る岩渕の声が聞こえた。
 あわててその場を離れ、急いで階段を降りた。そのまま駅の方角に向かって走り、しばらく行った所で足を止めてアパートを見上げた。岩渕は怒鳴っただけで、部屋から出てきたわけではなかったようだった。
 なんて奴だ。訪問者にいきなりのあの態度はないだろう。でも、そんな奴なのだ。そんな奴だからこそ、誰かの恨みをかっているのだ。それも殺したいほどひどい恨みを――。

 そのまま十一時まで粘ってみたが、結局、岩渕は一度も外に出てこなかった。首の後ろのブラックボックスにそっと触ってみると、心なしか、不気味に熱を帯びているように感じる。この箱の中ではほんの一センチにも満たない針が、オレの脳をぐちゃぐちゃにかき混ぜるのを心待ちしているのだ。
 意を決して、また岩渕の部屋に向かった。今度ノックしたらどんなことになるだろう、と考えていた。怒って外に走り出てくるだろうか。でももう、仕方ない。それでもいいから、とにかく奴を外へおびき出そう――。
 岩渕の部屋のドアの前に立ってから、軍手をはめた。黒ニット帽も黒ブチ眼鏡もマスクもずっとはめたままだった。もう夜だったし、たとえ怪しまれても顔が見られないのだからと、外さないままだったのだ。ズボンからカッターナイフを出して、切りつけても折れない程度に刃先を調節する。
 よし! 今度こそ、OKだ。もう覚悟はできている。ノックをしてあいつの怒鳴り声が聞こえても、ノックをし続けてやろう。いくらなんでもそれを何度も続けていれば、怒り狂ったあいつが走り出てくるだろう。その見境がつかなくなった時が狙い目だ。その時にカッターナイフをあいつの右の首筋を狙って切りつけて殺るのだ。何度も、何度も――。あいつが岩みたいな手で防ごうとしても、カッターには敵わないだろう。
 大きく深呼吸をした。さっきみたいに三回した。だが、今回は少しも心臓の鼓動が治まらなかった。いまさら何回深呼吸したところで、もうこの心臓の鼓動は治まらないのだろう。それだけのことを、オレは今、実行しようとしているのだ。
 目を閉じて、もう一度、ゆっくりと深呼吸をしてみた。だが、やはり治まらない。そこで彼は観念した。この心臓の鼓動を感じながら実行に移すしかない。もう今となってはこのカッターナイフをあの大男に振り下ろすだけなのだ。その行為に心臓の鼓動が影響するか? 多少ドキドキしてたってカッターナイフぐらい振り下ろせるだろう。
 覚悟を決めた。念のため、音を出さないように気をつけながら、ドアのノブを回してみる。すると驚いたことに、ドアに鍵が掛かっていなかった。もう一度ドアを閉めて、今までで一番深く、深呼吸をした。大きく息を吸い、口をすぼめて永く吐いた。この幸運を神様に感謝すべきか、それとも気まぐれな悪魔の罠にはまってしまうのか――。
 改めてドアをそっと開いてみた。部屋の中から空気が流れ出てくると、{饐}(す)えた異臭が鼻についた。
 ミルクを拭ったあとにそのまま放置した雑巾みたいな臭いとか、配管の詰まったトイレの臭いとか、飲み残しの缶ビールで火を消した煙草の臭いなど、さまざまな臭いが混ざった異臭だ。
 玄関には、汚れてドブネズミみたいになったスニーカーと、ひっくり返ったままのサンダルが見えた。
 入ってすぐの部屋はやはり台所のようだ。六帖ぐらいのスペースだった。床には袋に詰めたゴミが散乱していた。袋はちゃんとしばってあって、後は指定日に捨てるだけなのに、そのまま放ったらかしにされているみたいだった。
 左側に並んでいるふたつのドアは、トイレと風呂だろう。
 その台所の向こう側に三帖ほどの明かりの消えた部屋があり、そのまた向こう側の部屋に岩渕がいた。そこも六帖ぐらいか。その部屋には蛍光灯が煌々とついていて、壁にもたれてテレビを観ている岩淵の足だけが見えた。伊原の侵入にはまったく気づいていないようだ。
 ちゃんとノブを回して、閉まる音がしないように細心の注意をはらってドアを閉めた。ここで少しのミスも許されないのだ。
 靴のまま台所に上がる。流し台も汚れ放題だ。洗ってないカップ麺の器が積み重ねられていて、二リットル入りの焼酎のペットボトルも放り投げた状態のまま、流し台に溜まっていた。
 台所に散らかったゴミ袋を踏まないように注意しながら部屋に入っていく。途中、岩渕の足が動いたので脚を止める。心臓が口の中に出てくるんじゃないかと思えるぐらいバクバクしていた。そのままの姿勢で少し待っていると、岩渕の動きが止まったので、そっと脚を進める。
 そして三帖の部屋に侵入する。ここの床は畳のようだ。もうそこからでもテレビの画面が見える。プロ野球ニュースをやっていた。
 そのままそっと進み、もう岩渕の胸が見えるところまできた。昼間着ていたのと同じグレーのジャージだ。胸のファスナーを開いていたので、黒いTシャツも見えていた。ポテトチップスを食べているようだ。もう何度もその汚れた指を拭っているのか、黒いTシャツのちょうど胸の辺りが白く汚れていた。そこから見る限り、岩渕以外は誰もいない。
 どうする? いきなり切りつけるか? どこだ? どこを狙うんだっけ?
 ――そう首だ。頚動脈だ。そうブギーマンも言ってたんだ。首の右側を狙って切りつけるんだ。一度でいい。頚動脈を切ってしまえば死ぬんだ。この屈強な岩渕さえも、その出血には耐えられないだろう。それぐらい血が出るらしい。
 彼はカッターナイフの刃を見た。じっさい、どれぐらい刃を出せば頚動脈に届くのかわからなかったが、いまは折れない程度に刃は出ている。
 大丈夫だ! と彼は自分に言い聞かせた。そしてグリップを強く握りしめた。軍手のゴムと擦れて、カッターのグリップがぎゅっと鳴る。それを二度つづけてから、彼は大きく息を吸ってパッと男の前に出た。

 岩渕はポカンとしていた。
 まるで、いまプロ野球ニュースにでていた選手が、突然目の前に現れたような顔をしていた。口にまで持っていったポテトチップスが噛む寸前で止まっている。
 伊原は迷うことなく岩渕に切りつけた。首の右側だ。だが、岩渕が防いだ右腕に邪魔されて、首まで届かなかった。カッターナイフはジャージの腕部分を少し切り裂いただけだった。とにかく首を狙ってカッターを突き出した。こんな時ナイフだったら心臓を一突きできるのに、と後悔していた。でもいまはそんなことを考えてる場合じゃない。
 伊原は奇声を発しながら、カッターを無闇に振り下ろした。するとどの一撃かはわからないが、カッターの刃が岩渕の首正面を掻き切った。バアーッと嘘みたいに血が飛び散る。いや、噴出してくるといった感じだった。ポテトチップスの袋にも血が降りかかってバラバラッと音がした。
「はにふんだよー!」
 その時になってようやく岩渕が叫んだ。切り裂かれた首から息が洩れるのか、なにを言っているのか、よくわからなかった。首の正面から蟹みたいに血の泡がぶくぶくと出ていた。そこで立ち上がろうとした岩渕に向かってカッターナイフをやみくもに振り下ろした。それは岩渕の腕をグレーのジャージごと切り裂いた。ジャージに邪魔されてうまく切れなかったところもあったが、切れた皮膚は白い粘土に切れ目をいれたみたいにきれいに割れていた。立ち上がろうとした岩渕がしりもちをつく。もう罵声もない。信じられないという目で、伊原を見ているだけだ。
 岩渕は坐りこんだまま、自分の首に手をあててみて、その血だらけになった手を見た。うつむいた自分の首から流れ落ちる大量の血を、信じられないという目つきで見つめていた。また首に手をあてる。少しの時間でその手に血が溜まっていく。そしてまた伊原を見上げた。
「ほまへは、はれだ」
『お前は誰だ?』と言ったのか?
 伊原は岩渕をじっと見つめていた。どうしたものか迷っていた。最後に止めを刺すのか、このまま放っておいて逃げだすのか。岩渕は、伊原を見つめたまま、首を振っていた。もう出血している首を押えようともしなかった。岩渕が首をふるたびに血が飛んだが、岩淵は首をふることをやめなかった。信じられない事態が起こっているこの悪夢から眼が覚めてくれるのを願っているように、何度も何度も首をふっていた。
 いまなら右の首が無防備だ。切りつけてもミスはしないだろう。どうする? とどめを刺すか? それともこのまま逃げるか?
 その時、アンドーの姿を思い出した。あの苦しみながら死んでいったアンドーの無残な姿を――。
 カッターナイフを見ると、驚いたことに刃が根元から折れていた。刃を出そうとしてストッパーをゆるめようとしたが、軍手をはめているのでうまくいかなかった。おまけに血で滑ってしまってダメだった。
 ののしりながら軍手を外そうとした時、いきなり岩渕に胸を蹴られた。すごい力だ。思わず後ろに吹っ飛んで、身体ごとテレビにぶち当たった。テレビが台から下に落ちて横向きになっていたが、画面は点いたままだった。なにごともなかったように、若い女性キャスターがスポーツニュースを続けている。
 すぐに岩渕がケモノみたいな声を上げて伊原にのしかかってきた。かついでいたリュックが潰れて背中が痛い。だが、起き上がる暇もなく、岩渕が首を絞めてきた。しかし、切られた右手に力が入らないのか、うまく首を絞めることができないようだった。それに、息も荒い。百メートルを全力疾走したみたいに、ぜえぜえと苦しそうに息をしていた。そうしながら凄い形相で伊原の首を絞めてくる。一瞬にしろ、目の前の鬼のような形相をした岩渕を見て、この男に犯された女たちの恐怖を感じたような気がした。
「ひねっ! ひねっ!」と岩渕は言っていた。
 必死だった。岩渕の首から生温かい血が落ちてきて、伊原の顔にかかってくる。黒ブチ眼鏡がすぐに真っ赤になった。
 岩渕を押し退けようとすると、意外にもそれほど抵抗することなく、岩渕は横に転がった。そして寝転んだまま本当に疲れてしまったように顔をしかめながら肩で息をしていた。
 眼鏡を投げ捨てて、すぐにカッターナイフを探した。岩渕に蹴られた時にどこかへ飛んでいってしまったのだ。しかし、飛んでしまった方向もわからなかったので、見当もつかなかった。
 横ではまだ岩渕が荒い息をしている。もう抵抗する体力も残っていないようだ。苦しそうに目を閉じて、胸を激しく上下させている。そして血が逆流しているのか、首からゴボゴボと音がしていた。
 急いで台所に走った。そこで包丁を探してみたが、どこにもなかった。ゴミを押しのけて、流し台の下も探してみたが、そこにもゴミが詰まっているだけだった。
 舌打ちしながら部屋に戻ってみると、岩渕が大きく口を開けて荒い呼吸をしていた。吸っても吸っても酸素が足らないみたいだった。それに、見えない酸素を必死に探そうとしているみたいに、大きく眼を見開いている。その光景を眺めていると、やがて岩渕の呼吸の間隔が広がっていき、最後に大きく息を吸ったかと思うと、ついにしなくなった。最期まで酸素を探し求めているように、大きく目を見開いたまま、息絶えてしまった。
 もう一度部屋を探してみたが、結局カッターナイフは見つからなかった。彼は諦めてドアの前まで行き、外の様子をうかがってみた。あれほどの大きな音をたててしまったのだ。なにかあったと怪しまれても不思議ではないだろう。
 だが、外は静まり返っていた。
 人のざわつく気配も感じられない。
 彼はそっとドアを開いて外の様子を確認してみた。
 ――誰もいないようだ。
 今度は首を外に出して左右を確認してみる。
 ――やはり誰もいない。どこかで騒いでいる感じもない。
 一歩外にでて、アパートの前の通りを確認してみたが、人影はまったく見当たらなかった。この部屋に入ってきたときと同じ静寂が、周囲を支配していた。
 伊原はそのまま外にでて、速足で歩きながら軍手を外した。血をぐっしょりと吸い込んでいるので重い。絞ればいまでも血が滴り落ちてくるだろう。
 彼はそれを、家が取り壊されて空き地になっていた場所に捨てた。帽子もだ。これもぐっしょりと血を吸ってしまったようで重くてたまらない。できればトレーナーも捨てたかったが、上に着た黒いトレーナーをめくってみると、着替え用にと下に着ていたカーキ色のトレーナーまで血が染み込んでしまっていたので、彼はトレーナーを脱ぐのを諦め、帽子だけを空き地の真ん中辺りにまで放り投げた。
 いつの間にか、マスクはなかった。記憶にはなかったが、どこかで外れてしまったのだろう。足早に歩きながら、肩に担いだままだったリュックを降ろし、ミネラルウォーターをだした。さっき倒された時に潰れてしまっていたが、割れてはいなかった。それを頭にふりかける。顔も濡れた手で拭う。それをタオルで拭いてみたが、すぐに赤く染まってしまって、とてもそれだけではきれいになりそうになかった。
 彼は新しいタオルを出して、入念に顔と髪を拭ってみた。もうミネラルウォーターはない。彼は一本しか買わなかったことを後悔していた。それに帽子もだ。多少血で汚れていても換えがあればこの悲惨な状態を隠してしまえるのに――。
 今度は帽子も予備を準備しよう。
 道の前後を見ても人影がなかったので、彼は外灯の下に立って手をかざしてみた。
 予想以上にひどい状態だった。手のしわや全部の爪の奥まで血で汚れたままだった。彼は呆然と自分の手をみつめていた。明らかに殺人者の手だった。おそらく顔も髪もひどい状態なのだろう。手で触れても、髪がこわ張っているのがわかった。
 だが、こんな場所で足を止めるわけにはいかない。彼は外灯を避けるようにして、暗い場所を選びながら帰り道を急いでいた。携帯を取り出して時間を見てみる。
 ――十一時三十八分。
 十二時まであと二十二分。
 伊原はモウにメールを送ることにした。寒くもないのに手の震えが止まらなかったので、『終わった』とだけ送った。すると、モウからすぐに返事がきた。
 ――わかった。こちらが確認するまで執行猶予だ。
 伊原が目指しているのは最寄の『南浦和駅』ではなく、その次の『浦和駅』だった。最寄の駅だと犯行時間から逆算して駅のモニターを確認されるのが嫌だった。距離にすると多少遠いが、それも計画のうちだった。
 今度は自転車を用意しようかと思ったが、思わぬところから足がつくような気がしたので、彼はその考えを首をふって否定した。とにかく今日はうまくいったのだ。誰もオレの犯行だなんて考えもしないだろう。あいつとオレとの接点なんてなにもないのだ。
 彼はこの騒動に巻き込まれてからずっと鬱々とした気分だったので、いまは大声を張り上げたいぐらいに気分が晴々としていた。もう自分なら何だってできるような気さえしていた。
 ブギーマンにメールを打ってみた。
『やったよ、成功だ。君に感謝する』
 ――それはおめでとう。
 いつものようにブギーマンからの返事はすぐにきた。
 ――ちゃんと首の頚動脈を切ったのか?
『まあね』と彼は得意げに打った。
『君のアドバイスのおかげだよ』
 それからはもうブギーマンからの返事はなかったが、彼は気にも留めなかった。もう開放感いっぱいだった。彼はスキップをするような勢いで夜道を歩いていった。
 


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