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【2024年初頭開業の個人事業主必見】3月にやるべき税務のアレコレ


はじめに

こんにちは、島田(@mshimada_tax)です。

このnoteを書いているのは2024年3月上旬。

まさに所得税の確定申告真っ盛りの季節です。

そんな中、2024年からめでたく個人事業主として開業しました、という方もいらっしゃるでしょう。

個人事業主としての確定申告は来年2025年からになるものの、既に開業して2ヶ月以上は経っていますよね。

税務関係を後回しにして手遅れになるような事態を避けるために、今のうちにやるべきことが漏れていないかチェックしておきましょう。

来年の確定申告に向けて準備するものを先取りして知っておきたいという方はこちらの記事も参考にしてください。

開業して数か月の間に確認すること

今回は特に重要な対応事項を5つ解説していきます。

①:青色申告承認申請書の提出

個人事業主は白色申告と青色申告のどちらかを選べます。

両者の違いをざっくり説明すると、白色申告は記帳は簡単だけど節税には不向き、青色申告は記帳は複雑だけど節税には有利、です。

で、この青色申告の適用を受けるためには、事前に税務署に申請書を提出しておく必要があります。

提出期限は通常だと開業して2ヶ月以内ですが、1月15日までに開業した場合は、同年3月15日までに提出しなければいけません。

なので、2024年1月1日に開業している場合は、3月15日まで「所得税の青色申告承認申請書」を提出するようにしてください

仮に提出が遅れてしまった場合は、青色申告の適用が翌年以降になってしまいます

通常は開業届出と一緒に提出しているかと思いますが、念のためチェックしておいていただければと。

提出はe-Taxで作成して電子送信するか、郵送するか、税務署に持参するかの3択です。

②:開業費の集計

開業費とは事業を開始するまでの間に支払った、開業準備のための費用です。

なので、例えば2024年1月1日に開業した場合は、2023年12月31日までに支出した費用が対象になります。

具体的には次のようなものですが、開業準備ための特殊な支出が対象です。

  • 開業前に支出した広告宣伝用の費用(チラシ代、マーケティング会社への報酬等)

  • 開業に必要な調査費(実地調査のための交通費、宿泊費等)

  • 開業前に支出した打ち合わせ代(会議費)

  • 開業前に買った備品等(1つ10万円未満のもの)

  • 免許が必要な業種である場合の免許取得費用

などなど、があります。

これらの情報を来年の確定申告時期になって集めようとしても、記憶や書類を探すのに一苦労するはずです。

なので、開業して数か月の今の時期に集めておくことをおススメします。

ちなみにこの開業費は、次の2つのパターンのいずれかで経費にできます。

  • 60か月の均等償却

  • 自由償却

とりあえず、自由償却が認められているので、いつでもいくらでも経費にすることができると覚えておいてください。

③:インボイス登録の検討

インボイス登録は強制ではありません、任意です。

ただ、登録するかどうかを簡単に決められないのが厄介なところです。

判断のポイントは様々ありますが、特に重要なものを1つずつ解説していきます。

そもそも、インボイス制度自体よく分からない、という方はこちらの記事をご参照いただければと。

ポイント1:お客様が事業者か一般消費者か
お客様に事業者(法人・個人問わず)がいる場合はインボイス登録が必要になるケースがほとんどです。

逆に、お客様が一般消費者のみの場合は不要と判断してもよいでしょう。

たとえば、子ども向けの商品やサービスを扱っている場合は、お客様に事業者が混じっている可能性が低いので、インボイス登録は不要と判断することができます

ポイント2:お客様の売上規模はどれくらいか
お客様が事業者で、そのお客様の売上規模が一定金額以下だと、自分がインボイス登録していなくても、お客様が損をしない場合があります。

たとえば、お客様の2期前の売上が5,000万円以下だと、お客様はインボイスが関係ない簡易課税制度を選択することができます。

この場合は自分がインボイス登録をしなくてもお客様に迷惑をかけないので、インボイス登録は不要と判断することができます

ただ、全てのお客様の売上情報を自力で入手することは困難なので、最終的にはお客様との交渉になる可能性が高いです。

その他にもインボイスが不要となる特例として、お客様の売上規模が1,000万円以下で使える2割特例、1億円以下で使える少額特例があります。

ポイント3:事務作業が増えても問題ないか
開業初年度の個人事業主は、通常は消費税の免税事業者になり、消費税の確定申告をする必要はありません。

しかし、インボイス登録をすると確定申告書を提出する必要が出てきます。

しかも、もしインボイス登録を取消したいと思ってもすぐに解除できるわけではありません。

消費税の計算が必要になると、普段の経理作業が複雑になるので、この点を踏まえて登録するか判断してください。

④:会計ソフトの選定

開業して数か月経てば、経費の領収書が溜まってきているかもしれません。

領収書を捨ててしまったり、何に使ったか忘れてしまう前に会計ソフトに入力しましょう。

いまクラウド型で主流なのは、Freeeやマネーフォワードなどです。

それぞれ無料のお試し期間が用意されているので、自分に合う会計ソフトを実際に触って探してみてください。

もし、既に売上が立っているようであれば請求書や見積書も作成することができる機能があるので、ぜひお試しいただければと。

⑤:マイナンバーカードの発行

便利で効率的な電子申告をする場合は、マイナンバーカードがあると便利です。

まだ発行していない方は発行しておきましょう。

特に青色申告をする方は、電子申告で青色申告特別控除の最大65万円を狙う方がほとんどだと思いますので、発行しておいて損はありません。

その他にも、事業用の口座を開設するときや、事業用のクレジットカードを作るときの本人確認書類としても活用できます。

おわりに

今回お伝えしたかったことをまとめると、開業数か月でやっておくべきこととして、

  • 提出し忘れている申請や届出がないかをチェックする

  • 記憶が新しく・資料が揃っているうちに今できる経理を片付けてしまう

です。

一年後、確定申告時期に後悔しないためにも早めの対応をおススメします。

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