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ファシリテーターであるにもかかわらず、わが身可愛さに発してしまったあの言葉


3か月間、毎週毎週あの表参道のキャンパスに通った日々から5年。

おかげさまで絶えることなく、ワークショップデザイナー(WSD)として場づくりに取り組み続けることができています。

ちなみに私は青学25期。今年2022年に認定ワークショップデザイナーになりました。

今年は、29期のちょなんさん(長南雅也さん)が呼び掛けてくださったアドベントカレンダーWSD Advent Calendar 2022に参加することにしました。実は毎年、楽しみに読ませていただいていたのですが参加するのは初めて。

ちょっと、いや、結構ドキドキ。


今日(12月17日)は、そのアドベントカレンダーのエントリーとして、ワークショップデザイナーとしての振り返りの記事をお届けいたします。


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これは、私が「ワークショップデザイナーとしてもう一段階成長したい」と思って振り返る、ほろ苦いリフレクションの記録です。



ファシリテーターとしてその場をお預かりし、プログラムを進めているときに、ふとこんな言葉を発したことはないでしょうか


「これ、ちょっと難しいですよね」


自らデザインしたプログラムについて、チェックイン、アイスブレイクの後に、いくつかのアクティビティを進めて、例えばそのワークショップの一番重要なアクティビティに参加者と共に向き合うとき。

それは重要であるがゆえに、作業としては負荷が強かったり、自分自身の内側にじっくり思考を深めていただく必要があったりするような時間。

参加者には少々負担が大きいかもしれない、私の説明だけではうまく作業出来ないかもしれない、考えるための準備が整っていないかもしれない、ファシリテーターとしていろいろなことを心配して、それらをグシャっと丸めた感情がぽろりと口から零れるようにして音になった、そんな言葉。



以前取り組んだ、あるワークショップでのことです。それは自らプログラムをデザインし、ファシリテーターとして取り組んだワークショップでした。


そのワークショップは主に自己理解のためのプログラムだったのですが、メインのアクティビティに取り組んでもらうため「○○○○を書きましょう」と、事前に配布したシートを使った作業をご案内した瞬間です。

それまで和やかだった会場の雰囲気が一変して、部屋の温度が数℃下がり、空気が固まったかのように感じました。

パッと紙を広げてペンを走らせたり、能動的な沈思黙考に潜っていく参加者もいますが、けっこうな割合で、ポカンとした表情を浮かべて固まる参加者たちの姿が見えます。

「一体何を書けばいいの?」
「これを考えるってどういうこと?」
「ずいぶんイキナリじゃない?」

参加者の気持ちを代弁するなら、こんな声になったかもしれません。


その瞬間に私の口からぽろりと出たのが

「これを書くの、けっこう難しいですよね~」

というひと言でした。


この瞬間、私はファシリテーターとして場を守り、参加者の気づきや学び合いを守るよりも優先して、私の心を守ってしまいました


そのアクティビティは、その場の皆さんにとってもう少し足場が必要なものだったのだと思います。にもかかわらず、事前にデザインしたプログラムではその措置が十分ではありませんでした。
さらには、ファシリテーションの面からも、そのアクティビティまでの間に参加者が階段を上っていく様子を解像度を上げて理解できていれば、そのアクティビティをはじめる前にもっと具体例を紹介することもできたでしょうし、必要なら補助線となる別のアクティビティを挿んで足場を充実させることもできました。

プログラムデザインでサボり、
ファシリテーションでサボった。

少なくとも私はそう感じました。


それを誤魔化すように、参加者に向かってこのアクティビティが難しく感じるのがあたかも当然のことで、想定の範囲内であるかのように伝えてしまったこと。そのくせ、その場の参加者であればやり切れると信じることもできなかったこと。

「これを書くの、けっこう難しいですよね~」

その言葉が会場に響いたときの、砂漠に水をまくような手応えのなさは忘れることができません。


今年、ワークショップデザイナーとして臨んだいくつものワークショップの中でも、最も印象に残った瞬間です。



今思えば、これまでのワークショップにおいても似たような場面がいくつか思い浮かびます。

これ、つまりは一瞬参加者が怯むようなアクティビティを設定してしまうことは、私のプログラムデザインのクセなのかもしれませんし、そこでの「逃げ腰」の態度は私のファシリテーションのクセが現れているのかもしれません。

もちろん、そのワークショップの狙いであったり、その場の参加者の属性や能力などによっては、ある程度の負荷が求められるものもありますし、取り組みにくいことだけをもってプログラムデザインの適否を語ることはできないでしょう。

でも、そこに必然性と意図とデリバリーするチカラがあって初めて機能するものだと私は思うのです。


この自分のクセを認識し、別の何かで上書きする、もしくはこれを抱えたままそれでも参加者がポカンとしないプログラムとファシリテーションをお届けできるようになること。

今年、認定ワークショップデザイナーなのに、こんなレベルのことでいいのかなと思ったりもしますが、偽らざる今の私の目標です。



その日のワークショップは、その後、私自身も何とか持ち直し、参加者の主体的な姿勢にも助けられ、結果的には思っていたところまで参加者と一緒にたどり着くことができました。

事務局さんや参加者の皆さんからは、「日頃考えることがないことを、改めて考えることができてよかった」と言ってもらえて、結果的にいい場になったと思います。

ただ、私の心の中には要改善点として、心に刻まれました。



ちなみに、ワークショップが終わった後、ファシリテーターとしてもご活躍の参加者の方から「島田さん、あのときなんで『これを書くの、けっこう難しいですよね』って言ったんですか?」と問われて驚きました。

その方には素直に「わが身可愛さに、口から出てしまいました」とお伝えしたところ、「確かにハードだったかもしれないけど、考えさせられるいいワークだった。あのひと言は要らなかったんじゃない」と。

こういう先輩には、かないません。


おしまい。



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この記事は、著者が参加しているアドベントカレンダーWSD Advent Calendar 2022の12月17日(土)担当分として書かせていただきました。

来年もたくさんワークショップやるぞー!

Happy Merry Christmas!


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