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みんなにとって価値があるものこそ、一人ひとりにとっての価値の違いを意識する


いや、タイトルが長いな。


自分のnoteで書く記事でもwebメディアへの寄稿でもそうなのですが、「こういうことおススメですよ~」というメッセージは、まとめてゴッソリと読み手に向けて発信されます。

私が「2枚目の名刺、おススメですよ~」と書くときも、書かれた言葉自体はすべての読み手から見て、同じ言葉がそこに置かれています。

そこではみんなに対して、同じように
・職場で得られない経験が得られる
・日ごろ接点のない人とつながれる
・自分のことを知ることができる

だから、本業とは別の場所で何かに取り組むことが大切ですよ、とお伝えします。

でも、本当は、働き始めたばかりの20代の会社員にとっての2枚目の名刺の意義と、定年後の在りかたに迷ってる50代の部長さんにとっての2枚目の名刺の意義は異なります。


「読書っていいですよね~」

こうやって書くと、まぁそれはあまり異論がないところなのですが、やはり言葉で世界を広げ始めたばかりの小学生にとっての読書の価値と、研究の合間に気分転換をしたい大学院生にとっての読書の価値は異なります。


みんな、と言い切るのは少々乱暴かもしれませんが、多くのひとにとって価値があり、自分の経験からも社会の雰囲気からも「当たり前のように《いいもの》とされているもの」っていろいろとあります。

でも、それがたとえ概ねいいものだとしても、そのひとにとって《どのようにいいものなのか》は、一人ひとり異なります。


個別キャリア相談で、相談者のお話をお聴きしていると、中年期に遭遇する人が多い困難だなと思うこともあれば、転機で必要な資源の整理がまだなんだなと思うこともありますし、ご自身が仕事で大切にしている価値観とのギャップに苦しんでいるんだなと思うこともあります。

それらは、キャリアの勉強の中でよくまとめられる課題の表出の仕方ですが、それをそのまま目の前の相談者に用いることはできません。

中年の危機だとしても、その相談者が向き合っている状況によって危機の中身は異なります。管理職になって部下との関係に何かが隠れているのか、離れた実家で暮らす親御さんが体調を崩したことが気になっているのか、お子さんやパートナーとの関係が変わりつつあって違和感が現れているのか。(そして、管理職問題も親の問題も家族の問題も、さらに状況は個別具体的に細分化されていきます)

お話をお聴きすればするほど、目の前の相談者としか見出せないたった一つの物語に耳を傾けることになります。


ものを書くのが好きな私は、どうしても文章で伝える機会が多くなって、ある程度の大きさの粒度で「これって、こういうことだよね」と伝えることに慣れてしまっています。

同時に、そのことの限界も感じています

例えば、一人ひとりのキャリアにおいて「自分の人生のハンドルは自分の手で握ろう」という考え方を、私は大切にしています。
それを方向性として伝えることは文章によって可能ですが、一人ひとりにとってそれがどういうことなのかは、やはり一人ひとりと向き合うことでしかフィットしない気がするのです。


だから、私にとって大きな方向性を伝えるために文章を書くことと、バランスをとるようにして、一人ひとりから丁寧にお話をお聴きする個別キャリア相談は、とても大切な時間なんですよね。



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2021年2月に初の著書を出させていただきました。

主に若手公務員を対象に「公務員が充実した気持ちでイキイキと働くことが、住民の幸せにつながる」という想いで、「自分の人生のハンドルは自分の手で握ろう」というメッセージを込めて書かせていただきました。

そのあたりのことは、こちらの記事でもお伝えしています。

よろしければお手に取っていただけたら嬉しいです。

また拙著に関連する記事はこちらのマガジンにまとめて掲載していますので、併せてご覧ください。


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