見出し画像

086.読書日記/「挑発する少女小説」「この30年の小説、ぜんぶ」

先日、斎藤美奈子さんの本を読んで懐かしく、図書館で蔵書検索してまた借りてみました。ところで、お名前、「斉藤」さんじゃなくて「斎藤」さんの表記が正解でした。067の記事、間違ってたので修正しました。ごめんなさい。

で、まず「挑発する少女小説」です。
「小公女」「若草物語」「ハイジ」「赤毛のアン」「あしながおじさん」「秘密の花園」「大草原の小さな家」シリーズ、「ふたりのロッテ」「長靴下のピッピ」の9つの物語を改めて大人の目で読み解く本です。

憧れのハイジのブランコ

タイトルは全て知っていて、その中で私は「小公女」「赤毛のアン」「あしながおじさん」「長靴下のピッピ」の4冊を読んでました。「アルプスの少女ハイジ」はアニメのみ。「カルピスお子さま劇場」だったかな?リアタイしてましたw
子どもの頃、後に倒産した鎌倉書房の「赤毛のアンの手作り絵本」を持っていて、エプロン作ったりお料理やお菓子を作ったのは良い思い出で、本編は大人になってから一応教養として読んでおこうか、というスタンスで読んだのでした。
アン以外は、40年以上前に読んだのでほぼ憶えてないし、斎藤美奈子さんと読み返している気分で読めて、「秘密の花園」や「ふたりのロッテ」のあらすじも、予想外の内容で面白かった。
保守的だとか、やや下に見られがちな少女小説も侮ること勿れ、という本でした。


そして「この30年の小説、ぜんぶ」は、斎藤美奈子さんと高橋源一郎さんが平成〜令和の約30年間に刊行された本を対談しながら読み解く本。新書ですが、とっても読み応えありました!

帯のイラスト、高橋源一郎さんが似てるの、斎藤さんも同じくらい似てるのかな?←ファンだけどお顔を存じ上げません。

90年代〜2010年代の100冊以上の多くの本についてお話しされているんですが、なんと、私、そのうち3冊しか読んでませんw
「親指Pの修行時代」松浦恵理子
「ベルカ、吠えないのか」古川日出男
「となり町戦争」三崎亜記
以上です…。
(巻末のブック・オブ・ザ・イヤーからはもう少し読んでます)

対談の中で言及される、この期間以前の本は割と読んでました。「砂の女」「女工哀史」「エロ事師たち」「ぼくは勉強ができない」「カラマーゾフの兄弟」「吉里吉里人」「細雪」「ボヴァリー夫人」「蟹工船」「蹴りたい背中」「桃尻娘」「ヴェニスに死す」「異邦人」「復活の日」などなど。

90年代に入って働き出して、いつもシゴトのことばかり考えていたから、本を読むゆとりがなかった。目が文字を追っていても、脳はシゴトの問題点や次はどうするべき?とか考えだして文章が全くアタマに入ってこず読書にならなかったのだ。再び落ち着いて本が読めるようになたのは、この5〜6年くらい。
日本の純文学(?)的なものに触れた最後が、綿矢りささんと金原ひとみさんだった気がする。「蛇にピアス」で「『スプリットタン』って何やろ?」と思って検索した記憶。ずっと後にタティングレースを習った時に「スプリットステッチ」と言うのがあって、ああ知ってる、と思いました。

なので、自分が読んでいない本について、あーやこーや述べられているのを読むわけですが、それはそれで面白かったです。斎藤さんは笙野頼子さん推しで、お名前を知った時は上記の読めない時期だったので、結局一冊も読んでない。高橋さんの推しの中原昌也さんは全く存じ上げなくて、なんか帽子被った自己愛のヒトみたいなイメージ(それ中原中也)で、検索してみたら全然違ってたw
作家さんって、顔を知っている人は高橋源一郎さんとか林真理子さんとかメディアに登場するよっぽど売れている人だけだから少なくて、名前のイメージについ頼ってしまう。例えば、私の中では「町田」と言えば「啓太」なので、町田康さんはイケメンのイメージで考えてしまうんだけど、ホントは細いおじいさんだ。

もともとこの対談の企画は雑誌「SIGHT」で始まったそうで、あとがきに、ロッキング・オン発行で渋谷陽一さん責任編集とあって、ヘェ〜と思ってしまった。渋谷さん、文学にも興味あったのか。夏フェスのスタートに出てこられて、校長先生の朝礼みたいに開会宣言されてたのを遠目に見てました。6月9日のロックの日がお誕生日なんですよね。たまにフェスやライブ会場で見かける兵庫さん(ホントは陰で兵庫って呼び捨てw)が担当されてたってのもヘェ〜と驚いてしまった。
あとがきには、「SIGHT」が舞台じゃなかったら、ここまで言いたい放題じゃなかったかも、と斎藤さんが述べておられますが、私は本を読んでいて、ところどころに「この時、〜(文学賞)の選考委員でした」って出てくるのもあるんじゃないかと思いました。どんどん縮小していくマーケットで文学賞を取ったり、書評で紹介されれば売り上げに結びつくだろうから、へんに審査員に楯突いて不興を買うのも馬鹿馬鹿しいから文句があっても言えない、的な。
対談の内容と取り上げた本のリストを見て、「三島賞」とか「谷崎賞」とついていると、読んでみようかなと思ってしまうし。

心に余裕ができたら、今度は目の方がアレだけど、またミステリ以外のジャンルの本も読んでみたいと思いました。

この記事が参加している募集

#読書感想文

188,766件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?