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【映画】余命10年

 自分に残された時間があと10年と知った時、わたしならまず何を思うだろう。
10年という時間はあまりにも長く、そしてあまりにも短い。

 もちろん、10年の中で、ずっと健康であることはないし、ずっと笑顔でいられるようなことはない。大抵の人はそうだと思う。
 病を発症してからの10年を思うと、これからという時、20歳という若さには重くのしかかってしまう。

 もし、わたしの生きられる時間が残り10年と言われたとしたら、、。
何が正解なんだろう?正解はないのかもしれないし、どうやったって後悔ややり残したことは出てきてしまう気がする。わたしは弱いから、病気のこともこれからの人生も、独りでは抱え込めないと思う。でも、周りの人生まで巻き込んでしまうのも怖い。家族や恋人は、関わり方次第では人生を狂わせてしまいかねない。大切な友人とも、仲良しのまま終わりたい。

 そうなってくると、この映画の主人公である茉莉(まつり)も、たくさん悩んで、諦めて、それでも諦められなかったことがたくさんあるんだろうな。本音を隠して、人の前では泣かないように、最後まで強くあり続ける姿はとても逞しく、美しい。

 ここからは映画の内容に少し触れて書いていく。

 この映画を通じて一番グッと来た流れがある。
それは、「死ぬまで一緒に思い出を作ろう」と周りが意気込んでいないところである。病院での先生のシーンを除けば、最後まで、全員がいつも通りで、病気とか関係なく一人の人として接している。厳密に言えば一回だけ、病気の茉莉として病気の恋人候補を紹介されそうになるシーンがあったが、ものすごく浮いていた。空気が変わってしまうのが画面越しでも伝わった。
変に気を使われたり、やりたいこと全部やろうと連れまわされたり、頼んでもないのにやたらと写真や動画に残して思い出~なんてシーンがない。周りに恵まれていたんだろうな。
 好き同士だった和人とも、こういった映画でよくあるような、動画で思い出残したり最後まで一緒だよみたいな空気感はなくて、本音を言えないばかりに離れてしまう。病気は治らないってカミングアウトすると、和人は追いかけないし、プロポーズを押し切ったりもしない。それがすごくリアルで、やっぱり全部がうまくいって終わるわけじゃないんだなあとグッと来た。

 この映画を観て、やっぱり人生に正解はないんだなと思う。
やりたいことやってみるのも、大切な人と話すのも、やれるときに満足するまでやり切りたい。うんざりするくらい、好きな人と一緒にいたい。
まだわたしの”余命”はわからないのだから。

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