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こんにちは。ひかりのいしむろ店主のあゆみです。 石と言葉の #ひかむろ賞愛の漣 のエントリ…
去年の11月、妻の誕生日の近づくころ。例年通り僕は彼女に聞いた。 「今年の誕生日は何が…
冷蔵庫から白いたまごを四つ取り出し、パジャマのポケットに忍ばせて。お鍋でお湯を沸かしま…
二月は硝子(ガラス)で できている。 誰も わけ入ることも、誰も 立ち去ることもできない、…
茜の母親は変わっていた。ずっと家に居て、ご近所には顔を出さない。必然的にご近所付き合い…
こちらの続きです。
先端の細いジョウロを傾ける。枯れた花束に水が注がれるとそれはしだいに鮮やかさを取り戻し、やがて燃えあがった。 暗雲の下、男はだまって火を見ていた。 時折 パチリ パチリ と乾いた音が鳴り、そのたびにひとつ花びらが燃え尽きていく。隣では客が涙を流し、漏れるように苦しい声をあげる。 雲が流れ月が出てきても、火はまだそこにあった。 客は「母にあげるつもりだった」と言い残し去っていった。 もはや何も知れることはなかったが、あの花束が行き場を失ったことだけはわかっていた。 *
春の風が吹き荒れる。 ここは、天国か地獄かそれとも現実か ここは紛れもなく、現実である。 …
久しぶりね、という再会の挨拶もそこそこに、美和は何気なしに言った。 「わたし、もうすぐ死…
ー知ってる? 海は、空は、本当は虹色なの。 澄んだ水色の空は、黄昏に向けて透明になってい…