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1秒に何千通りの、感情の機敏。
草むらに入ると、ピョンピョンピョンピョン。
ペースの変わらない愛犬が、アスファルトから川沿いの野良道に入ったときだけ、気持ち跳ねるように歩く。地面を蹴る高さが、倍くらいになっている。
表情からは察せないけど、このステップを見れば散歩を楽しんでいることが分かります。
犬と暮らしていると、ものを言わないだけに、感情の機敏を感じ取ってコミュニケーションをすることになります。
いかに、動作・所作が感情の発露になっていることか。
言語環境が乏しかった頃の人間も、目線や体の動きから相手の感情の機敏を感じ取りながら、心を通じ合わせていたのでしょうね。
逆に現代の日本人は言葉で感情を発信できるにもかかわらず、自分の内にとどめてしまうことが多い。空気を読む。我慢する。
しかしそこには、1秒に何千通りという感情が生まれているのです。確実に。(確かもの凄い数の信号が脳から出ていると聞いたことがあります)
十把一絡に、誰かが誰かの抱いている感情を決めつけるなど、おこがましいことなのかもしれません。
他人との関わり合いなくしてはプライベートも仕事も成り立たないから、感情の機敏を察する努力に終わりはないということです。
飲食店をしている人を例にすると、お客さんがお店に入るかどうか決めるとき、お店に入ったとき、メニューを選ぶとき、テーブルに食事が並んだ瞬間、食べ終わったとき、会計をしているとき、お店を出るとき…
ここにどれほどの感情の機敏があるのかを考えてみると、コミュニケーションの改善点がいくつも見つかると思います。こんなの序の口で、もっともっと切り分けられるかもしれない。
人の感情を知り尽くしているなんて、とても軽々しくいえないものです。まして、心を動かす文章だなんて、よういえんわ。いえる人すごいです。
僕たちは人の感情など分かりきっていない。理解できる瞬間も来ない。それくらいの認識でいた方がかえって「知ろう」という努力をするから、真っ当であるのかも。
愛犬の草むらピョンピョンを見て、そんなことを考えました。
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