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これだけの売上あげてるんだからさあ。

―仕入先・外注先・協力関係にある人を、「パートナー」と思うか、「下請け」と考えるか。生かされていると思えるか、「生かしてやっている」と考えるか。似ているようで180度違う考え方のお話。

社会人になって最初に入った会社が、雑誌や本の制作会社でした。そこでは、お付き合いのあったカメラマンさんやデザイナーさんから、本当に多くのことを学ばせてもらいました。

特にカメラマンさんには、四六時中同行取材に出かけては写真のことを教えてもらったり、仕事観や人生観について薫陶を受けたり。

10も20も歳が違う人たちと仕事をすることが多く、よく自分のような若造に根気よく物事を教えてくれたな、と振り返ると感謝しかありません。

人生の師などというと大げさかもしれませんが、当時の自分にとってはそれくらい影響力のある人たちばかりでした。彼らの能力うんぬんではなく。

自分はそうした外注先の方々に恵まれたからでしょう。カメラマンにしてもデザイナーにしてもなんにしても、協力してくれる人々を「パートナー」だと考え、今に至ります。

その後、食品の卸の仕事をしていたときも、やはり仕入先はパートナーだと考えていました。なぜなら彼らがいないと、売るものがない。売るものを作れないから。

僕が渡ってきた業界は決して多くありませんが、小売・卸の業界は、協力会社を「パートナー」と思うか、「下請け」と考えるか、二極化が顕著だと感じます。

流通の流れのなかでは僕がいた会社自身も、風下に仕入先を抱えながら、川上にはより大きな卸や小売という業種がいました。そうやって、ものとお金がめぐっています。

物言いは厳しいながらも下流にいる会社を育てようとしてくれている小売業のバイヤーもいれば、その真逆。終始「仕事を与えてやっている」という体で向き合ってくる企業もありました。

たぶん、そういう上から目線な体質は、社風であり、自分たちが舐められないためのマウントなのだと思いますが。

ほとんど付き合いがないのに、自分たちの都合のいいときだけ、仕入れの声をかけてくる企業もありました。上場している、誰もが知っているようなところです。

支払いのサイト通りに入金もせず、次の仕入れを進めようとするから、キッパリ関係を断とうとしました。すると、いうわけです。「これだけの売上あげてるんだからさあ。そんなこといわないでよ」などと。

(さすがにブッタ切ったし、勤めていた会社にも事情を話したら理解されました。そんなところはいらん、と)

逆に僕は絶対にそうありたくなかったので、仕入先のメーカーの強みを引き出し、弱みを補うような働き方ができていたんじゃないか、と思います。彼らは自分たちの「資産」だったから。

業界を離れましたが、今でもプライベートで連絡を取り合える人たちは何人もいます。(万が一、僕が食えなくなったら雇ってくれるでしょう笑)

僕たちは自分たちを取り巻くパートナーに生かされています。そんなことが頭によぎることなく、「生かしてやっている」としか考えない人間もまたいます。

なんだか虚しいですよね。

「これだけの売上あげてるんだから」なんていうスタンスの人間は、給料はもらっているかもしれないけど、生涯にわたって続く資産を捨てているようなものなので。

独立して環境が変わりましたが、僕は引き続きそうならないよう、人として当たり前のパートナーシップを持って仕事に努めていきます。


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