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なんだかんだ人はベタなものが好き。

企画などをしていると「もうひとひねり欲しい」と言われることがよくあります。

言われてみて納得できることもあれば、「それ本当に必要か?」と思うこともある。作り手のエゴで装飾が継ぎはぎされ、伝わるはずのことも伝わらないから。

かつてクリエイティブ関係の仕事をしていたときは、企画を突っ返されるたび「それ本当に必要か? 正しいか?」と、疑問に感じる日々の連続でした。

「誰よりも面白い企画を出さなきゃならんのだ」という、“作り手の中”だけにある正解。いま振り返ってみても、納得できないことの方が多いかもしれません。

奇をてらうくらいなら、ベタでいい。なんだかんだ人はベタなものが好きなんです。

10年ほど前、アメリカのサンフランシスコに1週間ほど滞在したことがあります。

深夜のチャイナタウン、ヒッピー文化の聖地・ヘイト&アシュベリー、50年代のビート作家たちがたむろした街並み、当時は日本上陸前だったブルーボトルコーヒー。

摩天楼には白く霧がかかる。陰謀でも渦巻いているのだろうか?

子どもの頃から憧れだった多様なアメリカの文化が、万華鏡のように目の前に現れては、感動した記憶があります。

なかでも「これぞ、ベタなアメリカ」を体感したのは、確か日本へ戻る最後の日の朝。ユースホステルの隣にあったダイナーで味わった雰囲気でした。(ダイナー=アメリカの定食屋さんみたいなところ)

タイル貼りの壁、窓際にはボックス席、カウンターには赤い革張りのスツール。だったと思う。ジョージ・ルーカスの『アメリカン・グラフィティ』のセットのなかに迷い込んだのかと。

朝食セットにブリトーを頼み、出てくる間コーヒーを飲みながら旅行の思い出を振り返っていたら、衝撃的にとんでもない量の“それ”が目の前に出てきました。

「アメリカ人は毎朝こんなの食ってるんかい」などと喘ぎながら、異文化で食事を残すことにも気が引けた僕は、なんとか食べ進める。

そんなときです。これまたベタベタな展開なのだけれど、アメリカの青春映画のセットのごときダイナーに、ラジオからボブ・ディランの『ライク・ア・ローリングストーン』が流れてきて。

周りで誰かが『How does it feel?』などと悦に浸りながら口ずさんでいるわけです。

うわー、ベッタベタなアメリカ! アメリカ人はやっぱりボブ・ディランが好きなのね。

記憶は風化していきますが、衝撃的なブリトーと『ライク・ア・ローリングストーン』は一生忘れないと思う(笑)。

こんな雰囲気を味わったあとでは、いかにアメリカの映画が自国のライフスタイルを“ベタに”映し出しているのかを肌身に感じました。でも…それでいい。

奇などてらわず、ベタに・ストレートに・着飾らず、ものの魅力を表現する。純粋に。

ふと、今朝コーヒーを飲んでいたらあのダイナーを思い出しました。

ひねりにひねった曲芸はできる人にお任せして、僕はベタな王道を追い求めていきたいと思います。


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