知っておきたいデザイナー 静かな製品を創る “ジャスパー・モリソン”
ビジネスに使えるデザインの話
ビジネスにデザインの知識はけっこう使えます。苦手な人も多いから1つ知るだけでもその分アドバンテージになることもあります。noteは毎日午前7時に更新しています。
“知っておきたいデザイナー”たち
デザインというものの機能やルールを体系的に知るというのは、骨の折れる学習になります。しかしポイントをいくつか抑えると、まるで星座のように全体的な像が浮かんでくることがあります。
このポイントのひとつが「デザインの巨匠」たちです。複数の時代の、複数の国の偉大なデザイナーたちのことをざっくり知るだけで、デザインというものを時間をあまりかけずに全体像とともに知ることができます。かなりお得な学習法とも言えます。
今まで紹介してきた“知っておきたいデザイナー”たち
№1: IBMのロゴを作った、ポール・ランド
№2: 東京オリンピックのビジュアルを作った「亀倉雄策」
№3: 映画デザインとロゴの ソール・バス
№4: イブ・サンローランのロゴを作ったアドルフ・カッサンドル
№5: 資生堂の仲條正義
№6: グリッド・システムのヨゼフ・ミュラー=ブロックマン
№7: タイポグラフィーの巨匠、ヤン・チヒョルト
ジャスパー・モリソン
名前:ジャスパー・モリソン(Jasper Morrison)
国:イギリス
生没:1959–
今まで紹介してきたデザイナーたちは主にグラフィックデザイナーでしたが、プロダクトと家具のデザイナーです。ジャスパー・モリソンは、1959 年イギリス生まれ。モリソン氏のデザインの特徴のひとつは、一見シンプルであること。インタビューのなかの以下の言葉が、この特徴を表しています。
モリソン氏は、イギリス・ロンドンで生まれ、イギリス・ドーセット州のブライアンストン校に通っていました。1982年(23歳)にキングストンポリテクニックデザインスクール(Kingston Polytechnic Design School)でデザイン学士号を取得し、1985年にロンドンのロイヤルカレッジオブアート( Royal College of Art)でデザイン修士号を取得しています。ベルリン芸術大学(Berlin University of the Arts)でも学んでいます。
祖父の家の北欧スタイルの書斎で初めて目にしたブラウンSK4レコードプレーヤー(1956年にハンス・グーゲロットとディーター・ラムスがデザイン)について、モリソン氏は、
と語っています(※1)。
ジャスパー・モリソンのウェブサイト
ジャスパー・モリソンの作品
FlosのGlo-Ball (2009)
FlosのSuperloon(2015)
VitraのAPCチェア(2016)
白井屋ホテル(群馬)の宿泊室
マルニ木工(広島県)のT&O テーブル200
その他、多岐にわたるジャスパー・モリソンによるプロダクトデザインは、彼のウェブサイトからカテゴリ別に見ることができます。
まとめ
わたしが使っているJINSのメガネもジャスパー・モリソン氏によるデザインのものです。このように日本のなかでも海外でも、高級品でも日用品のなかにもモリソン氏によるデザインを見つけることができます。もはや多作なだけでなく、ユビキタスとさえ言えるほど。
同じように多作な日本のプロダクトデザイナー、Nendoの佐藤オオキ氏も「スピードと質は比例する」と言及していました。わたしもそう思います。
ディーター・ラムスは、“Less but better”という言葉を残しています。またモダニズム建築の巨匠のひとり、ミース・ファン・デル・ローエ氏は“Less is more”という言葉を残しています。
そして『星の王子様』のサン・テグジュペリもこのように語っています。
“完璧とは、これ以上足せるものがなくなった状態ではなく、これ以上引くものがない状態を指す”
“Perfection is not when there is no more to add, but when there is no more to subtract. ”
ジャスパー・モリソンの引き算の美学をさまざまな場面で観ることができることは、日常に潜む幸福ではないでしょうか。
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参照
※1
※2
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