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【有料記事】自分の一番のファンは自分であれ。

椎茸初めての有料記事です。

”私は私が好きです。今の私が大好きです”。

作家としてのプライドの持ち方。
生きようと思った言葉。
椎茸が椎茸になるまで。

全ては人からもらったもの。

短編集みたいにまとめてみたよぅ…

一応各章繋がりがあります。

ホントの話

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それではプロローグからどうぞ ٩( ᐛ )( ᐖ )۶
その下に目次があります。

ぜひ最後まで、お付き合いくださいませ

重いぞ?
浮き輪の準備は良いか?
(┐「ε:)_

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【プロローグ
これはどれも、ワタクシ椎茸がお世話になった全寮制美術学校での話。
構想し、図面を引き、木を板にし、細工をし、仕上げをする。
所属する『工芸部』は、全国大会連覇の強豪部だ。

全員が作家、そんな場所。

同じチャイムで起きて、同じものを食べ、
金曜日は寮に1つのテレビを囲む。


久しぶりに聞いた自分の声は笑い声だった。


漫画みたいなことが沢山起こったんだ

まず第一、


空が青かった。

1.自分の一番のファンは自分であれ

自分の作品に自信がなかった。
というかまず、大会までに仕上がるかどうかもわからない。3日後には搬入だというのに目の前にあるのは皮付きの木。まずはこれを平らにして板にしなければならない。この世の終わりだ。大会に未完成の作品を出すということは、自信のない歌をコンサートホールで披露するようなもの。皆が笑うんだ。私の名前の付いた作品を見て。クスクスクスクス、怖くて怖くて仕方がない。
もし、完成しなかったら、

醜い作品。私は、消えてしまいたい‥

搬入当日。
トラックの積み込みが始まっても私は作業場にいた。先輩が寄り添ってくれる中で最後のパーツをはめた。塗装はできなかった。未完成だった。

沢山の人が行き交う会場。展示されてしまえばもう、開き直るしかないだろう。いろんな人に話しかけて、講評を聞いた。どこが悪かった、ここは良かった、もうちょっとここが直せたら。皆温かくて、優しくて、この時間はとても楽しかった。学びを知った。

賞をもらった同級生が誇らしげに取材に応えているのが見える。”部活”といっても作品も順位も個人だ。歳も経験も関係ない。良い作品であれば三年生を抜いて初会で全国に進むことだってあるし、間に合わなければ誰であろうと容赦なくそのまま出展することになる。たとえ組上がっていない部品の状態だとしても、色が半分塗られていなくても。辞退は許されない厳しい世界。

全国候補とまで言われていた2つ上の先輩の作品は、部品の状態で展示台の上にあった。


時が経った。あれから一年が経過した。私は相変わらず木と戯れている。今回は自信作だ。明日は大会だが、もしかしたら後輩の手伝いをする余裕もあるかもしれない‥


‥固くなった顔面を無理やり動かしながらバスに揺られる。今日はなぜか皆、声が大きい。

大会2日目 成績発表。

作品に“全国推薦”の紙が貼られていれば作品と一緒に全国大会へ進める。“入選”の紙が貼られていれば全国大会への同行許可が、何もなければここまでだ。会場のドアが開いた。ゆっくりと、自分の作品の元へ


あった。紙が、貼ってあった。

全国推薦。勝ち取った。私が、全国。
ヘナヘナと座り込む。力が抜けた。

頭が真っ白。後輩が私をチラッと見ながら自分の作品に駆けていくのが見えた。少年よ、大志を抱け…そんな時、背後から。聞こえてしまった


『なんであんなのが』

先輩の声だった。先輩の作品に推薦の札は無かった。入選の札もなかった。悲しい?残念?いや違う。私は先輩のことが好きだったしその作品のことも好きだった。尊敬していた。先輩がどんなに楽しそうにその作品と向き合っていたか、知っている。本気だったんだ。そう、皆が本気だ。本当に、私はこの部活、好きだなぁ‥とぼんやりとした意識ので中で思った。

大会終わり、部員全員で反省会をした。円になって、一人ひとり豊富を言う。これが伝統だ。

先輩は言った。

自分の一番のファンは、自分でなければいけない。

思うような結果が出なくても。納得がいく出来じゃなくても。自分は最後まで、その作品を愛さなければならない

じわりじわりと染み込んでくる。

その作品の苦しかったところ、工夫したところ、手間をかけたところ、上手くいったところ、全て知っているのは自分だけだ。何もなくていい。全部まとめて愛したい。

”みて!私の作品を。素晴らしいでしょう?”
パッと、ひまわりみたいに笑う先輩が想像できた。すがすがしい、夏の香り。


私に負けたから、この言葉が出てきたんだろうか。
なんだか悔しい気もする。

過去の作品を見て私は、同じことが言えるかな。恥ずかしい、怖い、どうしよう、それしか考えてこなかったよな。賞をとった作品は好きだ。でも、それ以外は?それ以外は?


誰よりも愛さなければいけなかった。
つらかったこと、頑張ったところ、世界で一番理解している、自分こそ。

全部愛してこう言うの。

『もっと見て!!私は!私の作品が!大好き!!』


自分の一番のファンは自分であれ 
ଘ(੭ˊ꒳​ˋ)੭✧
ః◌꙳✧ంః◌꙳✧ంః◌꙳✧ంః◌꙳✧ంః◌꙳✧


2.よく今まで、背負ってきた

ありきたりな言葉。
でも、なぜこの言葉がそんなに有名なのか理解した

そんな話

暑い夏が始まろうとしている。部屋替えの季節だった。私の暮らす寮は二人、もしくは三人の相部屋が基本。生徒の組み合わせは寮母さんが決定し、私達には選択肢も拒否権もない。

そんな場所で。

『◯◯ちゃんと同室になってくれないか』

例外が起きた。



私達はグレーだ。

まぁなんてったって美術学校。
ピュアホワイトの方が珍しい。

巷では”学習障害”なんて言われてるソレ。

普通なんて概念だ。
誰もが一度は痛みを受けてるこの学校の生徒達は、理不尽を嫌う。
平和を望む。平凡を望む。

まぁ、そんなこと言ったって、特別な配慮が必要な人だっているんだよね。

つまり私はその子の同室者として選ばれたわけだ。

比較的普通で、温厚で、気遣いのできる、安全な、子供。

きっとそういう評価だったんだろう。


無理だ。


気遣いに気遣いを重ねての生活、そんなの無理だ。

3日悩んだ。
言うか、言わないか。



人生で初めての身の上話だった。
誰も踏み込んだことのない私の世界。
誰も入れたことがない私の世界。

声が出ない
ハクハクと空気の音がする
涙がぼろぼろと。


パニック

寮母さん、わたし、ただでさえ、頑張ってるのに。わたし、普通じゃないって、だから、頑張って、普通みたいに、今回のことも、嬉しかった。きっと寮母さんは私を、この子ならいけるって、選んでくれたんだよね、わたし、すごいでしょ、普通に見えたんでしょ、でも、これを、24時間体制で、ずっと続けていくなんて、わたし、できない、
ううん、できると思う。
でも、わたし、彼女のために

じぶんを、ぎせいにしたくない…


最悪だ最悪だ最悪だ。
彼女はきっと私より何倍も努力して食らいついて生きてきたんだ。私は彼女を否定して拒絶して、自分を優先させた。なんにもしてない。なんて汚い。彼女はどうする。
最低だ。最悪だ。わたし

『もうちょっと普通になれないの…?』

泣いてる母親が脳裏に浮かぶ。

小学生の頃、私は幸せな日常を疑いもしなかった。
でもあるとき自分で気が付いたんだ。

『どうして私は特別学級にいないの?』

特別学級にいる人達の気持ちを理解できた。
なぜ叫びたいのか。なぜ暴れたいのか。
”どうして私は彼らと同じ教室にいないのか”
そっちの方が疑問だった。

蓋を開ければ簡単だ。
”特別”として扱っていた先生。斡旋された友達。
私は守られていた。

愛情だと、思う。


私の願いにより、中学校からその守りはなくなった。

案の定、私は輪から弾かれた。


先生に言わないで
親に連絡しないで

”普通じゃない”ことは秘密ではなかった。

ただ、”普通じゃないと思っている人がいる”ということは、知られてはいけなかった。



『ごめん、悩ませたね』

『でも確かに、そう見えてた』

えへへ、ね、そうでしょ。
わたしって女優なの。

温かい。背中をさする手。
しわくちゃで、骨ばった、寮母さんの手。

すごいでしょ。普通だったでしょ。

『うん、よく今まで、背負ってきた』

『よく、背負ってきた』


背負ってきた?

私、別になにも背負ってなんか。

これは、私が大事に抱えてきた宝物だよ。

しっかり前に抱えこんで、
離せなくて、
捨てれなくて、
壊せなくて、
だから全部、
私が、悪くて、

私が、

”背負って”

まるで、荷物みたいだ。

ねぇ寮母さん、

わたしの手の中を見て。
これはわたしの宝物。

いつの間にか手の中にあった、誰かの、



私は、わるくないのかなぁ


よく今まで、背負ってきた
(っ'-')╮ =͟͟͞͞ブォン
ః◌꙳✧ంః◌꙳✧ంః◌꙳✧ంః◌꙳✧ంః◌꙳✧


3.貴方がどこにいても、私が必ず心配するから

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