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障害者の作業中のきもちがわかった気がした。〜異常な集中力(ゾーン)から考えたこと〜


特別支援学校で勤務しているとき、作業学習という科目があった。

■超ざっくり説明
作業学習は、社会に出て働くことを目指した科目。実際の仕事の練習。個人の得意不得意や、知的能力に合わせたものを行っていた。
例えば、製品の袋詰め、箱折り、部品組み立て(流れ作業)、シール貼り、ボールペン組み立て、リネンたたみ…
え!これ機械でやってなかったの⁉︎という作業も多い。
この様子は、いろいろな人に見て欲しい。障害者もこの社会を支えていると気づくことができるはずだ。

単純作業を黙々とこなす生徒たち。
ぶっ続けで3時間は余裕。
ずっと同じことの繰り返し。
そして、手順を一度頭に入れればペースを落とさず、ミスもなく作業できる。

私も一緒に混ざって手伝うこともあったが、私はどうも単純作業が苦手なようだった。ペースも遅く、作業ミスも多い。

事務作業や単純作業をしたときに、これは好きではないかもな…と感じていたが、この経験で、完全に不向きと理解した。これは、向いてない。
だが、そう感じると同時に、

生徒たちは凄すぎる。
この異常な素直さと集中力は機械を超える。
このパワー、本当にすごい。

と心から尊敬した。

(ちなみに、作業学習という授業の一環ではあるが、地域の会社さんのご協力により、本物の製品を扱わせてもらっている。
納品の期限が迫ることも多々…世の中の製造業の仕組みをここでリアルに学んだ私であった。)




本日のこと。
そんな生徒たちを思い出す出来事があった。

掃除をしようと家の観葉植物を動かすと、床に敷いていたシート(紙製)が濡れて、床に貼り付いてしまっていた。
汚いのは嫌なので、とりあえずスクレーパーになりそうなものを使って、剥がす。

程よく床に貼り付いている。


ガシガシ。

こすると取れる。
床が綺麗になっていく。
あとは、右側の親分を…
ここ、結構細かくひっついてるな…

とか思いながらひたすらにガシガシを続ける。

ガシガシ、ガシガシ、、、

これは無の時間だったかもしれない。


ふと、作業学習中の生徒たちを思い出す。

あ、こういう気持ちなのか。
みんな、この気持ちで作業していたのか。


楽しい!という感覚はないが、
何となく自然に楽しくて、
自然に次々と手が動く。

そして、私はすべてのひっつき虫を取り切った。充実。大満足だ。


障害のある方の集中力は、時にものすごいパワーを発揮する。
これを無のスイッチと呼んでみよう。このスイッチが入ると、感覚が研ぎ澄まされて何も考えずとも手は動く。いわば、ゾーンに入るということだろうか。

しかしながら、このゾーンに入るためには、自分に合った作業を行うことが重要であると考える。本人にとって嫌悪的なものでない作業の選定と提供が、教師または作業所管理者などに求められるのではなかろうか。



本日の私のケースでは、床のゴミ取りでゾーンに入っていたわけだが、もう少し社会的に活かせそうな事柄に還元したいものだと感じた。



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