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【小説】あと78日で新型コロナウイルスは終わります。

~コロナで出産数が減る?~

「最近、お産希望の妊婦さんの受診が減ってるような気がする。」

昼休憩中、同僚の看護師がマスク越しにアキナたちに話しかけてきた。

「確かに、中絶希望者を抜かした、お産希望の初診妊婦は減っていますね。」

答えたのは、集計を取っている医療事務だった。

「うちはもともと分娩施設がないから、収入が大きく減ることはないですけど、妊婦健康診査受診票(妊婦助成券、妊婦クーポン・チケットと呼ばれることも)の枚数が減ってるので影響はなくはないです。」

『コロナで出産数が減る?厚生労働省が緊急調査…感染リスクや収入が不安との声』

2020/9/4(金) 14:42 配信 読売新聞オンライン

 新型コロナウイルスの流行で、妊娠中の感染リスクや収入減などによる産み控えが広がっているとの指摘を受け、厚生労働省が緊急調査を始めた。全市区町村の妊娠数の推移を確認する。少子化が加速する恐れもあるため、実態把握が必要と判断した。

 厚労省 実態把握へ

 医療機関で妊娠の診断を受けた女性は、市区町村で母子手帳を受け取る際に妊娠届を提出する。

 調査では、都道府県を通じて、全市区町村が今年1~7月に受理した妊娠届の件数を尋ね、前年同期と比べ、影響をみる。

 妊娠中に新型コロナに感染した場合、母子への影響はまだ分かっていない。

 民間企業が6月にまとめた調査では、次の妊娠を希望していた母親の3割が、感染拡大により妊娠の断念や延期を決めていた。理由には、経済的な不安や胎児への影響などが挙がった。

 東京都港区では、5~7月の妊娠届の受理件数が、前年同月比で2~3割減だった。同区にある母子愛育会総合母子保健センターの中林正雄所長は「全国の産院の分娩(ぶんべん)予約も減っており、少子化への深刻な影響が懸念される。早急に検証し、少子化対策につなげるべきだ」と訴える。

 厚労省によると、2019年の出生数は86万5234人(概数)で、初めて90万人を割り込んだ。

「それって、今、わたしたちのクリニックやそれに伴うわたしたちの収入の問題だけでなく、今年や来年生まれるベビーちゃんたちが20歳になったとき、年金を支払ってくれる新成人が減るってことだから、わたしたちの世代の年金支給開始時期が変わるかもしれないね。」

看護師免許を持たない45歳の看護助手は天を仰いだ。

「支給額も変わるかもね。かと言って、どんなに節約生活をしても貯金は増えないし。」

もともと国家資格は存在せず民間の資格試験しかない医療事務は、ため息をついた。

アキナたち看護師はフォローする言葉が見つからず黙ってしまった。

新型コロナウイルスが終わるまで、
あと78日。

これは、フィクションです。

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