「会いたい」って言葉を言える、あなたでよかった【不登校娘 育児日記】
5児の母、shiiimoです。
9歳女子(不登校)、7歳女子(ASD・ADHD)、
5歳双子男子(双子兄はADHD疑惑)、1歳の三男(重い)を絶賛子育て中です。
不登校長女が「会いたい人」
創作大賞に向き合おうと決めて、あーでもないこーでもない、としているうちに、夏休みへ向かう小学校。
「夏休みになったら、しばらく先生にも会えなくなるよ」
まあとくに何を期待したわけでもないが
(いや。何かは期待していたかもね)
相変わらずスプラトゥーンばっかりやっている長女にそう言ってみた。
「ああ…………そうだね。じゃあ、会いにいきたい。先生に」
いつものソファに沈み込んでいた長女の口から洩れた言葉は少し予想外で、私は驚いた。
「お、おお! じゃあ行こうか」
驚きの消費力で有休消化している身ではあるが、もう今更だ。子どもの看護休暇も年間10日支給とありがたい現場なのに、もう使い切っていた。
でも、彼女の「会いたい」の言葉が出るうちに、行動は起すべきだ。私がその分頭を下げることは苦にもならない。
その分、自分なりにできる仕事はいるときに最大限向き合ってるつもりだ。だからこそ周りへの感謝も忘れずにやり続けていけていると思う。
私はもうテンプレートとしてスマホに記憶されている「娘の小学校付き添いのため遅刻していきます。恐れ入りますがよろしくお願いいたします」を上司に連絡し、準備をする。
普段から、私の子どものことはできる限りは伝えている上司たち。子どもがいる人もいない人もいるけれど、みな口をそろえて「家庭を優先していいんだよ」と言ってくれる。
この環境がどれだけありがたいことか。書いていて、改めて痛感する。
長女が先生にしてあげたかったこと
夏休みまであと1ヶ月というあたりから、1時間目の授業の裏で先生との面談を3回ほどすることができた。
長女の担任の先生にも年少の子どもがおり、時短勤務のため1時間目は他の先生が入ってくれている。そのため1時間目の授業の間には少し時間がとれると聞いていた。
「今日も来てくれたんだね~!」
その日も下駄箱に行くと、先生が職員室から駆けつけてくれた。若く、熱意があり、長女の心の声が出てくるまで粘り強く待ってくれるママ先生。
次女が運んでくれた先生との手紙のやり取りの中で、すみっコぐらしが好きという情報を得ていた長女。長女もすみっコぐらしはたくさんグッズを持っているので、どれが推しキャラなのかなんて話をしているのを、私は横で聞いている。言葉が出てこない長女のフォローをしたり、少し横っ腹をちょん、とすると、キャハ!と笑う長女に、先生とふたり、笑うなどする。
「先生にあげるやつ…………」
長女が私にささやくので、自分で渡しな、と私は長女にそれをそっと渡す。
コメダ珈琲とのコラボの、すみっコぐらしシール。「とんかつ」と「エビフライのしっぽ」がかわいく光っている。
「あ! これコラボのヤツだ! 先生がもらっちゃっていいの? すごくうれしい! 先生、エビフライのしっぽ、なかなか出ないなあーーーって、何回もコメダ行ったよ!」
さっそく貼るね!と、先生は持っていたノートの一番目立つところに貼ってくれた。ノートには他にもたくさんのすみっコぐらしシールが貼ってあった。
このノートには貼っていないけど。きっと、先生、このシールもう持っているんだろうな。でも、そうやってとっても喜んでいることを表現してくれて。ありがたいな。
「すっごく丈夫でいいシール! ぜったい剥がれないから安心だ! ありがとうね長女ちゃん!」
いつも、最後までちょっと緊張している長女も、笑顔が溢れていた。
「先生に渡したい。これをあげてもいいかな」
私は長女がいそいそとシールを準備していた今朝の姿を思い出す。それは私が、コメダ珈琲でアルバイトしているという学生から数枚もらったものを、彼女にあげたやつだった。
誰かに「会いたい」「プレゼントしたい」「喜んでほしい」
そう思っていられるあなたで。よかった。
心から、ほっとした。
「いいよ。先生、きっと喜ぶよ」
私は、少し涙が出てきそうな心を落ち着かせながら、そう言った。
手作りのシール帳に想いを貼り付けて
30分弱程度の面談が終わると、先生も自分のクラスの授業に戻る。
最後に下駄箱まで付いてきてくれて、「今日のシール貼ってね!」と言ってくれる。
長女の下駄箱にそっと置いてあるのは、先生が手作りで用意してくれたシール帳。丸シールにはひとつひとつに、すみっコぐらしが手書きで書かれている。
「今日はどれにする? お、今日は、『ざっそう』だね!」
先生が言いながら、シールを貼る長女に笑いかけてくれる。
長女が教室に一切、入ることができなくなってから。
先生に会えなくても、教室に入れなくっても。次女ちゃんのお迎えとかで、少し学校に来れたなら、ぜひ貼ってね。と、先生が用意してくれたもの。
合計で、6枚くらい貼れたかな。
このシール帳が埋まらなくったっていい。本当の意味があるのは、おそらくそこではない。
よかったと思うのは、そんな先生の想いも、きっと長女はちゃんと受け止めているということ。
そして、その想いに応えて。いや、きっと単純に。
「先生に会いたい」の気持ちを、母に伝えてくれたこと。
誰かに「会いたい」の気持ちは、とても大切だよ。
長女ちゃん。また、先生に会いにいってみようね。
この夏は、赤ちゃんの頃からいっしょにいる幼馴染ちゃん家族との旅行がある。今から、家族で毎日毎日指折り数えて、とても楽しみにしている。それはもちろん、長女も。
「いっしょに海に行く!」
「水着どうしよう」
「あ、これ、海に持っていこう!」
次女と毎日、いろんな計画をしながら笑っている長女に、胸をなでおろす。
さあみんな。楽しい夏にしようね。
【悲報】母ちゃんの夏、創作大賞応募でもうほぼ終わってる←
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