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「ぶあいそうな手紙」

心温まる映画を見ました。大阪 九条にあるシネ・ヌーヴォで公開中の「ぶあいそうな手紙」は、ポルトガル語とスペイン語が飛び交うブラジル映画。

主人公のエルネストは78歳。視力を失いつつある一人暮らしの老人で、都会に住む息子からの同居の誘いを断り続けている。ある日、故郷に暮らす長年の友人 ルシアから手紙が届く。手紙を読む視力がもうないエルネストは、ひょんなことから知り合った若い女性 ビアに手紙の読み書きを頼むことにする。

エルネストと手紙を交換する女性 ルシアは、実は昔 エルネストのデート相手だったのですが、別の人と結婚し、その相手に先立たれて未亡人になったことを手紙で知らせてきます。手紙の文面から、エルネストに対するかつての恋心が再び大きくなる様子が伝わってくるのですが、手紙の中にイヌイットの言葉「IKTSUARPOK(イクトゥアルポク)」を引用して自分の気持ちを表現していました。これは、“だれか来ているのではないかと期待して何度も何度も外に出て見てみること”(「翻訳できない世界のことば」)という意味。ルシアは、こんなふうに毎日エルネストの手紙を待っている、と伝えるのです。なかなかのアピールっぷりです。

70代の男女の手紙を介した関係をつなぐのが、23歳のビア。突如現れたこの自由奔放で身勝手なビアという存在によって、エルネストの人生が大きく変わり始めます。

詩や本の朗読シーンが随所にあるのですが、その1つに出てきたマリオ・ベネデッティというウルグアイの小説家の本をいつか読んでみたいです。

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