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「あの日、君は何をした」 まさきとしか

まさきとしかさんの本には、子供を虐待したり、過剰に干渉したり、子供と歪んだ関係を築く母親がたくさん出てくる。前回読んだ「完璧な母親」では、一人息子を事故で亡くした母親が悲しみのあまり、次に生まれた娘に息子そっくりの名前を付け、今度こそは完璧な母親になろうと、母親としての自分をやり直そうとする、ゾワッと恐ろしい話だった。今日読んだ「あの日、君は何をした」にもクレイジーな母親たちが登場する。

第一志望の高校に合格した息子に、春から大学へ行く娘。二人の子供と夫に囲まれ、世界一幸せだと感じるいづみ。しかしある深夜、こっそり家を抜け出していた息子がトラックとの衝突事故で亡くなってしまう。息子を失ったいづみは心を病んでいく。事件から15年後、ある若い女性がマンションの一室で殺害され、その女性と不倫関係にあった男が行方不明となる。二つの事件にはある共通点が見つかり… というミステリー。

いわゆる「毒親」と呼ばれる、子供を支配しようとする母親の目線で書かれるので、読んでいてとってもしんどい。元気な時に読まないとダメな本。

でも。90を過ぎた私のおばあちゃんが未だに、60を過ぎた息子や娘の心配をしているのを見ると、母親というものは誰しも子供に対しては多少クレイジーになっちゃうものなのかもな、とも思う。

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