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【中小企業向け】中途(キャリア)採用のコツ/基礎編③

基礎編①②のポイントは下記でした。

*コロナ後、中小企業の採用は超厳しい(内定0でも当たり前)
*採用は婚活と同じ!結局ハイスペ(大手)に人気は集中!
*ノープラン&人材会社に丸投げでは採用できない。
*求人を出す前の準備運動として「自社分析」は必須!


これまでは求人を出す前の意識作りや頭の整理についてまとめてきました。次は、求人をかける際の土台(ベース)となるターゲット設定についてポイントをまとめていきたいと思います。

振り向かせたい相手の”脳内”をイメージする。(ペルソナ設定)

自社分析が完了したら、今度は前回の基礎編②内でも出てきた「自社に適した人材の”ペルソナ設定”を明確化していく」という作業に入ります。ペルソナなんて言うと難しそうに聞こえますが、これも婚活に例えれば簡単です。要は「落としたい相手(ターゲット)について妄想する」という作業です。

ただここで大事なポイントは、とにかく高望みしないこと!
皆さんうっかりハマりがちなのですが、”いい人”を妄想し始めると理想ばかりで脳内には白馬の王子様しか現れなくなります。そしてそんな王子様は大体お姫様(大手)の元に行きます。来ないです。コロナ後の今なら一瞥もくれない場合の方がほとんどです…

なのであくまでも、「今の自社にとって戦力になる人材=いい人」について具体的イメージを膨らませていくことに全集中してください。②でお話しした準備体操として自社分析で身の丈を知ることはここで生きてきます!

【落としたい相手(ターゲット)について妄想する=ペルソナ設定】の手順は以下の通りです。

▼プラスしたい戦力は何か?
▼スペックを考える(年齢・学歴・経験・性別・資格など)
▼あると望ましい前職経験は?
▼その経験を積むために今どの企業で働いていそうか?
▼彼らの転職動機は何か?
▼彼らが次の転職先に望むものは何か?
▼望むものを自社では提供可能なのか?それは何か?
▼転職後のキャリアパスは?長く勤めた先の姿は?
▼新しい環境になり彼らの生活や人生はどう変化するか?
▼その変化は転職前の職場にそのまま残るよりもよくなるのか?
など、ここから先もどんどん具体的に想像を広げていきます。

お分かりでしょうか。想像の段階が、ただ単純なスペックからターゲットの脳内や思考性にまで深く潜っていき、考える時間軸も短期的ではなく定着率を踏まえたロングスパンで俯瞰していく感じです。これが求人を出す際の戦略を考えるための最重要ポイントで、私が求人広告を作る際に迷ったら立ち戻る「ベース」でした。そして私の経験上で、このベースをどれだけ深く考えられるかで採用の結果に大きく差が出ていたと思います。

人は幸せになるために転職をする。

人が「あ、転職しよう」と思うとき。
それは現状に何かしらの不満や問題があっての決断のはずです。何かを必ず求めているし、それを手にすることで人生を良くしたいと思っているはずです。

●この企業と出会うことで幸せになれる人って、どんな人なんだろう?
●その人を振り向かせるには、どんな情報をどんな表現で伝えたら届くだろう?

私が企業訪問で取材をしていたときは、いつもこの視点から質問するようにしていました。なので取材のゴールは「ああ、○○○○みたいな人なら幸せになれそうだな」とターゲットの人物像や動きがリアルにイメージできるまで。まるで知り合いかのように性格やプライベートの行動まで、「こういうの好きそうだな」とツボを想像できるようになる状態を目指していました。

ここまでいけたら「あなた、こういうのお好きでしょ?」「あなたが求めていたのはこういう会社よね?」という求人広告が作れます。それは幸せになれる成功イメージを求人から感じてもらうため。ただこの”幸せになれるイメージ”って、感覚的だからこそ”根拠”が重要です。

今思えば私の取材は、「ターゲット像の明確化」と「具体的情報のかき集め」に徹していたような気がします。仮にターゲットをAさんとした場合…

□Aさんは、どうして転職をするのか。
→Aさんは現状に不満があって退職するわけなので、その不満をこの企業なら抱かなくて済む根拠を収集する。

□Aさんは、この転職で何を求めているのか。
→Aさんが新しい職場に求めている希望と優先順位は何か?Aさん視点でメリットを挙げ、そのメリットを得られる根拠を示す。

□転職後、ここでAさんは何を手にできるのか。
→1年後・3年後・5年後・10年後、Aさんと会社の関係性はどう変化していくのか?数年後のAさんに対して企業側の思いや戦略を伝える。

これらをAさんになり代わった意識で質問していました。「もし私がAさんだったとしたら、この情報は嬉しいな」というネタが出たら原稿へ。何万人もの求職者全てに好意を持ってもらう必要はないのです。どこかにいる、たった一人の目に確実に留まりさえすればいいのです。

「あなたを幸せにするために求人を出しています」

この気持ちで求人を考えていくと、表記する情報も使う表現も、きっとこれまでとは様変わりするはずです。

私は、”幸せになりたくて転職をする人”と”一緒に幸せになる覚悟を持つ企業”がお互いの必要性に気づく場=人材会社の提供するサービスだと考えています。どこまで行っても本当に恋愛や結婚に似てるんですよね。一緒に時間を過ごすわけですし、一度結婚した(働いた)過去は履歴として残りますし。スペックも当然大事ですが、結局心がときめかないことには応募も内定も出ないので…求人ではどれだけ情報に感情を乗せて届けられるかの方が、ずっとずっと重要だと考えています。

広告だの戦略だのを意識すると頭が混乱するので、要は恋愛だと思って想像してみてください。この求人で、あなたが落としたい相手は誰ですか?

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