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冷房がもはや生存保障装置になりつつある件

今年の夏は、テレビをつければコロナウイルスの新たな感染者数のこと、あるいは熱中症とか、各地の最高気温のことばかりだ。別に夏の暑さが殺人的なのは今年に始まったことではないのだが、自粛ムードの影響で家にいる時間が長く、外出するならするでマスク着用を求められる機会が多いので、余計に気になるのかもしれない。

熱中症で毎年800人以上死ぬ

ちなみに、「殺人的」と言うのは別に比喩でもなんでもなく、真夏の日本では実際に熱中症による死者が大勢出ている。それも毎年、結構な数でだ。

厚生労働省がまとめた『年齢(5歳階級)別にみた熱中症による死亡数の年次推移(平成7年~30年)』によると、ここ25年の熱中症による死者数は少なくとも200人越え、多い年だと1700人規模。平成26〜30年の5年平均で言うと800人を超える。しかも、厚生労働省がこの統計に入れているのは毎年6〜9月分の熱中症による死亡数だけなので、「日本はコロナよりやべーやつと毎年夏を過ごしている」と言って過言ではないかもしれない。

人数の多い・少ないには猛暑や災害が関連している部分もあるかもしれないが、1日クオリティのnoteなのでよく調べていない。誰か調べて。

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室内も安全ではない

最近話題なのが夜間に熱中症になるケースだ。こちらの記事によると、

クーラーを止めた午前0時は23.7度だったが、30分後には30.1度に急上昇

という検証結果も出ている。住環境により多少の差はあるかもしれないが、昼間より気温の下がる傾向にある夜間であっても、念のため冷房設備は稼働させておいた方が良いということらしい。さらに、環境省の熱中症予防情報サイトでこんなpdfを発見した。

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熱中症にかかった人全体に対して、約1割が夜間に発生していることがわかる。寝ている間に室温が上昇して「喉乾いたな」「なんだか暑いな」で起き上がれれば良いが、気がついたら脱水で立ち上がれない状態、なんてこともあるわけだ。

冷房は「生存に必要な装置」

連日のニュースを見ていると、冷房はもはや「快適な生活のためのツール」だけじゃなくて、「これが無くて死ぬこともある」という位置づけのものになりつつあると思う。

比較的高齢の世代で「クーラーなんて贅沢」という人も多いのだけど、日本の夏におけるクーラーの存在は、快・不快の要素だけでなく、もっと「熱中症から身を守る」という安全の保障的な面で考えてもらった方が良いのではないだろうか。

例えば「今日車を運転したら交通事故にあうだろう」と思っていなくても、車を運転するときにはシートベルトを着用する。どんなに泳ぎが得意な人でも水辺のレジャーではライフジャケットを着用する。それと同じ感覚で、「夜だけど念のためクーラーをつけておく」という行動が当たり前の感覚になってほしいと思う。

(蛇足)

「じゃあ冷房設備のない部屋を借家に出す大家さんはひどい奴なのか」とか、「お金がなくてクーラー買えない人に補助金を出すべきか(※)」「生活保護費に空調のための電気代を認めるか、認めるならどのくらいなのか」のような議論は、さすがに1日クオリティのnoteでは不可能なので、今回はパスで。

(※ 2018年に厚労省から通知があり、特に健康上配慮が必要な子供や老人・障害者などがいる生活保護世帯に対しては、購入と設置にかかる費用が上限5万円まで認められることとなった。ただこの制度、平成30年3月末までに生活保護を受給した世帯は基本的に対象外。災害やDVを理由に避難や転居が必要になったケースは、転居が平成30年4月以降なら認めてもらえるかもしれないので要相談。)

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