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『往復書簡』(仮)42復信

Sさんへ

こんにちは。
僕は今年の夏休みをある意味現実逃避の手段として勉強ばかりしていた。受けようと思っている大学の模試の結果はB判定だった。まあまだ高2だし、別に気にしてはいない。受験生という免罪符はかなり使えるね。
Sさんは勘が鋭いですね。そう、妹のことです。今では完全に意識から遮断している。なぜ家族は妹の中の得体の知れないものに気付かないのか不思議だけれど、その辺りの使い分けが非常に上手い人間なのかも知れない。
Sさんはどんな夏休みでしたか? 合宿は楽しめましたか?
僕がつくづく思ったのは、大学は通過点に過ぎないなと。それは僕にとって、です。普通に考えれば一生を左右しかねないことなんだとはわかっている。でも、それほど学歴にとらわれない生き方を模索しているし、これからもそれを続けていくだろうと思う。 そのための一つの方法として一流といわれる大学に合格することで、面倒なことから守られるならそれもありだと思うようにもなっている。僕は男だしそこはSさんとは違ってくるのかもしれない。
自分がどんな人生を歩みたいかで、大学の選択をするように考えてみてもいいかもしれないね。


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