『往復書簡』(仮)06復信

Sさんへ

元気そうでよかった。返事がなかなかこなかったので、少し心配していました。手紙を読んで納得しました。
本当の自分についての考えは、半分、読んだ本の受け売りです。でも、全てが自分だという考えは、僕の感じていたことをとてもよく説明できるもので、すでに僕の中に入ってしまっています。
おすすめの本と言われても、なかなか難しいのですが、あまり本を読む習慣がないということなので、ショート・ショートとかから入ってみてもいいかと思います。代表的な作家はHさんかな。面白い話ばかりだし、何しろ一話が短いので、すぐ読めると思います。
あと、休みの時の水質調査は部長が必ずやっています。部員の誰かが一緒のこともあって、僕も何回か手伝いました。いろいろな話ができるし、とても勉強になります。
この間は、港にいる時に万が一、地震が起きたらどうするかの話から、安全を本当に考えるなら、最悪の事態を想定するべきだという話になりました。本当にそうだなと思いました。
携帯は便利だろうとは思うけれど、今の僕の生活には必要ないと思っているので、不自由は感じていません。 男同士の付き合いと女同士の付き合いは違うと思うので、想像ですがSさんの気持ちもわかる気はします。
でも、仕方がない。
僕らはまだ、親に養われているのだから。


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