コーチングで自分の葛藤と向き合ったら、10年勤めた会社を離れ、転職活動を「完了」できた話
2023年12月末で、Webエンジニアとして10年勤めた会社を退職します。
ここ1年半ほどは並行して社内コーチ活動をしながら、自身でもクライアントとしてコーチングセッションを受けていて、退職に至るまでのいろんな葛藤もセッションで扱ってきました。
コーチングを受けた記録として、セッションの内容とそこで得た気づき、その後の変化を記した「セッションログ」というものがあり、当時の感情や感覚がそのまま生々しく残っています。
どんな葛藤と向き合ってきたのか、そのとき何を感じていたのか。2023年の締めくくりとして、ありのままの自分が詰まったセッションログと共に、いま見えている景色の過程にあったものをふりかえってみようと思います。
今回は事柄や行動よりも、自分の内側にあった葛藤(具体的には感情や感覚)にフォーカスしました。以下のような方には楽しんで読んでいただけるかもしれません。
誰かの葛藤に興味がある方
今まさに葛藤の最中にいる方
転職を検討されていたり、活動中の方
今の仕事にモヤモヤを感じている方
日常になんとなく違和感がある方
自分の内にある違和感に気づく
2023年の年明け、参画していた案件の規模縮小が決まり、4年ほど関わっていたプロジェクトから離れることになった。
タイムリミットは、3月末。それまでに案件を離れた後の身の振り方をなんとしても決めなければならない。
同僚や上司など、とにかくいろんな人に相談した。正直なところ、人を頼ることは苦手だったけれど、背に腹は変えられない。やってみると、みんな親身になって話を聞いてくれて、思わず涙が出てきた。
グループ会社への出向の話、新規事業の話、組織づくりの話など、いろんな道が目の前に現れた。どれも自分1人では思いもつかないようなものばかりだった。逆に、想定していた私が参画できそうな新しい案件の話は、その時点では1つもなかった。
4月に入り、予定どおり案件を離れた私は、新人研修のサポート役を担うことにした。
忙しくしているうちに、新しい案件にも参画することになり、自分の食い扶持を確保するという目標は達成できた。
確かに安心しているはずなのに、それとはほど遠い気持ちが心の奥底に湧いていた。
はじめの一歩を踏み出す
表向きは、新入社員研修のサポートと、新しい案件とで、日々忙しく過ごしていた。だけど、その内側では心のモヤモヤがずっと晴れずにいた。
そんなとき、1件の求人と出会う。以前から知っていた、とある会社の求人。なぜか強く惹かれた。
なのに、その求人に応募することに抵抗する自分がいた。
やるのが難しい理由があれもこれもと次々に湧いてきた。同期のコーチ仲間にも何度も話を聞いてもらったり、セッションを受けさせてもらったりしていた。それでもなかなか一歩が踏み出せなかった。
動き出せないでいる自分に1つの問いを投げかけてみた。
浮かんできた答えは「応募する前に求人が閉じてしまうこと」だった。そうなったら、応募できなかったことを私は絶対に後悔する。
その後、数日かけて、履歴書の写真を用意し、職務経歴書を修正し、志望理由をまとめ、気になる求人に応募した。
結果は不採用。よくある、お祈りメール。だけど、一歩踏み出したことで、私の世界は180度変わって見えた。
これからの道を選択する
そこから「ワクワク」するかどうかを軸に、いろんな企業に会った。募集職種も、本社所在地も、就業形態も。これまでの転職活動において気にしていたような条件的な部分はいったんすべて脇に置いた。
実際に会って話をしてみると、想像だけでは分からないものが得られた。自分が思っていた以上に「ワクワク」が増したり、最初の「ワクワク」が高くても少しイメージと違ったなと感じたり。「ワクワク」という抽象度が高い感覚でも、たくさん集めることで、だんだんと現実として具体になっていくことを知った。
この経験は、私の成功パターンを見事にぶち壊してくれた。
これまでの私だと、欲しい結果やデッドラインから逆算し、計画を立てて、着実に進めていく。考えうる限りのリスクをつぶし、何かあっても対応できるように準備して事に及ぶ。そんな風に行動してきたのに。
しばらくして、いくつかの企業に内定をもらうことができた。今度は、どの企業で働くかで頭を悩ませる。
中でも惹かれていたのは、人財開発部門のオファー。自分の現在の関心ごととも一致していて、これまでのキャリアを丸ごと全部活かせる仕事に思えた。
引き止める声とは裏腹に、その企業で働く自分の姿を、なぜかとても鮮明に思い描くことができた。それだけで「ワクワク」する自分がいる。
コーチとしての私が、自分に問いかけた。
答えなくてもわかる。私が見たい景色は、感覚としてもう見えている。「ワクワク」の感覚を、それを信じる自分を、私はようやく取り戻すことができた。
そして、人財開発部門への内定を承諾することに決めた。
慣れ親しんだ場所から巣立つ
私の葛藤はまだ続いていた。これから進む道はもう決めたのに、
と最後まで引き止めてくるものがあった。しぶとい。
私の中で、今の会社で働いた10年は、やっぱり長かった。
心に引っかかっていたのは、同僚のこと。在職している同僚はもちろん、すでに退職した同僚との思い出も浮かんできた。良い思い出も、苦い思い出も、どちらもある。今となっては、どちらも同じくらい大切なもの。
みんなを置いていくような感覚と、自分が置いていかれるような感覚が混在していた。みんなとのつながりがここで切れてしまうようで寂しかった。恐れが込み上げてくる。
ふいに、以前のセッションを思い出した。最初の一歩を踏み出し、転職活動のエンジンをかけ始めた頃のセッション。
あのとき感じていた「卒業」の感覚を、もう一度感じてみる。
理屈なんてない。ただそう感じる。それだけ。
でも、それが何よりパワフルだった。
最終出社日。普段フルリモートで働いていた私にとって、半年以上ぶりのオフィスだった。たまたまタイミングよく会うことができた同僚と他愛もない話をする。このままこの先も続くんじゃないかと思うくらいの何気ない日常の会話。
最後の挨拶で何を言ったかもあまり覚えていない。
しんみりとしてくれる同僚もいたけれど、私は妙な高揚感に包まれていた。寂しさはあっても、恐れはない感覚。「またね〜!」と、大手を振ってオフィスを後にした。
葛藤を経ての今ここ
ふりかえってみて、一番に最初に思い浮かんだのは、漫画『左ききのエレン』のこのセリフでした。
論理的なことだけを正しいとしてしまいがちだけれど、感情や感覚など、まだ言語化できないことも大切にしてもいいんだと思わせてくれます。
ここまで私の葛藤を扱ってきました。自分の感覚を軽視して、違和感に気づくことがなかったら、今の私はなかったと思います。感覚を大切にした結果、芽生えた葛藤ですが、感覚を大切にしたからこそ、それを乗り越えることができました。
葛藤を乗り越えるために必要だった気づきや変化は、当時のマイコーチ・さきえるさん を始めとするコーチ仲間、家族、職場の同僚など、たくさんの方とのつながりの中で生まれたものです。同じところをグルグルするたびに、ウジウジしている私の話を聞いてくれた皆さまには、どれだけ感謝してもしきれません。本当にありがとうございました!
そして、この記事を読んで、自分の感覚をもう少し信じてみようかなと思える方が1人でもいてくれたら嬉しいです。
2023年、違和感に気づき「ワクワク」を軸に始めた私の転職活動は、ここでいったん完了となります。その先として、2024年からは『学びを通じて「ワクワク」できる環境づくり』に挑戦していきたいです。
最後に、今回の転職活動の実績。
私の初noteでもあるこの記事を、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
おまけ
マイ担当・みずPさん とのこたつラジオにて、音声でも今回の転職活動を別の視点で話しています。
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(MOTHER2 の話なんかもしています)
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