rina

やっと人生たのしくなってきたなと思うんだ。

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最近の記事

トドメの一冊

 鬱病を患ってから本を読むようになった。毎分毎秒押し寄せてくる希死念慮と、孤独感から逃れる唯一の方法が本を読むことだった。気力も湧かず、身体を動かすことすら億劫だったあの頃の私にとっては、ベッドの上で物語の世界に入り込むことで現実世界から逃げ出せる時間はとても貴重で、心強い手段だったのだ。    たくさんの本を読んだ。誰もが知っている有名作者からAmazonの検索候補で目に留まった本まで。作中の言葉ひとつに救われたことが何度もある。死にたいほど苦しんだ孤独感さえ愛おしいと思

    • 「自信」という鎧を背負って

       絶賛PMDD(月経前不快気分障害)中で、涙脆くなっている今日、久しぶりにnoteを書き出した。猛烈な疲労感と急降下していく情緒、生きている意味や自分の存在価値を考え出す時期が今月も来てしまった。人様に迷惑をかけないよう、この情緒不安定さを隠しながらこの時期を過ごすことに毎月疲弊している。ただ、自分の深層心理について向き合う大切な時間であることも事実だ。  この時期になると決まって「私なんてどうせ。」という気持ちがムクムクと大きくなっていく。朝顔がツルを伸ばすくらいなら可愛い

      • 【短編小説】 帰りしなに

         吐く息が白く、左頬に当たる風が痛いくらいに冷たい夜、私と彼はコンビニからアパートに向かって歩いていた。こうしてコンビニから並んで歩く帰り道がとても好きだ。恋人同士なのに腕を組むことも、手を握ることもなく2mほどの距離を保って並行に歩くのが私たちの丁度いい、いわば適切な距離だった。  「今日は月が綺麗だな。」  コンビニ袋をぶらぶらさせて夜空を見上げながら彼が言った。彼はペットボトル一本でもコンビニ袋を買う人だった。今日は帰って暖かい部屋で食べようと買ったハーゲンダッツが

        • 【摂食障害】10年間の地獄のはなしをしよう

           タイトルを書いてからキーボードを打つ手が止まる。いつか書きたいと思っていた話なのだ。書くなら今である。けれどそれは、多くのエネルギーと、根気と勇気のいる作業になる。思い出すだけでも動悸がしそうになる私の過去をどう話そうか。摂食障害と共に生きた10年間。あれは紛れもなく地獄の時間だった。 はじまり 17歳になる年の夏、私はそこそこの食事制限と適度な運動をして10kg体重を減らすことに成功した。思春期の女子高生がダイエットをしようと思うのはよくある話で、順調に落ちていく体重と

          婆ちゃんが死んだ日のはなし

           2020年7月婆ちゃんが死んだ。家族みんなが婆ちゃんを囲んで医師から死亡宣告を告げられる。  「7月25日午後7時25分御臨終です。」  なんて覚えやすい数字なのだろうと思った瞬間母がふふっと笑った。どうやら私の心の声は、実際に言葉にしてしまっていたらしい。なんだかこの偶然婆らしいね。と母はもう起きることのない自分の母親に向かって涙目で微笑んでいた。  「今から病院に来てください。間に合わないかもしれません。」  と病院から電話が掛かってきて、すぐに私たちは車を走ら

          婆ちゃんが死んだ日のはなし

          らくがき。

           ある日娘が泣いて学校から帰ってきた。理由を尋ねると自分のノートの落書きを友だちにからかわれたらしい。なんとも子どもらしい理由だろうか、そんな理由で人目を憚らずわんわん涙を流せることを羨ましくなった。    泣き出した娘を見て友だちはすぐにごめんねと謝ってくれたらしいが、どうしても悲しみがなくならないようだった。  「ごめんねって言ってくれたならいいじゃない。許してあげなよ。」と私は言った。娘は首を横に振りながら「許す、許さないの話じゃない。私のノートを勝手に見て私が時間

          らくがき。

          人生が変わる瞬間の音を聞いた

           2019年6月都内某所、あれはどこの映画館だっただろう。旧友の二人と共に公開されたばかりの映画「愛がなんだ」を観に行った。  当時付き合っていた彼と旅行にいく予定が5日前にドタキャンされ、急遽予定を変更して私は旧友がいる東京に片道4時間をかけて足を運んだ。その頃彼との関係は雲行きが怪しくなっていて、その原因もうすうす感じ取っていた。  今思い出しても、あの夜が私の人生の大きなターニングポイントだった。非日常な体験をしたわけでも、大それた出来事が起きたわけでもない。いくつ

          人生が変わる瞬間の音を聞いた

          面倒だからこそ面白い

           先日、友人から「なぜ多くの人は結婚したがるの?金銭面で楽になる以外メリットがないよね?なぜあなたは結婚したの?」という疑問を投げかけられた。  私は五年前に離婚をして昨年再婚をした。バツイチ子持ちからのステップファミリーだ。五年前離婚を決意した時、もう二度と結婚などするものか。と思ったし、当時精神的にも肉体的にもこれでもかというほど疲弊していた。それでも五年の時間を経てまた、結婚を決意した。アラサーで小学生の子どもが二人いて、好きという気持ちだけではやっていけないというこ

          面倒だからこそ面白い

          ノルウェイの森、孤独の極み

          注意:この記事は2019年10月に書いたものです。  ここ半年、ジャンルも作者も統一性がなくただひたすらに気になった本を読むという生活を続けている。一年前はビジネス書や自己啓発本を好んで読んでいたが、あることをきっかけに小説の面白さにどっぷりとハマってしまった。  もはや、趣味は何かと聞かれたら読書ですかね、と答えるほど本は私の生活の一部となった。村上春樹を読まずして趣味読書といえるのかどうなのかと思いつつ今まで手を付けてこなかった村上春樹。  理由はいくつか挙げられるが

          ノルウェイの森、孤独の極み

          婆ちゃんが風邪をひいた日のはなし

           御年84歳。透析歴30年。  年号が昭和から平成に変わった年、慢性腎不全になり週3日の透析生活をスタートした婆ちゃん。平成が終わる2018年ついに透析30年を迎えた。  透析患者は1年に4歳年を取るといわれているほど身体への負担が大きく、家族の誰もがこの年齢になるまで生きているなんて予想もしていなかった。  お医者さんに腸に影があるからとったほうがいいといわれた時も「せっかく身体にできたものをとるなんて勿体ない」と拒むファンキーさをもっている。(ただ手術が怖いから)  

          婆ちゃんが風邪をひいた日のはなし