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ノルウェイの森、孤独の極み


注意:この記事は2019年10月に書いたものです。



 ここ半年、ジャンルも作者も統一性がなくただひたすらに気になった本を読むという生活を続けている。一年前はビジネス書や自己啓発本を好んで読んでいたが、あることをきっかけに小説の面白さにどっぷりとハマってしまった。

 もはや、趣味は何かと聞かれたら読書ですかね、と答えるほど本は私の生活の一部となった。村上春樹を読まずして趣味読書といえるのかどうなのかと思いつつ今まで手を付けてこなかった村上春樹。
 理由はいくつか挙げられるが、この作者の本に対しては好き嫌いが分かれる。ある人にとってはバイブルとなり、ある人に聞けば駄作だという。私が読んで理解できるのだろうか、「なんか良く分からなかったな」というのは避けたい、そういう苦手意識が村上春樹に手を出せなかった一つの理由ではある。

 まあ、結局のところそんなものは杞憂に過ぎず、結論は私にとっては最高の本だった。そうはいっても、まだ有名どころのノルウェイの森を読んだだけでほかの作品はこれからだが、ほかの作品も読みたい!と心が疼くほどにはいい作品だった。

 テンポよく読み進められる部分もあるが、じっくりと噛みしめ読み返しながらでなくてはページをめくる手が止まってしまう部分もあった。
 
 あらすじはかき始めると長くなるので省略する。

 この作品のイメージとしては「孤独感」「喪失感」「愛」「セックス」。
登場人物全員が病んでいて、それでいて孤独だった。性描写の部分にも賛否両論あるらしいが、性描写にこそ人間らしい部分がでていて、身体は寄り添っていても対峙して心が孤独を抱えている部分をうまく引き出していたように思う。性描写あってこその作品であると私は思う。

 現実離れしているストーリーの中で、孤独感は独特のニュアンスで描かれていて、この作品を「良く分からない作品」と言い切れる人はすごく幸せ者だなと思う。

言葉ひとつとってみても、きっとこういうことなのだろう。と思えるそれは、私にとっては共感と共鳴の嵐だった。村上春樹特有の回りくどい言い回しこそが、自分自身をより一層孤独の闇に落としていく。

自分が味わったことのある、深くて、暗くて、出口など存在しないかのように思われる孤独の世界がノルウェイの森には存在する。

この作品を「よく分からない。」で片付けられるのならば、それはとても、幸せなことだろう。


孤独感や喪失感が味方か敵かは分からないが、味方にできたら心強いこと間違いなしだ。

次は何を読もうか。村上春樹はしばらく読みたくはない。これは私なりの最高の褒め言葉だったりする。

 

 

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