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『パーソナライズし過ぎ』って「提案の放棄」!状況はヤバイことに…。

これ結構笑い話じゃない。
『パーソナライズ』ってオンラインビジネスの世界では、とっても良い事でそれによって顧客の買上数や買上頻度が上がる!と言われてるけどホントは嘘だ。パーソナライズの種類と精度にもよるけどね。

パーソナライズのメカニズムってその人の過去の行動履歴にレコメンドエリアの表示(商品やコンテンツ)を合わせちゃうってこと。
ECサイトとかを運営してる人ならわかるだろうけど、一番単純なのがカート放棄対策で、カートに入れて買わなかった商品を片っ端からDMPで広告に出しちゃうとか。

これがどれほどウザいことか?自分が顧客なら知ってるよね。
もちろん買っちゃう人もいる。
そして買ったというデータは残るが『しつこく出されて嫌な気持ちになってそのサイトに行かなくなった』というデータは、行ってないので当然残らない。だからDMPサプライヤーは得意満面に『こんなに効果上ってます!』と進言するのだ。

そこまで単純じゃないとしても、
①顧客の過去の行動から、未来に買いそうなものや新製品を類推して提案したり、➁顧客が飽きるタイミングを考えて、むしろ今まで選んでない品種で、かつその人の嗜好性に会いそうな新しい商品を見せる……そんな素敵なレコメンドを日本のサイトで見たことが無い。全くやってないわけじゃないと思うけど、ホントに少ない。

大抵、今までの購買行動から類似したものを提案したり、同じ品種やアイテムを提案してくるだけだ。
例えばYouTubeとかは大分工夫されてきているので、『最近見たもの』ばかりじゃなくて『昔に見たものとその関連』を合間に差し込みながら一覧化するしくみになりつつあるけど、それですら全く新しい動画提案はない。

冷静に自分の心理を振り返ってみて欲しい!
あなたは、ずーっと同じものを見続けますか?
同じテイストやカテゴリーを買い続けますか?
普通の人の脳みそには『飽きる』という心理が組み込まれているので、
今までの自分の行動とは全く関係ないカテゴリーや新商品を提案された方が買う気や見る気にならないですか?

実店舗の販売スタッフが自分の眼と手で選んで構成した陳列、
またはサイトコンテンツの最初の表示画面等では、
誰が来店・来訪するか?わからないということで、誰が見ても欲しくなりそうな商品、映像、情報の並べ方をそれなりに工夫してる。
そこをあまりイケてないAIに任せてしまい、顧客に合わせて自動レコメンドするってことは、実はその人への新しい提案を放棄することになるのだ。
もちろん、全くの新規来訪者にはデフォルトの提示が適用されるだろうけど、二回目以降は前回の行動が参照されて『提案されるものが狭まって』くる。

これによって、ヘタなレコメンドをするとECサイトでは買上が落ち込み、コンテンツサイトでは新規カテゴリーの閲覧が落ち込むのだ。
でもサイト運営の経験が長い人も、それに気づいてなかったりする。
その理由は簡単。
自分が運営するサイトを自分がお客さんとして使ってないから。
そりゃ気づくはずがない。

そこは頼むからもっと考えて欲しい。
飽きてるお客さんに、これでもか、これでもか!って“過去の自分の行動を突き付けるのってなんて失礼なことなのか?
『俺、暇つぶしに軽い気持ちで見てただけで、それが僕の嗜好性だとか思われたくないよなぁ…』

人とは飽きるもの。そして新しいものに反応するもの。嗜好性も変わってゆくもの。
その心理を止めちゃって、買う気を奪い去ってるのは実はパーソナライズを妄信してる担当者なのだ。