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小売業の最新潮流。今と未来、品揃えとIT化はどこまで進む?

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ショールーミング、オムニチャネル、無人店舗、モバイル決済、ICタグなど、新しいイノベーションに支えられた次世代小売業態の開発推進について考察します。
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#ビジネス

『服を“売る”ならこんな風に』……ファッション市場救済のために。

『ファッション市場』が縮小してる。 これは様々な複合要因があるが、その中の大きなものとして ●服(お洒落)の楽しみ方を今の時代に合わせて啓蒙する人がいない ●従来のアパレル業界人と激安リテイラー、オンラインプレイヤーや通販専業メーカー等の意識ギャップや確執の存在 ●ファッションのロールモデル(憧れを喚起するリーダー)不在 などがあるだろう。 筆者は、文章はさほど上手ではないのだが、 『視覚的なチャートで構造を解き明かす』ことは得意としてる。 なので、図式+解説という

「アフターデジタル」時代の次世代UX体験セミナーを開催します!

アフターデジタル、OMO、Digital Native Store。 複数のイノベーションをクロスした次世代店舗や次世代の顧客接点、体験型施設の開発が進んでいます。 しかしこのジャンルはAIやドローン技術、ロボテックジャンル同様に、ニッポン企業はシリコンバレーや中国に水をあけられつつあり、 SNSやスマホプラットフォーム同様に『彼らの下請け(涙)』に成り下がるのか?との懸念が各所から聴かれます。 筆者が代表を務めるシンクエージェントは、この状況に大きな懸念を感じ、開発シナ

ホリエモン寿司職人問題……修練必要?不要?を小売業に準えて考えてみた。

ホリエモンさんの寿司職人炎上問題。 もう3年以上も前の話なんだけど、なぜか記憶に新しい。筆者もこのテーマ、思うところあり過ぎなので、ちょっと書いてみる。 筆者も立場というかこれまでの仕事の発想はホリエモンサイドだ。 修練や地道な努力が美しいとあまり思っていない。 努力は大事だけど、その目的は『如何に短期間に良いアウトプット(製造物)を出せるようになるか?』だと思ってる。 アウトプットを受け取るお客さん側が主役だと思ってるので、必要ならば楽をするための道具は全て使うし、機械化

ファッション店舗の『売場作り』を変えよう! その2

商業施設のフロアレイアウト日本のファッション市場とそれを担うはずの店舗が縮小して苦戦している理由は数多くあるが、 まずは商業施設(ショッピングモール)側の事情とテナント店舗側の目論見の食い違いがある。以下の大型郊外型SCのフロアマップを見て欲しい。 この中で 知っているブランドやショップ名称はたくさんあると思うけど、この広大なショッピングモール内で、何か単一のファッションアイテムを捜そうと思ったとき、貴方は探せるだろうか? 例えば今年のトレンドで言うと、“偏光レンズ”のお洒

思考実験のススメ その1

弊社の社内でこんな話をした。 ●顧客、見込客、ターゲット生活者のオンライン行動データとか、アンケート調査データを分析するだけだと、今(現行)の消費者の心理や行動はわかるけど、未来の行動やこれから欲しくなるもの(Wants)はわからない。 ●世の中のデータ志向=データ依存(?!)が行き過ぎたため、 分析で言えることだけしか言わない人が増えた。 ⇒市場の今後や生活者の今後への想像力=クリエイティブな企画力が失われた。 ならばどうすれば良いか? データは無い状態でも、自分の頭

プラットフォーマーが壊した消費・市場経済を再構築する未来図と未来職種 その2

前回の続きです。 まず僕の考えている未来の(といっても5年以内位)メディアデバイス型社会空間は、都市の建物の室内の内壁、内装、テーブルの上面が全てディスプレイ化されて、GUI化されたイメージだ。 びっくりしないでね。そのコンセプトは20年以上前からあり、海外では一般的になってきてるから。 言葉にするならば『フルUI型インテリア』とか『フルUI型内装』。 以下の複数の欧米の紹介動画をご参照。 (別に全部じゃなくても良いんだが、イメージしやすいので一旦その観点で議論する) 流

コト型の経済モデル(=商売モデル)作らないとサービスとして普及しないよね?

コト型、体験型って騒がれてるけど、ホントにそっちに移行するなら、それなりの経済モデル作らないと移行できないよね。 すなわち、コト型市場とそのサービス事業者(コトサプライヤー)が増えるためには、 ①コトサプライヤーの生産性がプラットフォーマーや製造業以上に上がる、 ➁そもそもコトを消費できるような豊かなライフスタイルが浸透する(週休4日とか、完全リモート勤務とか…)、 ③消費者がモノじゃなくて『コトにちゃんとお金を払う』。 この三つがマスト要件だ。 これ、当たり前だけどそんな

日本の『ファッション業界』建て直しの提案【その2】

危機に瀕するファッション業界の課題分析と提案。 先回(その1)は主に市場側・消費者側のマインドや潮流変化について語ったので、今回は業界側に起因する様々な没落の要因と、変えてゆくべきポイントの提案だ。 例えば以下の図のような業界のフロー。 といっても、 文章だと問題点と解決策の説明が難しいので、 今回はスライド資料を中心に据える。ポイントは以下の内容だ。 ●国内におけるファッション市場の逆風因子 ●ファッション業界のリーダーに求められる資質が変化 ●ファッション企業の組織と

ラストワンマイル物流っていらないんじゃね?

これって、Eコマース使いまくってて、かつEC業界へのコンサルも仕事にしてる筆者が言うのはダメなんだろうけど、正直な思いだ。 ホントに『体が不自由な方・病気の方・移動できない方』向けならわかるんだけど、普通の人は毎日なんらか外に出てるのだ。 自宅という多極分散な場所へ個別にモノを届けるというのは、社会的に非効率なんじゃないか?と思うわけだ。 それを考えると店舗という出先倉庫へ配送して、生活者はそこに買いに行く(ピックアップしにゆく)というかつての(今も)しくみは、 運動にも

【鼻の差問題】具体的過ぎるKPIが正確な判断や変革を妨げる。

「鼻の差で勝つ」…ことってよくある。 鼻の差で勝つと嬉しいけど、ちょっとクールな目で考えてみると、それってドンケツの周回遅れの二人が争ってる?なんてことないですか? もしくは、 最速のスプリントサイクルで競争すれば良いのに、三輪車で鼻先を競ってる?ってことは? で、 Businessの世界でここ十数年のトレンドになったKPI重視主義。 KGIとKPIを定義して、KPIをウォッチしてリフトアップすべし!という仕事のやり方……この「鼻の差競争」と似てないかしら? というのは、

顧客体験価値・体験型サービスって何だ?

世は体験価値流行り 商業施設も店舗もサービスも、コト型・体験型を目指すべき!~という話になっている。 なんだけど、そもそも体験型とか体験価値ってなんなんでしょう? それちょっと紐解いてみたい。 実は筆者が若い頃=1990年代の商業施設とか小売には「劇場型」という言葉が流行ったときがあった。こんな感じに使われてました。 あとももう一つのキーワードがライフスタイル型。生活提案という言葉も良く使われていたな。 「生活提案力のない企業・事業会社はNG!一億総生活プロデューサーを目

小売業用語=VMDを深く掘る。その2

前回の続き。 実店舗、売場はVMDによって人が吸い寄せらて、店にはいってから買うもの・欲しいものが見えてくる。今のEコマースにはそれがない。タイムセール訴求やクーポン訴求ばかりである。 取り立てて色とか素材とかに興味のない人も、色とか素材が美しく揃っていたり、組み合わせが素敵だったりすると目が留まるものだ。それを考えてファッションやセレクトショップのMDやデザイナーは、そのシーズンのテーマカラーやテーマとなる素材を決めて、それを中心に、まずスタイリングを起案する。 ※I

日常的に家計調査(消費支出動向)をウォッチしてみよう。発見があるよ。

わざわざアンケート調査とかをしなくても、一般家庭の消費の動向をコト細かに探れるマーケティングデータがあることをご存じ? 総務省統計局が長期時系列で更新しつづけている、『家計消費』のデータだ。 Excelのフォーマットで提供されているため加工やグラフ化も自由。この十数年間で一般家庭での消費傾向がどのように様変わりしてるのかが見て取れる。 以下2000年~2017年の推移を品目分類で見てみたものを参照してみて欲しい。(筆者作成) 食品や健康・医療関連の消費支出は増加傾向だが、

小売業用語=VMDってさて何でしょう?Eコマースに足りない訴求概念。その1

AmazonやZOZOなどのEコマース事業者の市場が拡大してるので、小売業というとオンライン販売に明るい未来があるように見えています。 しかし、ことデザイン性やライフスタイル性の強いファッション商品や生活雑貨などは、実店舗で起こっている(起こしている)購買行動がオンラインショッピングでは起こっていないのが実情。現状のEコマースサイトには、実店舗には全く肉薄できてないポイントがあります。 それがVisual Merchandising 略称でVMDと呼ばれる手法です。 なんじ