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2021年8月草津温泉2日目


朝起きたらお腹が空いていた。
普段朝ごはんを食べることがないので、私にしては珍しい。
前日に温泉にたくさん入ったからかも。

チェックアウトの時、お婆ちゃんたちが靴棚から靴を並べてくれていた。
靴棚から靴を出すなんてなんともない動作だし、
安い宿でそんなことがなくても何も思わないけど、
やっていただくと、暖かく送り出されるような、
嬉しくなるものだなと思った。

チェックアウトして、まず初日にスルーしてしまった光泉寺へ。
笠を被った銅像があって、
知ってる!奥の細道の人だ!と思ったら
弘法大師だった。
先月の仙台では奥の細道ゆかりの地が多くて、
笠を被ってたら奥の細道かと思ったけど、
そりゃそんなことはない
(そして奥の細道は作品名で、筆者の名前が出てこないけど調べない)。

光泉寺にお参りした私は、喜んで温泉饅頭屋に向かうのだが、ここで失敗が一つ。
光泉寺を神社だと思って二礼二拍手一礼してしまった!
なんとなくのイメージで、神社は赤いもの、
寺は木の色や黒いものと思っていた…
神様は怒るかな、いや仏様か…。
神様はわからないが、この話をしたら祖母には怒られそうだ。

気を取り直して温泉饅頭屋さんへ。
一昨年行った伊香保温泉で
私は温泉饅頭は温泉地で食べるものだと学んだ。
温泉饅頭はお土産としてもらうものではない。
そういうシーンはたしかに多いけど、
もらいものだと温泉饅頭は正直大しておいしくない。
でも温泉地の蒸し立てのお饅頭はあんまんみたいですごくおいしい!
前日寄ったら昼過ぎには売り切れていた名店で1つゲット。
皮はしっとりもちもりだけど薄くて、少し粒の残ってる餡子はバターみたいにとろっとしてすごく美味しかった!
あと2つ食べたかったけど大人だからやめた。


それから昨日とは別の公衆浴場に入ったが、
これまた熱い!

でもここで私は熱いお風呂の楽しみ方を少しマスターできた気がする。
サウナみたいに、5分くらい入って、10分ほど椅子でふわーとして、
そしたら汗がすごい勢いで出てくるので、
水を飲んで、また5分くらい入るのを繰り返す。

暑いお湯に入った時、体が熱!!となって
キュッと締まる感じがする。
なんとなく首あたりが窮屈になる。
30秒くらいしたら熱さの波が落ち着いて、
油断しないようにゆっくりゆっくり体の緊張を解く。
大丈夫かもという状態になっても、
すぐに熱さが体に篭ってジンジンして、
2,3分であがる。

軽く体を拭いて、椅子に座ると
1分くらいでおもしろいくらい汗をかく。

緊張してる時って、緊張の場面が終わったあと、
みんなで「うわ〜緊張した〜」と
緊張がほぐれてから振り返ることが多いけど、
それと同じで、
さっきは熱かったー!びっくりしたわー!
という感じで湯船から上がってから
ガンガン汗が出るのが面白い。

すっきりしたところでモーニングへ。

飲食店でもお土産屋さんでも、
レジに行くとまず、「ありがとうございます!」という人と「○円です」と言う人がいる。
「ありがとうございます!」と言われると、
こちらとしても「美味しかったです」とか、
「かわいいですね」とか言える。
後者だとそんな言葉も引っ込んでしまう。

私の大好きな近所のパン屋さんのお母さんは
絶対にレジで「いつもありがとうございます!」
と言って、
その後に「お待たせしてごめんなさいね」、とか「暑い中ありがとうございます」とかが続く。
このお母さんは毎日何回
「ありがとうございます」と言うんだろう。
お母さんのありがとうございます、を聞くと
笑顔になるし、もしウインナーロールにウインナーが入ってなくても許せてしまうと思う
(今までそんなことは起こったことがないです)。
ただいま〇〇が焼きたてですの〇〇は大体買ってしまう
(私が引っ越してから5キロ太った4キロ分の原因はこのパン屋さんだと思う、このパン屋とここのパンのことは話続けられるけど全く草津に関係ないのでやめます)。

挨拶は大事にしたいな、と思うと同時に、
自分のことを細かいこと気にするおばちゃんになったな〜とも思う。

散歩中に松尾芭蕉の碑の案内を見つけ、
さっき思い出せなかった奥の細道の人は
松尾芭蕉だった!と嬉しくなる。
でもその碑までは遠そうだったので行かなかった。

昼ごはんは昨日に続いてお蕎麦にした。
昨日蕎麦を食べて気づいたことを確かめたかったから。

私は蕎麦が好きだ。
そして天ぷらも好き。

でもつゆに油が浮くのが好きじゃない。
蕎麦と天ぷらの組み合わせが好きじゃない。
だけどきのこそばみたいな温かいものより、
冷たい蕎麦が好きなので昨日は鴨せいろにした。
でも食べながら、私の中の正解ってもり蕎麦とかざる蕎麦(違いがわからないけど、一番シンプルなの)じゃないかと思ったのだ。

十割蕎麦のもり蕎麦を頼んで、確信した!
私はこれから冷たい蕎麦の時はもり蕎麦かざる蕎麦(とにかくシンプルなの)しか食べない!
細くてコシのあるとても美味しい蕎麦だった。

それから箸置きのガラスの瓢箪が涼やかで、
きっと季節で箸置きを変えるんだな、
私には一生できないおもてなしだなと思った。

岡山で買ったミッフィちゃんの箸置き、
まだ袋の中にあります…。

あとはデザートの金平糖も可愛い!
金平糖って可愛いけど自分では買わないものだと思う。
金平糖か〇〇かという選択肢がある時にも選ばれない、
決して花型でないお菓子だ(形は花型みたいだけど)。
でもこうやってサプライズのように出てくると、
うわ、可愛い!と思うものだ。
人生で初めて金平糖が可愛いと思えた気がして嬉しい。

大学の近くに老舗の金平糖屋さんがあって
当時はあんなガリガリした砂糖の塊をありがたがってと苦々しく思っていたのである。
私の京都への恨みは深いのである。


バスの時間までは公衆浴場巡りを楽しんだ。
唯一、千代の湯というところだけはぬるかったというか、普通に首まで浸かれる温度だった。

煮川の湯というところは、
本当に煮込まれるのかと思うほど熱く、
片足のふくらはぎを入れるので精一杯だった。

確か子どもの頃家族といった
城崎温泉か有馬温泉も外湯巡りができた気がするのだけど、
500円とか600円とかお金がかかるものだった。

でも草津にはたくさん無料のところがある。
有料だと2箇所くらいかな〜とか迷いそうだけど、
無料なのでどんどん回れる。
ぱっと入ってここはそんなに好きじゃないなと思えば出ればいい。

鍵付きのロッカーはないし、洗い場もない。
湯船の中に腰掛けるところもないので、
座るには深い、立つには浅いと思うことある。
番頭さんもいないので、滑って転んでも助けられるのに時間がかかるかもしれないけど、
世界中の無料施設の中でも一番いいものじゃないかと思った。

私は箱根に3回行ったことがあって、
交通の便も良いし、若い人向けのお店も多いけど、
草津のもはや上品とは言い難いほどの湯量、熱さ、硫黄の匂いがとても気に入った。
湯畑の周りも、それぞれの公衆浴場の外にも
必ずベンチがあって、
火照った体を冷ます人やただ散歩中の人が座ってぼーとしている。
草津は有名だからおしゃれな温泉街かと思っていたけど、
いい意味でおおらかな田舎の温泉だと思った。

バスを使うと都内から4時間くらいかかるので
滞在は24時間くらいだったけど、
すごく良い旅だった。
元気になる旅というより、
元気じゃなくても別に良くない?
と思える旅だった。

絶対また来よう。

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