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第1講 読む編 ~文章を読むときに考えるべきこと~

どうも。皆さん。
田中(国語の先生)です。

今回は前回説明した国語の三角関係のうちの一つテーマを読み取ることについてまとめていきたいと思います。

前回の記事はこちら。


文章を読むときに考えるべきこと

・まずはこの3つ

授業内で、
「文章を読むときに何を考えている?」と聞くと
「大事なところを見つけるようにしています。」と答えてくれる子がほとんどです。
そこで私は、
「大事なところってどんなところ」と聞くと
「時間・場所・人物」や「気持ちがわかるところ」や「主張」などと答えてくれます。
さらに私は子供たちへ問います。
「じゃあその大事なところはどうやって見つけるの?」と。
すると、さっきまで元気よく答えてくれていた子供たちが急に黙ります。
黙る理由は簡単です。
見つけ方がわからないからです。

「時・場所・人物」は主に場面の移り変わりを見つけるときの手がかりとして多くの講師が子供たちに教えていることの一つです。
詳しく説明すると、場面の変化=物語の転換点です。
その転換点が来やすいのが
・時間の変化
・場所の変化
・人物の増減
になります。
確かに大切なルールではありますが、それだけで文章の大切なことは見つけられません。
これを答えてくれた子なりに、大事だということを学習し、覚えていたことは素晴らしいですが、汎用性に欠けます。

「気持ちがわかるところ」は、直接書いてあった場合はいいですが、わかりにくい表現(例:行動や表情、情景描写など)があった場合気づきにくく、国語が苦手な子はスルーしてしまうことが多いです。
また、「気持ちがわかるところ」に注目するのは基本的には物語(小説・随筆・)文、詩ぐらいです。
説明(論説・評論)文では通用しません。

逆に説明(論説・評論)では筆者の主張を探すのですが、学年が低いうちは見つけやすいですが、高学年になっていくと見つけにくくなります。
そもそも、国語が苦手な子の場合なんの話をしているのかわからない状態で読むわけですから、主張が書いてあるところ見つけるのも一苦労です。
さらに、物語文には明確な主張はないので、通用しません。

断片的にはどんなことに注意すればいいかはわかってはいるけれど、国語全体を通してみると、「何を考えながら読めばいいかわからない」というのが国語が苦手な子の多くが抱える悩みではないでしょうか。
つまり、テストの時文章を読むことに追われて、実際には何も考えずに読んでいることが多いのが実情です。
だから、大事なところがわからないから線が引けないという状態になってしまいます。
また、線を引くと時間がかかるといって引かない子もいますが、線を引くことについては後程詳しく解説いたします。

現状がわかったところで、解決する方法を考えなければいけません。
どんな文章でも使える汎用性の高い考え方はないのでしょうか。

はい。もちろん、あります。
これで「無い」なんて言えませんよね。
物語文であろうが、論説文であろうが、詩であろうが、随筆文であろうがどんな文章でも読める考え方があります。
もちろん各文章のタイプ(物語文や論説文)に合わせた読み方と併用することでより深い理解へとつなげることができますし、問題を解きやすくすることができますが、まずは3つのことを、文章を読む際は常に考えるようにしてください。

その3つとは
①何が(は・を・に)?
②なんで(どうして)?
③具体的には(どういうこと)?

です。

「・・・たったこれだけですか?」と思われるかもしれませんが、たったこれだけです。
たったこれだけのことを考えるだけで文章の内容がわかるようになっていきます。

では、①~③を詳しく見ていきましょう。

・考えるべきこと①まずは主語を明らかに

まず一つ目の「何が(は・を・に)?」ですが、これは主語(目的語・述語)を明らかにするために考えることです。
日本語はよく省略されて書かれることがあります。その際に主語や目的語、述語などを補って読んでいくと非常に読みやすくなります。

また、記述で答える際にも主語をかくことで大変わかりやすい解答に仕上げることができます。
文章見ながら誰の行動なのか、また代名詞(「彼」や「あの人」など)が誰を指しているのかなどをしっかりと考えましょう。

・考えるべきこと②因果関係を追いかけよう

二つ目は「なんで(どうして)?」です。
こちらは因果関係を追いかけるのに使います。

例えば「太郎君は驚いた」というような文があったします。
その時に「なんで?」と考えることで、考えることで驚く原因を探すことができます。
驚いた原因が、もしも「太郎君は驚いた」という分より前に書いてあるのであれば、驚いたとその原因を線でつなげればいいですし、まだ、出てきていないのであれば因果関係をたどりながら読んでいけばと答えが見つかるはずです。

特に傍線が引いてあるところで「なんで」と考えることは問題を解く際にも非常に有用なので、是非とも考えながら読んでほしい限りです。

・考えるべきこと③わかりにくい表現を言い換えよう

三つめは「具体的には(どういうこと)?」です。
これは、文章内のわかりにくい表現をその場でわかりやすく具体的に言い換えるというものです。
わかりにくい表現とは、具体的には
・ことわざ(慣用表現/故事成語)ほか
・比喩表現
・独自の言い回し
・心情  など
です。

「でも、その場でわかりやすく言い換えるなんて時間がかかるじゃない」と思われる方もいらっしゃると思いますが、はっきりと答えが出なくても読んでいる本人がわかれば、それでまずは大丈夫です。
例えば心情であれば、プラスかマイナスぐらいの言い換えで大丈夫です。

大切なのは「きちんと考えながら読む」ということです。
私の生徒にも、この考えを教えた後から「読みやすくなった」という意見が出てくるほど効果的です。
また考えたことはその場でメモをするようにしましょう。
国語のテストは何度もじっくりと読むことはできません。
メモ(一言、二言)を残しておくことで、問題を解く際の手助けになるはずです。

・なんでこの三つなの?

さて、ここまでの話で「何が(は・を・に)?」「なんで(どうして)?」「具体的には(どういうこと)?」を考えながら読むことが大切だということが分かったともいます。

しかし、なぜ、この三つなのでしょうか。
実はその答えは問題の出され方にあります。

設問の出され方は無数にあるように見えて実はある程度パターン化することができます。
例を挙げますと
・「なぜ(どうして)?」と傍線部の因果関係を問う問題
・「どういうこと?」と聞く傍線部の言い換え問題
・上記を複合した「どういう気持ち?」と心情を問う問題 など
です。
厳密にすべての問題を上記3つに当てはめることはできませんが、大半が上記の3つの聞かれ方に属します。(詳しい話は解き方編でお話いたします。)
もうお分かりいただけたかと思いますが、「何が(は・を・に)?」「なんで(どうして)?」「具体的には(どういうこと)?」と考えながら読むことは、文章を読むと同時に、問題をある程度解きながら読むのと同じなんです。

よくいただく質問で、「文章を読むより先に問題を見た方がいいですか?」と聞かれます。
この答えは基本的には小学生(中学生)には適した方法ではないと考えています。
空欄補充問題などの一部の問題は読みながら解いた方がいいものもありますが、基本的には
文章を読む→問題を解く
という流れを推奨しております。

大体のテストの最初に「後の文章を読んで、問いに答えなさい」とありますから、まずは文章をしっかり読みましょう。
しかし、上記したように何度も文章を読み返す時間はありません。
そこで、簡易的に問題の聞かれ方と同じような考え方をすることで、問題を解く手間を省くと同時に、文章を理解することができるというのが私のやり方です。

この「3つの考え方」がベースとなって、「各文章の読み方」と「テーマのパターン」の三本柱組み合わせることで文章は断然読みやすくなります。
テーマのパターンなどはすべてに当てはまるわけではないのでですが、3本柱のうちの2本は使えますので、それでも文章は非常に読みやすくなると思います。

難しいことは何もありませんので、ぜひ今日から皆さんもこの考えを取り入れてみてください。

次回は線引きの仕方についてお話しようと思います。

では今回はこの辺で。

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