見出し画像

第0講:なぜ国語の成績が伸びないのか?~国語ってどういう教科?~

皆さん、おはようございます。こんにちは。こんばんは。
田中(国語の先生)です。

突然ですが、皆さんは国語が好きですか?

私は学生時代にこの質問をされていたら、決まって
「嫌い」と返していました。
なぜ、嫌いだったのか。
それは、国語の成績が良くなかったからです。
大学受験偏差値でいうと4月の段階で30~40ぐらいをウロチョロしていた形です。
しかし、秋口には60半ばぐらいで安定するような形に落ち着きました。

なぜ、このように上がっていったかというと、
国語という科目の特性に気が付いた」
というのが答えになります。

こういった体験があったので、
・首都圏の某大手中学受験塾で10年以上国語科として勤務。
・開成・麻布をはじめとする最上位コースを担当し、雙葉中は2年連続で全校舎トップの合格者数を出す。
・現在は受験からは一歩引いた立場の仕事に従事している。

というような人生を歩んできました。

では、その国語の特性とはいったいどのようなものなのでしょうか。
今回は、第0講「国語ってどんな科目?」ということについて話をしていきたいと思います。
よろしければお付き合いください。



1.国語ってどんな科目?

①読解って何?

私は学年の一番最初の授業で必ず、「国語ってどんな科目?」ということを生徒に聞いています。
大体返ってくる答えが、
・「文章を読む科目」
・「読解する科目」
・「問いに答える科目」
・「漢字を勉強する科目」 etc.
といった具合の答えが返ってきます。

上記の答えに対して私は、
・「文章を読む科目」
→他の教科でも文章は読んでないかな?
・「問いに答える科目」
→他の教科もそうじゃないか!
・「漢字を勉強する科目」
→じゃあ塾いらないじゃん!

といった具合に生徒と笑いを交えながら、生徒自身に考えてもらっています。
そんな中、ある程度上記のようなやり取りが済むと
「読解する科目」という答えが出てきます。
そうです。
国語は読解する科目です。
では、もう一つ質問です。
「読解する」ってどういうことでしょう?

②読解≠読書

「読解する」とはいったいどんなことをすることなのでしょうか。
よく、国語の成績が上がらない原因として、「読書量が少ないから」と考えられている方がいらっしゃいますが、それは「間違い」です。
確かに、読書をすると精神年齢を引き上げたり、多くの語彙に触れる機会を得ることができるなどのメリットもありますが、国語の成績を上げる根本的な対策にはなりません。
もし、お通いの塾の先生が「国語の成績を上げるためにはたくさん本を読みましょう。」などと言っていたら担当を変えてもらっていいと思います。
そのくらい、読書と読解は別物です。
そもそも、読解は
「読」み「解」く
と書くのに対して、読書は
「書」を「読」む
と書きます。

本は自由に読んでいい。
流行りの本を読んで、「面白い」と思うのも「つまらない」と思うのも自由です。
しかし、「解く」となると話は別です。
何を「解く」のでしょうか。
そう、「問題」=テストですね。
問題である以上、解答が存在します。その解答は多くの人が納得するような答えになっています。
つまり、「客観」性が求められるのです。
対して、読書は自由に感想を持っていいので、「主観」的な行動になります。
この「客観」性というのが国語という科目のキモになります。

③客観的な論理

さて、ここで一枚の画像を見ていただきたいと思います。


これは、国語という教科を図式化したものです。
書いてあることを一つずつ解説していきます。

まず、国語の文章は誰によって書かれているでしょうか?
そう。作者(筆者)ですね。
では、彼らはなぜ文章を書くのでしょうか?
図にも示している通り、作者(筆者)の伝えたいこと(テーマ)を文章にしているのです。
物語文(小説)なら
・「友情」
・「親子」
・「生と死」 など
論説文(評論)なら
・「比較文化論」
・「現代文明批判」
・「言語論」 など
がテーマになります。
テーマに関しての解説はまた後日行いたいと思います。

では、誰に伝えたいのでしょうか。
オレンジで囲んである読者(受験生)になります。
読者は、作者(筆者)が伝えたいテーマを文章を通して読み取ることになるのですが、ここでまたまた質問です。
果たして読者は作者(筆者)が伝えたいテーマを正しく読み取っているのでしょうか。
せっかく良いことを伝えたくても、伝えたいことが正しく読み取ってもらえなければ、意味がありません。
そこで、読者である受験生が本当に理解できているかどうかを聞いてくる人が出てきます。
それが、出題者です。
出題者は、塾のテストであれば、塾の先生。入試であれば学校の先生になります。

さて、出題者に
「あなたはここの表現の意味を理解していますか?」
「君は傍線部の理由がきちんとわかっているかな?」
というような趣旨の質問を、設問として投げかけてきます。
ここの設問の内容を正しく読み取ることも国語においては重要なポイントです。
設問は質問です。
何を聞かれていて、どのようにこたえなければいけないのかをきちんとおさえて答える必要があります。
さて、質問された読者は質問の答えを誰に返すべきでしょうか?

図に示してありますが、そうです。出題者に対して答えなければいけません。
よく、生徒に聞くと「作者(筆者)」と答える生徒がいますが、それは間違いです。作者(筆者)からは全く質問されていません。
ここを勘違いしていると、ずっと国語の成績は上がりません。
そもそも作者(筆者)は設問を作る前提で文章を書いてはいません。

ここまでの流れをまとめましょう。
国語とは
①文章に書いてあるテーマを正しく読み取り
②設問の内容をきちんと理解したうえで
③本文の内容、設問の意図に沿って答える

のが国語という科目になります。
そして、上記の3つが読解力の正体となります。

この3つのことが正しくできるようになるだけで自然と国語の成績は伸びていきます。
逆に現在伸び悩んでいるのは上記の①~③のどれかがうまくできていないためと言うことが出来ます。
特に①・③はしっかりと教えている塾や参考書を見ますが②に関して解説している人や本はあまり見ません。あったとしても軽く触れている程度です。
個人的には②が分かれば成績上がるのになぁ~って思う生徒がいます。
案の定、問題をきちんと読むようになった途端に成績が上がったという事例を数多く見てきました。

私のnoteでは、①~③をある程度パターン化して、汎用性の高い形で皆様に提供できればと考えています。
もし、ここまで読んで興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、今後も不定期ではありますが、更新していきたいと考えておりますのでお付き合い頂ければ幸いです。

では、今日はここまでです。
また次回お会いいたしましょう。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?