見出し画像

問題は改善の種―少子高齢化は問題ではないのかもしれない?

竹内義晴の「これからの働き方」――この番組は、これからの働き方、組織作り、地域づくりの実務家、竹内義晴が「楽しく働く」をテーマに、組織づくりやコミュニケーション、マーケティング、キャリアデザイン、複業、テレワーク、ワーケーションなどの視点でゆるゆるとお話をしていく番組です。

いま、noteさんの #創作大賞2024 #ビジネス部門 という企画に参加しています。『「仕事っぽいシゴト」が社会の課題を解決する』というタイトルの本を作るイメージで毎日お話しています。1本目、目次はこちらです。

昨日は、「現状の課題 ― 会社でいま、起こっていること」のまとめとして、「キャリア不安を減らす「社会との接点」をどうつくるか」というお話をしました。

今日からは、第3章「理想の姿 ― もしも、理想的な状況があったなら」についてお話していきます。

第3章からは理想の話ですね。1章、2章はは、どちらかというと、社会や会社、個人に起こっている課題について見てきたので、どちらかというと、ちょっとネガティブな話が多かったように思います。

これからは理想の話なので、ポジティブな話をしていきたいと思っています。

今日は「問題は改善の種―少子高齢化は問題ではないのかもしれない」というお話です。

音声はこちらです。

少子高齢化は問題なのか?

少子高齢化というと、一般的にはネガティブなイメージで捉えられることが多いですよね。僕も「少子高齢化は問題だ!」って思っていた……いや、います。

でもね、以前、ある本を読んだ時に「少子高齢化は問題ではなく、実は、社会が良くなっている証拠なのかもしれない」と、ちょっと晴れやかな気持ちになったことがあったんですよね。

それは、『FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』という本です。

「FACTFULNESS」ですから、ファクト……つまり「事実にもとづいて、世の中を見てみよう」という本なんです。有名な本なので読んだ方もいらっしゃるかもしれません。

FACTFULNESSでは、「一般的なイメージでは、こんなふうに言われてるけど、そのファクト(事実)を見てみると、見え方が変わってくるよ」ということで、社会のさまざまな事象を、データに基づいて説明しています。

子どもの数とファクト

子どもの数について、FACTFULNESSにはこんな一文があります。

 極度の貧困から抜け出した数十億の人々は、子供をたくさんつくる必要がなくなった。もう、家庭の小さな農場で、たくさんの子供を働かせなくてもいい。もう、病気で亡くなる子供の分だけ、多めに子供をつくらなくていい。
 女性も男性も教育を受けるようになると、子供には貧しい思いをさせたくない、もっと良い教育を受けさせたいと考えるようになる。手っ取り早いのは、子供の数を減らすことだ。そして、避妊具という文明の利器のおかげで、性交渉の数を減らさずに子供の数を抑えられるようになった。
 これからも、より多くの人が極度の貧困を抜け出し、より多くの女性が教育を受け、性教育や避妊具がどんどん普及していく。女性ひとりあたりの子供の数はこのまま減り続けるだろう。

出典:FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

この一文は、少子高齢化が「課題だ!」と思っていた僕にとっては、目からウロコの視点でした。少子高齢化とは、言い方を変えると「貧困がなくなって、社会が平和になっている」ということだから。

このように考えると、少子高齢化は「社会が豊かになった証拠」というか、子どもを増やして労働させるのではなく「よりよい教育を受けさせて、よりよい生活をしていこう」という、ある意味、人の「理想の営み」が、自然な形として生じているといっても、いいのかもしれません。

「子どもが減るのは、豊かになっている証拠」だけど……

いまの日本の社会の状況は、かつてのような、極度の貧困の時代を抜け出しています。もちろん、一部には、そうとは言い切れない事情もあります。けれども、かつての戦前・戦後のような、極度の貧困の状態と比べれば、すでに、その状況は脱しています。

もちろん、「子どもが減るのは、豊かになっている証拠です」と。「社会が平和になっている証拠なので、むしろいいことですよ」とは、安易には言えないことなのかもしれません。

ですが、これを「自然の流れ」と、ある意味受け入れた上で、この課題に「どう向き合うか?」を考えていくことが、むしろ重要な気がするんです。

問題は改善の種

ここまで、この本『「仕事っぽいシゴト」が社会の課題を解決する』を書きながら、少子高齢化のデータに基づいて、どのぐらい労働力人口が減っているのかについて、見てきました。

そして、労働力人口はこれからも、どんどん減っていきます。それは事実です。

この本を書いている中で、実は、いただいたコメントがあります。「いまさら騒いでも、もう遅い」といった声もありました。たしかに、少子高齢化という意味では事実なのだろうと思います。

だからといって、「これが、問題なのか?」と。むしろ、いままで「当たり前」だったことを、いまの「状況に合わせて」変えていくこと。何かを作り出していく変化点なのではないか? という気もします。

僕は、そう捉えたいタイプです。つまり「問題は改善の種」というわけです。

目の前の問題は、実は、何かをよりよい方向に動かしていくための「気づきのきっかけ」であり、何かを新しく始めるための「変化点」であると。

とらえ方の枠組みを変える

こういった、目の前の現実は変わらないけれど、物事のとらえ方を変えることを、「リフレーム」とか、「リフレーミング」といったりします。つまり「フレーム(枠組み)を変えて、物事を見てみよう」という取り組みです。「ちょっと斜めから見てみよう」とか、「上から」とか、「下から」とか。

真っ正面から見ると、確かに課題かもしれない事柄も、ちょっと見方を変えると、見え方が変わってくるかもしれない。

たとえば、いままで「働きたくても、働けなかった人たち」が、何か自分の才能を活かして働くことができる。いまの状況が、そんな社会を創るきっかけになるかもしれません。

ここでいう「働きたくても、働けなかった人たち」とは、たとえば、それは、子育て中の女性――性別を限定しなくてもいいのかもしれませんが、実際に子どもを産むのは女性しかできないこと。また、働きたくても働けない状況にいる率が高いのは、女性だと思います――かもしれません。

あるいは、本当はいろんな可能性があるのに、「年齢」という制約によって理不尽な扱いを受けたり、なかなかその機会がなかった人もそうでしょう。

あとは、管理職のような役職について、現場からは離れたけれども、「本当は、もっと現場の仕事をしてみたい」とか。「本当は、もっといろんなことがやりたかった」という人もそうです。

そういった方々が、いままでのように会社を辞めて、一度、全部リセットして、新たな環境に飛び込むのはなかなか大変。そうではない方法で、活躍することができる……いまは、そんな仕組みをつくる機会かもしれないですよね。

いままで、「働きたくても、働けなかった人たち」が働けるようになると、そこに、いままではなかった生産が起これば、労働力人口が減っていく社会の中で、少しは、何かが改善されるかもしれない。

僕が、いまから始められることは、ほんのわずかなことかもしれませんが、一人ひとりが、自身の強みや可能性を生かして、未来を作っていく社会。そんな未来を、理想のひとつに掲げてみたいと思っています。

今日はここで終わりにしたいと思います。

次の記事:「歴史の80年サイクル」から、未来を読み解く

#創作大賞2024 #ビジネス部門

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?