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人材を抱え続ける企業の課題解決に向けた理想―②会社の依存率を下げる

竹内義晴の「これからの働き方」――この番組は、これからの働き方、組織作り、地域づくりの実務家、竹内義晴が「楽しく働く」をテーマに、組織づくりやコミュニケーション、マーケティング、キャリアデザイン、複業、テレワーク、ワーケーションなどの視点でゆるゆるとお話をしていく番組です。

いま、noteさんの #創作大賞2024 #ビジネス部門 という企画に参加しています。『「仕事っぽいシゴト」が社会の課題を解決する』というタイトルの本を作るイメージで毎日お話しています。1本目、目次はこちらです。

昨日は、「人材を抱え続ける企業の課題解決に向けた理想―①キャリア主体性を育てる」というお話をしました。

今日は、「人材を抱え続ける企業の課題解決に向けた理想―②会社の依存率を下げる」というお話です。

音声はこちらです。

「会社の依存率を下げる」というと、ネガティブに聞こえるかもしれませんが……

「会社の依存率を下げる」とか、「人材を抱え続ける企業の課題」というと、ややネガティブな印象に捉えられるかもしれませんね。

ですが、僕はこれを前向きな意味で捉えています。

なぜ、前向きな意味で捉えているのか? というと……それは、法政大学 石山恒貴さんのご著書『定年前と定年後の働き方』という本に書かれている内容にあります。

『定年前と定年後の働き方』に書かれている内容を一言で言えば、これからの日本社会に必要な「新たな発想」について書かれているんです。僕はこの本を読んで「希望だな」と思ったんです。その理由についてお話しすると……

シニア世代っていう言葉。どちらかというと、いままで、ずいぶん働いてきて、なんとなく「能力が低くなった世代」みたいに捉えられるケースが多かったと思うんですよね。

実際、石山さんの本には、こんな記述があります。

 これまでの日本の実態では、シニアの働き方を補助的なものとしか考えていなかった。それを象徴する言葉が「福祉的雇用」である。
 福祉的雇用とは、経済学者の今野浩一郎が唱えた言葉だ。企業はシニアが職場の戦力として中核になるとは、さらさら考えていない。しかし、社会的責任としてシニアを雇用する必要がある。そこで、本当は職場で、さほど必要とされてない業務を作り出し、しぶしぶシニアを雇用する。これが、これまでの福祉的雇用の意味だった。

出典:定年前と定年後の働き方~サードエイジを生きる思考

とあります。

これを証明するのは簡単です。たとえば、いま、再雇用をはじめ、いろんな制度を導入している企業もたくさんあると思います。

ですが、再雇用制度で実際に行われているのは、いままでとやることや労働時間は変わらないのに「給与が6割削減される」といった理不尽なことが、普通に行われていますよね。

なぜ、こうしたことが起こるのか? それは福祉的雇用が背景にあるからではないか、と、僕は思っています。つまり、シニア世代を戦力とは思っていない。けれども、社会的責任として「雇用してあげましょう」と。

これが、現在、シニア世代が置かれている、雇用の現状だと思います。

ですが。僕は個人的にかなり問題があると思っています。なぜならば、労働時間ややることは変わらないのに。給与だけ下げられるというのは、同一労働同一賃金に反します。また、人格として尊重されていないと感じます。

ですから、再雇用制度の考え方を変えていく必要があると思っています。

シニア世代の希望

ところで、石山さんの『定年前と定年後の働き方』にはおもしろい記述があります。それは……

個人の幸福感は20代・30代では高いが、その後低下し40代の後半で底をうつ。そして、その後は年齢が上昇するにつれ、幸福感も上昇し続けるのだ。

出典:定年前と定年後の働き方~サードエイジを生きる思考

という内容です。

この感覚や言葉について、僕は感覚的によく理解できます。僕はいま、50代前半ですが、周囲の人から聞こえている言葉として「社会の役に立ちたい」という言葉が多く聞こえてきています。

それは、僕が経営しているしごとのみらいの会員さんの声からしてもそうです。

つまり、シニア世代の人たちが、これまで経験してきたことを「社会のために生かしたい」と思っている……ということです。

また、いまの60代の方々って、まだピンピンしてますよね? 僕の親は80代ですが、さすがに80代になると、足腰が弱くなっているなあと思いますが、60代は普通に仕事ができます。

また、僕の親が70代前半だったときは、まったく問題なく働いていましたし、この年代の人たちは、スキルではない経験を、たくさん持っている人がいるのではないかと思います。

このようなシニア世代の力は、僕は、単純に生かした方がいいんじゃないかなと思いますし、石山先生の本に書かれている「40代以降は、むしろ幸福度が高くなってくる」ということも、もっと生かした方がいいと、単純に思います。

シニア世代を活かし、会社の負担を減らす具体的な施策

ただ、会社という組織は、いままでの価値観で動くので、どちらかといえば「シニア世代は負担だ」という考え方が一般的でしょう。その価値観を「変えろ」と言われても、無理かもしれません。

そこで、まずはミドルシニアの人たちの「もっと社会の役に立ちたい!」という気持ちを活かせるような制度を、作っていくといいんじゃないかな~と思っています。

そのためには、いくつか方法がありそうです。

  1. 複業制度の導入

  2. 再雇用制度の見直し

  3. キャリア主体性を育てる

複業制度の導入

複業制度の導入については、すでに制度を導入している企業がたくさんあります。それほど大きな負荷にはならないと思います。

複業制度の導入は、負担というよりも、複業に対するマインドや価値観の問題の方が大きいかもしれません。「複業をOKにしたら、社外で何かやらかすんじゃないか?」とか。そういった価値観の問題のほうが大きいと思います。

ですが、複業制度自体は、すでに多くの企業が導入しているので、「複業をOKにする」ぐらいの話だけだと思います。

僕自身、複業しているので、もし、何か困りごととかあれば、ご相談いただければと思います。

再雇用制度の見直し

再雇用制度の見直しについても、必ずしも難しいことを言っているわけではありません。

いままでの再雇用制度は、労働時間も、同じやることも変わらないのに、給与は下げるというものでした。ですが、それだと同一労働同一賃金に反してしまいます。

ここでお話したいのは、「給与を減らす代わりに、労働時間を減らす」ということ。そうすれば、給与をもらう側の立場からすると、物理的な時間を減らされることにはなりますが、やっていることに対する対価は変わりませんから、自尊心を削がれることはありません。

逆に、給与が減る分、時間も減らしてもらった方が、浮いた時間でいろんなことにチャレンジできます。これはありがたい。それこそ、複業のような、新たにチャレンジできます。

これは、とらえ方だけの問題なので、さほど難しい話ではありません。

キャリア主体性を育てる

キャリア主体性を育てるについて。

「複業してもいいよ」と言われても、おそらく、多くの人はできません。なぜならば、いままで会社の中で育ってきた人にとって、社会に対して、自分のキャリアや経験値、人となりを、うまく言語化できる人はあんまりいないからです。

そこで、その人がもつ「強み」や「人となり」を言語化できるようにする。こうした支援だったら、それほど難しくありませんよね。これはスキル教育なので、研修レベルでできます。ですが、自分のことをちゃんと言語化できるだけで、結構違うと思いますよ。

加えて、それをWebで発信できると、結構違うと思います。なぜ「結構違う」と思うか? というと、僕自身が、Webに自分の強みや人となりを発信することで、仕事を作ってきたタイプだからです。

自分は「何ができるのか?」「何が得意なのか?」「これは苦手だけど、これは得意」みたいな。

このようなキャリア教育に必要なことについて、もし、ご相談があればご連絡いただければと思います。

シニア世代の活躍は、未来の希望。それは、企業のためでもある

繰り返しになりますが「会社の依存率を下げる」というと、ややネガティブな印象があるかもしれません。

ですが、それは決してネガティブな話ではなく、それぞれの人が持ってる可能性をより引き出し、それを社会に適合させていくということです。

社員一人ひとりに対して、社会との接点を作りながら、会社の負担を下げていく。それも、理不尽な方法ではなく。それが、社員のためでもあるし、会社のためでもあるのです。

今日の話はこれで終わりにします。

次の記事:人材を抱え続ける企業の課題解決に向けた理想―③地域との関係をつくる

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