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横浜スタジアムはボストンのFenway Parkになれるか

何度も新球場移転が噂されてきた横浜DeNAベイスターズの本拠地「横浜スタジアム」。1978年の開場から40年が経ち、12球団の中で3番目に古い球場となった。しかし、あえてこの「古い」「狭い」球場で今後も共に歩んでゆくことを決意した球団。ボストンの歴史的名球場「Fenway Park」をモデルに、ハマスタの今後の展望を考える。

■横浜スタジアム「COMMUNITY BALLPARK PROJECT」

東京五輪の会場となる横浜スタジアム(以下:ハマスタ)は2020年までに約6000席を増席予定だ。右翼・左翼に増築する両翼席と、バックネット裏に個室観覧席や高さ31メートルの屋上テラス席を増築する。

11月15日には、改修工事完成まで“約5割の段階”で報道陣へ内部公開され、再来年の完成へ向け2012年から行われてきた「COMMUNITY BALLPARK PROJECT」の集大成を迎えている。

■「横浜スタジアムはボストンのFenway Parkへなれるか」の意味

ボストンのFenway Park=ボストン・レッドソックスの本拠地。狭いフィールドのため高さ約11mもある左翼フェンス”グリーンモンスター”が名物。メジャーリーグで一番歴史あるFenway Parkは、サッカーでいう「カンプ・ノウ」のような、野球ファンなら言わずと知れた「歴史的名球場」だ。ボストンレッドソックスという熱狂的人気球団の本拠地として、794試合連続チケット完売記録も持っている。

ハマスタが目指す「COMMUNITY BALLPARK PROJECT」は、Fenway Parkが歩んできた歴史とリンクしているように感じる。Fenway Parkの歴史、特徴と比較しながら、ハマスタが「歴史的名球場」になる為の改修プロジェクトをまとめた。

■「古い」「狭い」の特徴を生かした改修

1978年に開場から40年、当時は最先端で一番広かったスタジアムも、12球団で3番目に古く、最”狭”のスタジアムになってしまった。本来であれば機能的にも時代遅れであり、スタジアム寿命も考え新球場移転を模索するのだが、あえてこのハマスタで生き抜くことを決意したのがDeNAである。DeNAが舵を取ってから積極的な取り組みで超人気球団へと成長したベイスターズは、長年新球場移転が噂された中、あえてこの「古い」「狭い」ハマスタの良さを生かしながら改修、増築に踏み入れた。ベイスターズがハマスタに”永住”することが決まったのだ。

一方でボストンレッドソックスの本拠地、Fenway Parkは1912年の開場から100年以上が経過。MLBは日本よりも球場移転が盛んで、スタジアムの老朽化を理由に実際に過去15年で10球団が移転しているのだから、100年以上の歴史あるレッドソックスの本拠地はかなり珍しい。

そんなFenway Parkも改修工事を繰り返してきた。収容人数は元々35,000人程度であったが、スタンドの増築改修を繰り返し現在は約38,000席。当時当たり前であった都市部の狭い空き地を利用して作られた球場が、現在もその面影を残しているのは、球場の特徴をあえて残しながらリフォームを繰り返してきた結果だ。ボストンの街に愛される球場が100年以上かけて今なお作り続けられている。過去には収容人数の少なさや老朽化による理由で何度も新球場移転を発表したが、ファンの強い反対運動によって断念されている。

■Fenway Parkの歴史=ハマスタの目指す道

ハマスタも同じ道を歩んでいくだろう。株式会社横浜スタジアムの岡村社長が「ハマスタの良さをそのまま生かした改修プロジェクト」と言うように「古い」「狭い」をあえてそのまま残しつつ、スタジアムの外側を増築していくことで、より多くの人に来ていただける開かれたスタジアムを目指す。現在の29,000席から、35,000席への増席。狭い球場というコンプレックスをあえてオリジナルとして残していく。このCOMMUNITY BALLPARK PROJECTは、Fenway Parkの歴史や特徴と大きく重なる。

開場100周年となる2078年になっても変わらないハマスタは、「歴史的名球場」となっていることだろう。

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