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【エロくない詩吟vol.2】命を消耗する発声方法

おはようございます。heyheyです。
今日もエロ詩吟ではなく、「エロくない詩吟」について真面目に適当にわかりやすく書いていきます。

「一吟絶命」という言葉があるらしい

詩吟というのは、漢詩や和歌などの「詩」を、歌うのではなく「吟じる」ものです。だから「詩吟」というんですね。
「吟じる」ってなんだよ!って普通の人なら思うので、今回はそこを掘り下げていきます。

「吟じる」「吟ずる」「吟詠を行う」
ぶっちゃけどれも同じような意味です。
意味するところは「めっちゃ腹式呼吸を使って、鋭い地声を出すこと」です。裏声は一切使いません。
ちょっと痛くなるくらいにお腹をガチガチに固めて地声を出します。

ぼくが小さいとき、師匠からこんな話をされました。
『一吟絶命』って言葉があるんだよ。一吟ってたった2分くらいだけど、その2分間で命を落としてもいい、と思えるほどに全力で声を出すんだ。それほどの真剣さ、集中力が必要なんだよ」

まだ10代のぼくに死ねというのか!!
というツッコミは当時はせず、素直に聞いていました。

この話、どこまで本当か不明ですが、それほどに全力で声を出す。それが「吟じる」ということです。

全力で声を出したことありますか?

全力で声を出したことありますか?
それって、命を削るほどですか?
出した後に呼吸が乱れるほどですか?
身体が悲鳴を上げたりしますか?

そこまでの経験をされた方は少ないんじゃないかなと思っています。
ぼくは高校時代、普通の高校には入らず高専に入学し、寮生活をしていました。

そこではちょっと時代錯誤な文化が残っており、入寮レクリエーションと称して、大勢の先輩方が見守る食堂の真ん前で、声が張り裂けるほどに「校歌」を歌うという習わしがありました。

イメージは応援団ですね。
背中をめっちゃ反りながら、あえて声が張り裂けるように、声が枯れるように、大声を出すというもの。
でもこれ、喉に負担をかけているだけで、体力を消耗するのとは違うんです。

「吟じる」ということはとても体力を消耗します。
語弊を恐れずにいうと、丹田をガチガチに固めて、いっさい緩めることをしないまま、2分間声を出し続けます。
しかも詩吟の特徴として、一息で10~15秒くらい声を伸ばします。
2分間の間にたっぷり呼吸をできるのは、吟じ始める前を含めてたった6回しかありません(流派によって前後します)。

だから、このスタイルでちゃんと吟じれたときは、2分後に汗だくになります。お腹と背中が痛くなります。ふえぇ、きついよぉ...ってなります。

だから詩吟は腹式呼吸が鍛えられる

だいぶ過激なことを言いましたが、上記のことは本当です。
ただし、こんな発声方法をできている人は、ごくわずかです。
多くの人は、そこまで発声に気を付けられていません。
ぼくも、先生が目の前にいて、集中力が高まったときぐらいしかできていません(まだまだです💦)。

でも、だからこそ「発声」というのは奥が深いんだなと知りました。
ちょっと意識が緩むとすぐ声が緩む。
それを日々の鍛錬で無意識的にできるようにしていくんですね。

ぼくの師匠は、ぼくがお腹を使えていないとき、よくご自身のお腹を触らせてきました(セクハラではありません)。
すると、なんということでしょう、やっぱり丹田がカッチカチなんです。
もう70歳も近いというのに、たるみもなくカッチカチなんです。
年齢は関係ないんですね。

詩吟をやっていれば自然に腹式呼吸が鍛えられるかというと、そうではありません。
こう言ってはなんですが、年を重ねた吟詠家の人でも腹式呼吸が出来ていない人は多くいます。
でも、めちゃくちゃ優れた人もいます。
はるか高みの人がいます。

一朝一夕ではその領域に至れないからこそ、「吟道」という道を歩んでコツコツ鍛錬していく、それもまた詩吟の楽しみなのだと思います。

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