#有島武郎
有島武郎作『一房の葡萄』について
このノートは、『一房の葡萄』を朗読する際の一助として、その背景などについてメモったものです。今後も、加筆修正を加えていくことになると思います。複製、転載はご遠慮ください。
1.背景
『一房の葡萄』は、雑誌『赤い鳥』1920年8月号に掲載された作品です。その後、この作品を含む4編が単行本『一房の葡萄』(叢文閣)として1922年に出版されています。
この話は、有島武郎(1878-1923)が6歳
『幸福の王子』と『燕と王子』
オスカー・ワイルドの名作『幸福の王子』はご自身でも読まれた方は多いと思います。この話を、有島武郎は『燕と王子』として独自のストリーを作っています。ワイルドは、物語の最後で、神の命により遣わされた天使は、この世で最も尊きものとして、捨てられた王子の心臓と燕の屍を持ってきます。しかし、有島武郎の物語では、燕は南国に旅立ち、捨てられた王子は溶かされて鐘に作り変えられます。ワイルドは、精神の美しさと見かけ
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