「ふわとろオムライスシチュー掛け」プロット、キャラクター設定(10枚脚本集「てのひらの物語」3)
1.企画意図
日本国憲法第25条には「すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とある。ここでは「最低限度の生活」という生存権が保障されている。
だが、全ての人がその人らしく生きられることが国家の究極の目標である、それは生存権の保障だけでは足りない。
誰もが困難な状況を自分で解決しなければならない。とはいえ自分を取り巻く生きづらさに対して自分一人で解決するのは難しい。
本作では買い物依存によって生活保護となったシングルマザーを主人公にして、周囲の人の助けを借りながら自らの生きづらさと向き合い、克服する物語を提示する。
2.150字要約
街の片隅の洋食屋。そこでは月に2回子ども食堂を開いている。そこにシングルマザーの親子がやって来る。母親は壁に掛かる写真に気付く。店のマスターは外国の大統領に料理を出した時の写真だと話す。しばらく後その母子2人組が閉店前に店にやって来る。食べ終わってから母親はお金が払えないと言う
3.キャラクター設定
服部直也・・・洋食店「おむすびころりん」の店主
かつて高級ホテルのシェフを務め、外国の大統領の来日の際には料理を振る舞う。
シェフを務めた頃子供に構わず、それが元で子供が交通事故に
また大統領の国では貧しい者が多いという話を聞き、シェフとしての道に疑問を持つ
|服部《はっとり》静香・・・直也の妻
シェフの頃仕事一筋の夫に従って来たが、息子の事故の時には夫を責める
|服部《はっとり》裕輝・・・直也、静香の息子
子供の頃、父親に構ってもらえず、家を出て車に轢かれる
父に絵本を読んで欲しかったが、拒否される
その後父との関係を回復し、今では父親の店を継ぐために修行に出ている
|野沢《のざわ》千尋・・・生活保護を受けているシングルマザー
浪費癖があり、多額の借金を抱え自己破産する
生活保護となり、それでも浪費癖が治まらず、お金がなくなり、ふりかけご飯だけで10日間息子と過ごす
|野沢《のざわ》浩人・・・千尋の息子
浪費癖の親のもとで欲しい物も買ってもらえず。子ども食堂が唯一の楽しみ
4.ハコ書き(あらすじ)
場面:洋食店「おむすびころりん」
人物:直也、静香、千尋、浩人
この日は店で子ども食堂を開いている
忙しく立ち回る直也と静香
テーブル席には野沢千尋と息子の浩人が隣り合って座っている
親子、看板メニューのふわとろオムライスシチュー掛けを注文
お会計時、店に掛かっている2枚の写真について質問する
直也、外国の大統領に料理を出した時の写真だと話す
場面:洋食店「おむすびころりん」
人物:直也、静香
閉店し、店じまいをする直也と静香
「あの時は輝いてたな」
「何言ってんの、今のあなたがいちばんカッコいいわよ」
「そんな、褒めたって何にも出やしねぇよ」
場面:洋食店「おむすびころりん」
人物:直也、静香、千尋、浩人
何日か後、閉店間際
野沢千尋と浩人の親子がやって来る
テーブルに座り、ふわとろオムライスシチュー掛けを2つ注文する
食べ終えてから千尋、お金を払えないと言う
直也、理由を尋ねる
千尋、浪費癖で借金を重ねて自己破産し、生活保護に
生活保護になっても浪費が直らず、この10日間息子とふりかけご飯で過ごしているという
もう生きていけないと思ったが、どうしてもここのオムライスが食べたかった
場面:洋食店「おむすびころりん」(続けて)
人物:直也、静香、千尋、浩人
直也、店を開いたいきさつを話す
大統領に料理を出した時が自分の絶頂期だった
いつも帰りは夜遅く、朝早くに家を出た
それである日の晩のこと
場面:服部家の自宅のリビング(回想)
人物:直也、静香、裕輝
直也、窓際のデスクに向かい、新しいメニューを考えている
ノートの左側にメニューの名前を書き、盛り付けの絵を右側に書く
裕輝、書き物をしている父に絵本を読んでとねだる
直也「クリスマスのメニュー作んなきゃいけないんだ。そんなの後にしろ」
場面:服部家の玄関
人物:裕輝
裕輝、玄関に腰掛け泣いている
場面:服部家の自宅のリビング
人物:直也、静香
直也、机に向かっている
静香、皿を片付けている
そこに車のブレーキ音が響く
場面:病院の病室
人物:直也、静香、裕輝
裕輝がベッドで病院の寝巻きを着て休んでいる
直也「なんで勝手に家を出たんだ。間違えたら死んでたじゃないか」
静香、裕輝が直也がたまに家にいるから相手にして欲しかったと話す
直也、いたたまれなくなって病室を出る
場面:病院のロビー
人物:直也、静香
ロビーの長椅子に直也と静香が並んで座っている
料理を出した大統領の国には貧しい人が大勢いて、野放しにされていると知った
自分の料理を誰に食べさせたらいいのか
場面:洋食店「おむすびころりん」
人物:直也、静香、千尋、浩人
直也、シチューは大統領に出したのと同じレシピで作っていると話す
店の名前は事故の日に裕輝が持っていた絵本から取った
今では裕輝が店を継ぐと言ってくれて、修行に出ている
浩人「おむすびころりん」の話を知っていると言う
千尋、何で知っているのかと聞く
浩人、お母さんが昔本を読んでくれたのを覚えていると言う
千尋、浩人を抱きしめる
千尋、自分がいい加減なのに息子を道連れにしようとしていた、と話す
場面:洋食店「おむすびころりん」(続けて)
人物:直也、静香、千尋、浩人
直也、次にお金が入るまでは残り物で弁当と朝のおむすびを作るから取りに来るよう伝える
直也、千尋にこれから仕事を探すよう伝える
直也、浩人におじいさんみたいにおむすびを落としちゃダメだぞ、と言う
場面:片側2車線の道路
千尋、警備員の制服を着ている
千尋、道路工事の現場で交通誘導の旗を振っている
場面:千尋のアパート
人物:千尋、浩人
千尋、買い物袋を持って玄関に入る
千尋、台所に立ち、夕食の支度をする
部屋のテーブルで浩人が漢字の書き取りをしている
千尋、皿に盛り付けた料理を部屋のテーブルに置く
オムライスにシチューが掛かっている
千尋「やっぱり上手く出来なかったね」
浩人「ううん、でも美味しい」
場面:洋食店「おむすびころりん」
人物:直也、静香、千尋、浩人、裕輝
「おむすびころりん」が子ども食堂を開く日
千尋と浩人の2人がやって来る
歓迎する静香と直也
厨房の直也の隣には成人した息子の裕輝が調理をしている
テーブルに2人隣り並んで座る
注文はふわとろオムライスシチュー掛け
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