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もうじき箱根駅伝の季節がやってくる

 のっけから白状するが、私はスポーツが大の苦手だ。

 学校時代の体育の成績はいつも最下位だったし、大人になっても、不定期で水泳をする以外、スポーツらしいスポーツは全くやらない。むしろ学生時代に、スポーツを楽しいと思えたことすらない。
 そんなわけなので、観るスポーツの方も興味関心が今一つ。そして家族もスポーツに全然関心がないので、自ずとスポーツは自分にとって遠いものに感じることもある。

 ・・・とここで終わってしまえば、それで話は終わってしまう。

 それでは、以下の文章を続けることができなくなってしまうので、敢えてそれでも私が関心が持てるスポーツを探してみた。その結果、唯一関心のあるスポーツ競技があった。

 それは、毎年正月三が日に開催される「東京箱根間往復大学駅伝」、通称「箱根駅伝」である。

 私にとって、箱根駅伝はあまたあるスポーツ競技の中で、比較的興味関心があるし、また比較的身近な存在でもある。駅伝に関しては、小さいころからテレビで中継されているのを、割と熱心に見ていたと思う。

 実は私の祖母の家が、沿道に近く、小さいころしばしば徒歩で近くまで行って、走ってくるランナーを間近で見ることができた。昔は祖母の家にお正月訪ねていったもので、主に復路の日(1月3日)に早起きして、午前中見に行って、午後どこかへ遊びに行くというのが定番であった。

 沿道付近はいつも見物客でごった返していた。私は人の列を分け入って観ていた。現地へ行くと、出場している大学の旗とは別に、一般の観客には駅伝のオリジナルの旗をくれる。ランナーが走ってきたときには、それを振って応援したものだった。ちなみにその旗には、出場しているすべての大学の名前が書いてあった。間近で見るランナーはさすが鍛えているだけあって、実際に見ていても結構速い速度で走っていた。また、走区の中継場近くなので、タイミングが合えばランナー同士のバトンの受け渡しを見ることもできた。

 私の祖母の家の近くの沿道は、割と東京に近く、比較的平坦な道であるが、小田原を過ぎて、箱根湯本駅付近になると、ご存知の通り、急こう配が連続する。ただでさえ、車でその付近を通るのも大変だが、ランナーとなるとエネルギーの消費量は半端ないだろう。
 数年前の駅伝大会では、大雪のせいで、ある大学のランナーが低体温症になって棄権したぐらいである。「箱根の山は天下の険」とはよく言ったものである。それでもその日のために坂道を走る訓練をし、該当区間を走破するランナーはすごいし、堂々としていると思う。
 もっとも、私は正月に箱根に行ったことがない。いつの日か、現地で観てみたいと思っている。

 箱根駅伝は、毎年いろんな大学が参加していて、駅伝をきっかけに名前を知った大学もあるほどだ。だから、途中の走区で上位に名の知らない大学名が浮上してくると「おっ!」とひときわ注目するのである。今年のはじめの大会でもそういう状況はいくつかあった。
 自身はというと、特に応援している大学はなく、どの大学も一生懸命走っていて「みんながんばって」と思うが、強いて言うなら自分の出身大学が出ていると、ちょっと嬉しかったりもする。ただ、私の出身大学がいまいち存在感がないのは残念だが。

 今は祖母が老人ホームに入ってしまったので、年始に祖母の家に行って、近くの沿道で駅伝を観ることがめっきりなくなってしまった。少々残念であると同時に、それも込みでイベントになっていたことをつくづく感じる。

 そんな中、今年の駅伝は、横須賀線の車内から観ることができた。あれは、横浜~保土ヶ谷間だろうか。線路と駅伝コースが並走する区間がある。そのあたりの区間で、偶然にもランナーが疾走している姿を拝むことができた。電車はランナーに目もくれず、普段のスピードで走っていたので、観れたのはあっという間であった。だが、一瞬、懸命に走っているランナーを車内から観れたのは偶然とは言え、私一人でとても興奮していた。その時の時間から判断して、多分最下位の方のランナーだと思うが、それでもとにかく「みんな頑張って走りぬいて!」と叫びたくなった。

 今年は、例の疫病騒ぎの影響で、箱根駅伝は予選大会のコース短縮など、すでに規模の縮小を余儀なくされているらしい。そのため、現地には行くことはもちろん、沿道での応援をすることはおそらくできないであろう。だから、その分テレビの駅伝中継をいつになくしっかり観ることにしよう。

 今年はどの大学が1位に輝くのだろうか。

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