ガリレオ探偵シリーズの東野圭吾「沈黙のパレード」を読んで
今月はビジネス書を読むことが多く小説は少なかったので投稿をご無沙汰してしまった。ビジネス書については別な機会にご紹介したいと思う。昨今のテクノロジー特にAIの進化に驚き、企業戦略の置き方も大きく変わらざるを得ないように思う。そんな合間に読んだのが東野圭吾の「沈黙のパレード」、先月読んだ「ナミヤ雑貨店」に続き大変面白い物語であった!
このシリーズを読むと必ずガリレオこと湯川教授が登場するシーンでは福山雅治を誰もが思い描くと思う。それほど役柄と役者が対になっているキャラクターだ。シリーズを重ねている小説であり、また映画でもあり、なお更読者は思い描きやすい。 本作の中で、この物理学者は捜査陣が死因の手掛かりさえ掴めず、混沌とする中、殺害現場を見たあとに早々と殺害のトリックを見破ってしまう。ちょっと出来すぎかなっとも感じるが、ここはガリレオなのでさすがということにしておく。
特に私の印象に残ったのは最後に犯人を前に(しかし実は犯人ではない)語るガリレオ教授の言葉に「容疑者Xの献身」における自戒が込められていること。彼なりにクールに事件を解決したが、実際には1人の男の本望を成就させない結果になった。それを自ら口にする。読者も容疑者Xを読んだ時に感じたことを当事者のガリレオも感じていたのだ。
物語はアガサクリスティの某作品のように、舞台の中心である食堂「ナミキヤ」や被害者の関係者による共犯の様相を呈するが、そこは東野作品ゆえ簡単に結論とはならない。タイトルのパレードも事件に関係してくる。更に13年前に起きた幼児殺害事件も絡み合い、見えていなかった人間関係、人間模様があぶりだされてくる。これ以上はネタバレしてしまうのでここまでにしておきます。
ところで皆さんは、この人気作家のどんな作品が好きだろうか? 昨日久々にブックオフを訪問し、たくさん並ぶ東野作品を何か買おうかと思ったが、10年以上前にかなり読んでおり、すでに読んでいるものが多々ありそうな気がして買わずに帰ってしまった。タイトルを見て「これは過去に読んだ」とすぐわかる作品は、たぶん心に残っているものに違いなく、すぐに分からない作品は、今一つだったということかもしれない。
過去に読んだものでも、歳を重ねて改めて読むと違った角度、違った感覚で読むことがある。心に残る良き小説は、新たな感動をもたらしてもくれる。何歳になっても読書は新たな発見や、新たな感性を私達に呼び起こしてくれるものだ。
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